古くは飲み薬として重用されていたチョコレート。その実際の効能について帝京大学理工学部・古賀仁一郎先生にお聞きしました。
カカオプロテインが便秘を強力に改善してくれる!?
「チョコレートにはいろんな成分が含まれていますが、人間の健康に役立つものとしてはカカオプロテインとカカオポリフェノールの2つが知られています。まず、カカオプロテインに顕著に見られるのは便通改善効果です。一般的に便秘にいいといわれているのは食物繊維とオリゴ糖。前者は大腸で便の嵩を増す役割を果たし、その体積で溜まっていた便が押し出されます。一方、オリゴ糖は大腸で善玉菌のエサとなり、それにより腸内環境が整うため、便通がよくなるのです。カカオプロテインは、その両方の働きを兼ね備えているので、便秘を効果的に解消してくれるのではないかと考えています」(帝京大学理工学部・古賀仁一郎先生)
カカオポリフェノールにはエイジング予防効果も。
そして、ダークチョコレートに赤ワインの4倍以上も含まれているという、ポリフェノールの抗酸化作用にも注目。
「カカオのポリフェノールには、LDLコレステロールの酸化を防ぐ働きがあるといわれています。つまり、血液がサラサラになるため、動脈硬化の予防につながるというのです。また、血管を広げる効果も期待できるため、ひいては血圧を下げることにもなるでしょう。その結果として、アンチエイジングに何らかの作用があるといえるかもしれませんね。カカオポリフェノールには、脳の神経細胞を活性化させるタンパク質を増やす可能性も。そのため、記憶力アップもあり得るかもしれません」
そんなさまざまな健康効果をもたらすチョコレートだけれど、どんな食べ方をすると、そのパワーが最も享受できる?
「これはカカオプロテインに関する結果ですが、カカオ72%のチョコレートを1日25g、2週間毎日食べ続けたところ、排便の回数が約2倍、便の量も2倍以上に。より高カカオのチョコレートを食べれば、効果は上がるはず。ただし、カカオの分量が多いほど苦味も増す傾向があるので、自分の好みに合わせて、毎日食べ続けられるカカオ含有量のものを選ぶといいでしょう。ちなみにこの試験で太った方はいませんでしたよ」
こうした健康効果に関する研究が進む一方で、大手菓子メーカーからは健康にフォーカスした様々な商品が発売されている。明治は、現在のハイカカオブームに先駆け、'98年から「チョコレート効果」シリーズを展開。また、ロッテは'15年、糖類ゼロのチョコレート「ゼロ」をリニューアル。さらに江崎グリコからは'16年、チョコレートカテゴリー初の機能性表示食品「LIBERA」が登場。「もっと食べたいけど、体に悪いかな…」と悩むのは、もう過去の話!?