意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「トランプ返り咲き」です。

反グローバル主義。環境対策は後退。世界の平和は?

1月20日、トランプ氏がアメリカ大統領に再び就任します。トランプ政権は何事も「アメリカ・ファースト」。世界は大きな貿易の枠組みを作り、皆で利益を分かち合うグローバル主義の流れにありました。しかし、今後アメリカは再び二国間協議による貿易、自国に有利な交渉をし始めるので、アメリカと友好関係にない国々の経済成長は停滞もしくは沈下するでしょう。

敵対している中国に対しては、昨年の11月25日に、既存の追加関税に加えてさらに10%の上乗せ関税を課すと発表。スイスの投資銀行UBSのエコノミストは、中国に関連する国々は大きな打撃を受け、世界全体では2026年の成長率は2.9%から2%に減速する可能性があると予測しています。

日本の主要産業は、近年のチャイナリスクから中国との取引を控える傾向にあり、逆に、アメリカ国内に工場を設けるなどしているため、トランプ政権の再来が追い風となり、業績を伸ばす可能性があるともいわれています。

政治では、トランプ氏と安倍元総理は関係が良好だったため、第1次トランプ政権下の日米は政治的には安定していました。ただ、その裏ではアメリカの要望を聞き入れ武器を購入したり、安全保障の解釈を変えるなど、日本が軍事化傾向に進んでしまったのも事実です。石破総理になり、トランプ大統領との関係がどうなるかは未知数。石破総理は中国との関係改善を図り、昨年11月には中国政府が日本人に対する短期滞在ビザ免除措置を再開。アメリカと中国の間でどう立ち回るのか、今後の石破外交の真価が問われます。

トランプ氏は大統領選で、「当選したら24時間以内にウクライナとロシアの紛争を終わらせる」と訴えました。具体的にどう決着をつけるのか、イスラエルや北朝鮮に対してはどう動くのか、平和的に解決できるのであれば大歓迎です。ただ、排外主義で移民には厳しい措置を下すことに。また、環境問題には否定的、気候変動対策は後退するでしょう。今年の11月、ブラジルでCOP30が開催されます。ブラジルは中国やロシアと関係が深い。2025年、対アメリカのアライアンスがトランプ政権に何を要求するか注目です。

Profile

堀 潤

ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。メインキャスターを務める報道情報番組『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜18:00~19:00)が放送中。

写真・小笠原真紀 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

anan 2429号(2025年1月8日発売)より

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天一天上の16日間は方位の禁忌がない期間とされます。他方、天一(鶴神ともいう)が渡り歩く44日間は5〜6日ごとに北東から時計回りに避けるべき方位が定められています。その信ぴょう性はともかくとして、一般的に言って衝動に流された行動は利が薄いか、デメリットのほうが多いものです。心に余裕をもっておおらかに。

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