私たち日本人は、スペイン料理といえばパエリアを連想する。スペインの店ならいつでもどこでもあるものだと思っているが、実はそれほどポピュラーなものではない。「スペイン人はお米を食べたくなると、“アロセリア”(米料理専門店)に行くんです」。
今年1月に銀座にオープンした『アロセリア ラ パンサ』では、本場さながら15種類以上の米料理を揃えている。「パエリアは鉄鍋で水分を飛ばしながら炊く料理、カルデロは米にスープを含ませて煮る汁料理。どちらもパスタと同じで、アルデンテ(水分で煮崩れたりせず、程よい芯が感じられる)に仕上げます」と小林悟シェフ。スペイン料理一筋、3ツ星を含めスペインで2年修業。帰国し、この店のシェフに。多彩な郷土料理と最先端の美食テクニックを披露している。
アサリのパエリアは見た目はシンプルだが、非常に旨味が深い。その秘密はアサリだけでなく、鯛の頭でとった出汁を使っているから。鴨肉とポルチーニ茸のパエリアは、鴨にシェリー酒を煮詰めた甘いソースが決め手。まるで肉料理とご飯を一皿で味わっているよう。そして殻を焼いて独特の甘~い香ばしさを引き出したオマール海老の汁ご飯は、オマール海老の魅力を最大限に引き出した名作。2人前で1合ちょっとはたっぷりあるので、前菜を3~4品楽しんで、米料理をメインに考えてもいい。このおいしさは初めて!
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