気軽に学べるセクシュアリティや生理をテーマにしたエンタメ。
最近、映画や配信ドラマ、ラジオ、書籍など多彩なジャンルで、セクシュアリティや生理をテーマにしたコンテンツが増えている。「センシティブになりがちな内容ですが、それを真面目なだけでなく、日常的なものとして観たり聴いたりできるものが多くなってきました」と、ランドリーボックス代表の西本美沙さん。
「一昔前は秘め事とされてきたことですが、そうではなく社会課題を解決するために必要なことだと、声を上げる人たちが増えてきた表れだと思います。楽しみながら視野を広げたり知識を深められるのはもちろん、作品を通して周りの人たちと性や生理について話すきっかけにもなります。作品に出てくる描写や体験談が、自分にとって100%合致しなくても、共感する部分だったり、自分ならどうするかと考えることにも繋がります。身近なことだけでなく、世界の動きやいろんな価値観を知ることができるのが、エンタメ作品の良さだと思います」
『セックス・エデュケーション』

性教育をメインテーマにした、イギリスのコメディドラマシリーズ。
ムーアデール高校を舞台に、性への関心が尽きないティーンエイジャーたちの悩みや恋、友情を描く。「舞台は高校ですが、私たち大人が見ても共感できる悩みばかりがリアルに描かれています。性にまつわるいろんな課題を抱えている多様なキャラクターを通して様々な問題を提起していますが、コミカルに描かれているので楽しみながら見られます」。Netflixでシーズン4まで配信中。
『もっと違和感!』
ジェンダーの視点から様々な問題を議論し、その先を妄想するPodcast番組。
雑誌『IWAKAN』の元編集者3人が集まり、ジェンダーの観点から世の中に違和感を問いかける。「性別・人種・セクシュアリティの異なる3人が、ジェンダーやカルチャーに対して多様な議論を展開するのですが、この3人の飾らない温度感が絶妙で、楽しく聴けます」(西本さん)。毎週水曜17:00配信。公式Instagram(@moto.iwakan)で、本編の切り抜き動画を発信。
『パッドマン 5億人の女性を救った男』

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現代のインドで安価な生理用品の開発をした男の実話を映画化。
貧しくて生理用ナプキンが買えない妻のため、低価格のナプキン開発に尽力した男の物語。「生理がない男性だからこそ、タブー視する文化や社会に疑問を持てたのかもしれませんが、当たり前を疑い、行動に移す大切さを学べます。いろんな意味で視座を上げてくれる作品」。DVD¥4,180 権利元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 発売・販売元:ハピネット・メディアマーケティング
『生理用品の社会史』田中ひかる 著
生理用品の変遷と、先人たちの生理対処法の歴史をたどる本。
ナプキン以前の経血処置法と、その進化を阻んだタブー視の背景をたどり、戦後の生理用品発展の軌跡を追った一冊。「ナプキンが日本で登場したのは約60年前。時代によって生理がどのように捉えられてきたのかを知ることができる貴重な一冊です。またナプキンの進化が、女性の社会進出の後押しになっていることがわかり、ハッとさせられました」。角川ソフィア文庫 ¥1,056
「Bodyform:#wombstories」

イギリスの生理用品メーカーが公開した子宮にまつわる短編動画。
生理や流産、不妊治療など、子宮を持つ人たちの様々な経験を、実写とアニメーションで表現した映像作品。「約3分の映像の中にセリフは一切ありませんが、子宮を持つ人たちが感じる浮き沈みが多様かつリアルに描かれています。生理用品ブランドが制作する意義や映像自体も秀逸で、考えさせられる内容です」。YouTubeで公開中。
PROFILE プロフィール
西本美沙さん
ランドリーボックス代表。“あらゆるワタシに選択肢を”をビジョンに、生理やセクシュアルウェルネスなど、女性が抱える悩みに特化したプラットフォームを運営。
anan2437号(2025年3月5日発売)より