寝つきが悪い、途中で目覚める、起きるのが早すぎる…“不眠”の原因&対策を医師が解説!

ライフスタイル
2024.08.31
実はとても恐ろしい睡眠不足の結末とは!? ここでは、誰しも一度は悩んだことがあるはずの“不眠”に注目します。

睡眠に関する専門医である井上雄一先生によると、日本人の約3割が眠りに関して何かしらの悩みを抱いているという。

「寝つきが悪い、自分やパートナーのいびきがひどい、夜中に何度も目が覚めるなどのトラブルについて、よくあることだし大した問題ではないと考えている人もいるかもしれません。でも、睡眠は健康にとってとても大切なものなのです。睡眠をおろそかにすると、現在はもちろん将来的に大きなマイナスにつながる可能性があります。たとえば睡眠の前半に分泌される成長ホルモンは、体中の細胞を修復して疲労を回復します。睡眠は記憶の固定や免疫の維持にも活躍し、認知症の予防にも、不可欠です」

睡眠時間は確保しているという人も、油断は禁物。眠りの質が落ちていたり、悪夢を見たりすると十分な睡眠効果を得られない。今回紹介する悩みと対策を参考に、毎晩ぐっすり快眠生活を目指そう。

3大不眠

1、寝つきが悪い

寝ようと思ってもなかなか寝つけません。(38歳・専業主婦)
眠ろうとすると考え事をしてしまい眠れなくなるので毎日YouTubeや配信動画を眠たくなるまで見ています。できれば動画を見ることなくすんなりと眠りたいです。(39歳・無職)
疲れてても全然眠れない。朝、起きるのがしんどい。(30歳・医療関係者)

不眠

眠りたいのに眠れないのが辛すぎる!
一般的に、ベッドに入ってから30分以上経っても眠れない日々が続くことを“入眠困難”という。「生活習慣の乱れから、寝つきが悪くなる若い人が多いです。寝床に入ると余計なことを考えて余計眠れない、寝ようと焦って眠れなくなる、という人もいます」

2、途中で目覚める

何度も起きてしまう。(35歳・自由業)
眠りが浅く、夜中に何度も目が覚める。(32歳・会社員)
夜中に何度も起きてしまい、朝起きたときから既に眠たい。(20歳・学生)

不眠

一度目覚めるとまた寝るのにひと苦労。
一晩に数回目が覚めることは、“中途覚醒”という。「歳を取ると眠りが浅くなるので、毎晩目が覚めてしまうという人は多いのです。若い人だと、お酒を飲んだ夜だけ、あるいはパートナーのいびきなどでいつも目が覚めてしまうという人もいます」

3、起きるのが早すぎる

早く眠れたと思っても夜中に目覚めてしまう。(25歳・アルバイト)
深夜に寝たのに早朝に目が覚めてしまう。(21歳・学生)
早朝必ず一度目が覚めてしまい、二度寝をする。(39歳・製造業)

不眠

まだ眠れるのにともったいない気分に。
「若い人の場合、30分くらい早く目覚めたからといってあまり気にすることはありません。予定していた時間より2時間以上早く目覚めてそのあと眠れなくなるのは“早朝覚醒”という症状で、体内リズムが前倒しになる高齢者に多い現象です」

体内時計が狂うと睡眠のリズムも乱れる。

若い世代の不眠の多くは、体内時計の狂いが原因になっている、と井上先生。

「寝る前にスマホの液晶画面を長時間見ると交感神経が優位になって眠れず、体内時計が狂う。また、夜更かしして休日昼まで寝ると、ソーシャル・ジェットラグという時差ぼけ状態になります。これらとは別に、カフェインの多い飲み物などによって不眠に陥るケースもあります」

それ以外も睡眠時無呼吸症候群や脚のヒクつき(周期性四肢運動障害。女性では鉄欠乏が原因になることが多い)という病的なものが隠れている可能性も。生活習慣を整えても不眠が続くなら、睡眠クリニックの受診を検討したい。

不眠の対策

・朝に1駅分歩く。
光には体内時計のリズムを変える力がある。夜に強い光を浴びると、リズムが後退して夜更かしモードに。朝強い光を浴びればリズムが前進して、早寝早起きモードになる。夜更かしモードから抜け出せないときは、通勤時に1駅分長く歩くなど、朝日を浴びて体内時計を調整しよう。

・アルコールやカフェインなどの嗜好品は節度をもって。
カフェインには寝つきを悪くする作用があるので、夕方以降はコーヒーやエナジードリンクなど、カフェインの多い飲み物を控えて。また、アルコールは寝つきをよくする半面、反動から中途覚醒しやすくなるというデメリットが。“眠れないから寝酒”は逆効果なのでNG。

睡眠総合ケアクリニック 代々木理事長 井上雄一先生 睡眠の悩みを抱える人に対し、精神科や呼吸器内科、神経内科などが連携して治療に当たるクリニックを開設。監修を担当した『名医が答える! 不眠 睡眠障害 治療大全』(講談社)など、多くの睡眠関連書籍に携わる。

※『anan』2024年9月4日号より。イラスト・菜々子 取材、文・風間裕美子

(by anan編集部)

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