人はどうして“惹かれる”という気持ちを抱くのだろう。相手のことが気になって仕方がない。ほかの誰でもなく、ある特定の人にだけ特別な感情を持つのはなぜなのか…。惹かれるメカニズムや、それぞれの“惹かれる”ルーツなど、日頃は無自覚な感情を多角的に分析し、解き明かします。

どんな相手に惹かれる? その現在地とは。

惹かれる相手は人それぞれだけれど、社会背景や価値観などの影響により、何か目立った傾向があるのだろうか。まずはその現在地から探ってみることに。

※20~35歳の女性100人に聞きました。

Q、恋愛対象として惹かれるのはどんな人?(複数回答)

37

やさしい…55%
誠実…39%
頼りがいがある…37%
尊敬できる…36%
気配りができる…33%

【やさしい】やさしさは何物にも代えがたい。一緒にいて幸せな気持ちになれる。(29歳)
【誠実】嘘をつかない誠実な人なら、長く一緒にいられるから。(32歳)
【頼りがいがある】今の時代、何があるかわからないので、いざというときには頼りがいが必要。(24歳)

「やさしい」や「誠実」は惹かれるタイプの王道ではあるものの、その背景には忙しさが影響しているというのが今の時代。上位はどれも、安心・安全な人物像がイメージされる。

Q、恋愛対象として嫌なタイプは?

「俺についてこい」タイプ…42%
ツンデレ…18%
イケメン…11%
誰に対しても平等…8%
おもしろい…7%

【「俺についてこい」タイプ】常にそういう姿勢は疲れる。こっちの意見も聞いてほしい。(31歳)
【ツンデレ】自分の機嫌や相手次第で冷たい態度を取ったり、甘えてきたりするのは意味不明。(27歳)
【イケメン】自分の顔に乗じて自信満々でこられると引く。(24歳)

「俺についてこい」タイプが圧倒的なパーセンテージ。恋愛で一方的に主導権を握られることに抵抗がある模様。ちなみに「誰に対しても平等」が嫌な理由は、八方美人に思えるとの声も。

Q、顔の好みの系統は?

1位:好きになった人の顔が好み…38%
2位:かっこいい…14%
3位:塩顔…11%
4位:顔の好みはない…8%
5位:美形…7%

恋愛においては顔も重要なファクターなのかと思いきや、「好きになった人の顔が好み」という地に足の着いた答えが最も多い結果に。4位には「顔の好みはない」が入っている。ビジュアルよりも内面のほうが大事ということなのかも。

Q、“マッチョ志向”の男性と、そうでない男性ならどちらに惹かれる?

“マッチョ志向”ではない男性…74%
“マッチョ志向”の男性…26%

男性優位的な価値観を持つ人、つまり“マッチョ志向”ではない人がいいという理由には、「男女平等でありたい」「時には弱音を吐いてくれる人間らしさが欲しい」など。

Q、性別にこだわらず、おしゃれを楽しむ男性をどう思う?

本人がそうしたいなら、それでいい…33%
どちらでもいい…11%
普通…14%
イヤ…13%
どちらかというとイヤ…12%
好き…11%
どちらかというと好き…2%

「イヤ」と「どちらかというとイヤ」を合わせた25%以外の多数派は、肯定的。シェアコスメなどパートナーと同じものを使うのも日常の昨今。相手の“好き”を尊重する傾向に。

エンタメ界で今注目の“惹かれる”スター選。

26

【ハリー・スタイルズ】ジェンダーにとらわれない価値観を体現。
アイドルグループのメンバーから、グラミー賞受賞の本格ソロ歌手に。フェミニストとしても知られ、これまで自立した女性ばかりと交際してきたことからも、彼の価値観が垣間見える。

27

【フィン・ウルフハード】一途な役柄と端正なルックスで人気が上昇!
昨年配信された最新シーズンも大ヒットのNetflixドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』に出演。サンローランのキャンペーンモデルを務めるなど、ファッション界からも注目。

Entame

【ポール・メスカル】恋人に寄り添う青年を好演した期待の若手俳優。
アイルランド出身。2020年のドラマ『ノーマル・ピープル』がブレイクのきっかけ。最新作『アフターサン(原題)』で、3月に授賞式が行われる第95回アカデミー賞主演男優賞候補に。

恋愛のドキドキよりも“安心”を求めている。

Entame

“惹かれる”とは、心が引きつけられるという意味の言葉。そんな“惹かれる”にまつわるアンケートを20~35歳の女性100人に実施したところ、恋愛対象として惹かれる人は「やさしい」や「誠実」が上位に。その背景について、“恋愛とジェンダー”をテーマに執筆している文筆業の清田隆之さんに伺うと、

「この世代の人たちの日常生活の忙しさが影響しているように思います。今は仕事や学校、チェックしなければいけない情報に推し活、人間関係もSNSなどさまざまなコミュニティがあり、多元的です。そこに感情の波まで加わるとキャパオーバーになってしまう。もはや恋愛のドキドキは積極的に味わいたいものではなくなっているのかもしれません。それより安心できる相手のほうが魅力的に感じる。『やさしい』人に惹かれるのも、過剰にやさしくしてほしいとかそういうことではなく、逆に気分によって態度が変わったり、駆け引きをしてきたりするような相手は勘弁ということなのかと。その裏返しもあって『やさしい』や『誠実』が支持されている気がします」

確かに、恋愛対象として嫌なタイプを見てみると、ダントツで挙がった「俺についてこい」タイプや、次点の「ツンデレ」は、やさしいというより、振り回してきそうなイメージがある。男らしさの象徴ともいえる「俺についてこい」タイプや、少女漫画のヒロインの恋する相手として登場しがちだった「ツンデレ」は、一昔前は人気だったけれど、今はそうではないということだろうか。

「もちろん『俺についてこい』タイプが好みとか、感情のジェットコースターを味わいたいという人もいると思います。ただ、そういった疑似体験は、推しとかフィクションからも得られますよね。現実世界では安心・安全でいたい。恋愛について取材で女性たちに話を聞く中でも、そういった印象はあります」

見た目に関する回答では、恋愛対象として嫌なタイプの上位3番目に「イケメン」がランクイン。顔の好みの系統については「好きになった人の顔が好み」が1位になっている。このことからも現実的に惹かれる相手は、どちらかというと身近に感じられる人ということ?

「これだけ推し活が浸透していることを考えると、もはや双方向の関係にはこだわらないのかもしれませんね。相手のことが『好き』『恋人になりたい』だけじゃなく、『素敵』『推せる』みたいな感じで感情のモードが増えている。かっこいい人はSNSなどを通していくらでも拝めるし、むしろそういう人とリアルに恋愛をするとなると、心配事が増えてしまうかもしれない。それにビジュアルは磨かれていく部分もあるので、そういうところに重きを置くよりも、一緒にいて心地よい人を求める傾向にあるのでは」

また、惹かれる対象として、男性優位的なスタンスを表す“マッチョ志向”の男性と、そうでない男性では、圧倒的に後者に軍配が。メイクやファッションなど性別にこだわらず、おしゃれを楽しむ男性については「本人がそうしたいなら、それでいい」が最多に。“男性らしさ”“女性らしさ”といった前時代的な枠組みにとらわれないスタンスが窺える。

「価値観のアップデートという側面もあると思いますが、基本的には、身近な男性をサンプルに『高圧的な態度は嫌だな』とか、肌感覚で判断しているのだと思います。性別にこだわらないおしゃれに関しては、男性アイドル然り、メイクを上手に取り入れている人もたくさんいますし、むしろそういう相手となら美容やファッションを一緒に楽しめる可能性も。お互いに好きなことを自由にできて認め合える、そんな好ましい相手というイメージなのではないでしょうか」

こうした今どきの“惹かれる”人物像は世界的にも共通するところがあるようで、具体的にイメージするにはエンタメが近道に。そこでおすすめの作品と注目の俳優を、海外の映画やドラマに詳しいライターの山縣みどりさんに伺うと、

「すでに大スターですが、ハリー・スタイルズはジェンダーにとらわれないアイコニックな存在です。歌手としてはもちろん、俳優としての才能も開花させていて、昨年公開された主演映画『僕の巡査』(Prime Videoで視聴可)では、同性愛者であることを秘密にしている警察官役を好演。挑戦的な役柄だったと思いますが、ハリー自身がフェミニンなアイテムを積極的に取り入れていることからも、セクシュアリティに対する垣根や偏見のない人なのだと窺えます」

また、愛する人を支える役柄を好演してブレイクしたのが、この2人。

「現在20歳のフィン・ウルフハードは、Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』で主要キャストのマイクを演じていますが、謎の少女を信じて恋に落ちるという一途な役柄。登場した当初は気弱な中学生でしたが、ドラマのシーズンが進むうちに素敵な青年へと成長し、彼女に尽くす姿に心動かされます。一方、ポール・メスカルはドラマ『ノーマル・ピープル』(Prime Videoで視聴可)で演じた、スポーツ万能な人気者がはまり役。実は出自にコンプレックスがあることから、屈折したお嬢様の孤独を理解し、寄り添ってくれる。その演技力の高さから、彼自身が共感力の豊かな人に思えるほど。今後の活躍にも期待できます」

清田隆之さん 文筆業、恋バナ収集ユニット「桃山商事」代表。著書に『どうして男はそうなんだろうか会議―いろいろ語り合って見えてきた「これからの男」のこと』(澁谷知美さんとの共編著/筑摩書房)ほか多数。

山縣みどりさん ライター。弊誌などさまざまな媒体で映画評やインタビュー記事を執筆。世界的にヒットした映画『クレイジー・リッチ!』の原作小説『クレイジー・リッチ・アジアンズ』上・下(ケビン・クワン著/竹書房)を翻訳。

※『anan』2023年2月15日号より。写真・Anthony Pham Jamie McCarthy Mike Marsland イラスト・奥原しんこ 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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