日本は議会制民主主義の国。国民が選挙で代弁者となる政治家を選び、選ばれた議員が議会で政策を決めていきます。投票は、政治参加の大切な行動。ただし、政治への関心が高まり投票者が増えることはとても喜ばしいことですが、一方で、注意しておく問題もあります。それは以前にもとりあげた「ポピュリズム(大衆迎合主義)」の台頭です。無防備な有権者が、聞こえのいい政治家の言葉に踊らされるまま、安易に票を入れ、その候補者に票が集まると、思わぬ結果を招く。アメリカでトランプ氏がアメリカ大統領にまでなったのもその例です。そうならないためには、目先の利益にとらわれず、政治家の言葉の裏、その政策が本当によい結果を生むのかを見抜く力が必要。つまり、目覚めた有権者が増えていかないといけません。
とはいえ、政策一つ一つの真偽を自分で調べるのは大変。そのためにニュースはあります。放送法のなかにも「健全な民主主義の発達に資するようにすること」という文言があります。つまり、民主主義は発展途上の、未完成なものなんですね。
イギリス『エコノミスト』誌系列のシンクタンクは毎年、世界の民主主義のランキングを発表しています。選挙の行われ方や投票率、報道の自由などを指数にし、合計で判断します。日本は2014年までは20位「完全な民主主義」に入っていましたが、2015年は23位の「欠陥のある民主主義」にランクダウンしてしまいました。「独裁政治体制」を含む世界167か国中23位ですから、よいほうではあるのですが。ちなみに1位はノルウェーで、2位はアイスランド。北欧の国が上位にあります。北欧は社会保障が充実しているかわりに税金が高い。それは、国民が自発的に選んだ方針なんですね。
自分たちの望む社会にするために、最低限、ルール作りに参加することが大切です。選挙で投票する以外にも、政治家の提案に、SNSなどを通して自分の意見を表明することも政治参加といえます。不満を抱きながらも、自分の意見を表さずに、ルール作りを他人任せにしてしまうのは民主主義に反した行為なのかもしれませんね。