――お二人の出会いからコンビ結成までの流れを教えてください。
土岡哲朗(以下、土岡):青学(青山学院大学)の落語研究会(以下、落研)の先輩後輩でした。ぐんぴぃのほうが2つ上ですが、2年目からは同学年で。
ぐんぴぃ:1浪して入って、2年目でもう留年したからね。
――お笑いではなくなぜ落研に?
ぐんぴぃ:お笑いサークルを観に行った時、ちょうど大喜利をやってて。“こんな学校はいやだ”みたいなお題を水着姿のラウンドガールが持っていたんです。「ムリだ…」って逃げるように落研に。でも伊集院光さん(元落語家)に憧れてたのも理由の一つでした。
土岡:僕は高校時代、誰とも喋ってなくて友達もいなかったので、リハビリで落研に入りました。
――お互いの第一印象は?
土岡:ぐんぴぃとは新歓で一度会っただけなので…(笑)。
ぐんぴぃ:その後、引きこもりになったからな。土岡は“陰気なリハビリやろう”。でもすごく面白かったから友達になって。ある夜、肝試しをしながら一緒に帰ってたら、土岡が俺をまいていなくなったんですが、急に陰から「へっへっへ、やあ山口くん!(ぐんぴぃの本名)」って出てきて。「山口さん」から「山口くん」になったのはそこから。完全に俺を舐め始めた。あの時、本当の土岡は神隠しに遭って今も違う土岡のまま。
土岡:隠れていた時の記憶がないからそうかもしれない(笑)。大学を卒業してぐんぴぃは会社員に、僕はニートになったんですが、1か月ぐらい経った時に僕から「芸人やりません?」と誘ったんです。
ぐんぴぃ:土岡がネタを書くなら勝算があるかもと思った。でも俺、古本屋に就職したんですけど、すぐ辞めるのは気まずいし、レジ横でエロ漫画を売り出したら売り上げが全店1位になって表彰されちゃったから「もうちょっと待って」って。3年後にやっと会社を辞めて、コンビを結成。アマチュアでやっててもうまくいかなくて、タイタンの養成所に入りました。
――『キングオブコント2024』で準決勝に進出など順調に見えますが、転機はありましたか?
ぐんぴぃ:ananで言いたくないんですけど、やっぱり“バキ童”になっちゃいます。ある日、街頭インタビューで俺が「バキバキ童貞です」とカミングアウトしたことが日本中に拡散されて。本当は童貞を隠してたから、めっちゃ嫌でした。でも、バキバキ童貞に会いたがってるというセクシー女優さんからYouTubeに呼ばれて童貞の話を詳しくしたら、一気に100万再生を超えて。気がついたら「バキ童チャンネル」をやることになってました。
――そのチャンネル登録者数は今や170万人超えですね。
ぐんぴぃ:もともとはお笑い芸人として、おしゃれなシティ派コントみたいなのがやりたかったんです。でもバキ童で知られちゃって、尊いお笑いと、童貞でからかわれていることを一緒にされたくなかったから、芸人であることを隠していたんですよね。いま思えばそれがうまくいったんでしょうね。お笑いと認識せず、肩肘を張らずに観てくれるようになったから。またもう一つの転機は、演劇に出てたんですけど、それを観てくれたプロデューサーが、ドラマ『大病院占拠』に呼んでくれて。視聴率も良かったから、そこで名前を知っていただいたり、テレビにも呼ばれるようになったんです。友達の櫻井翔くんのおかげです。
土岡:いや友達じゃないよね。お仕事でちょっと関わった人。
――売れてきたという実感は?
ぐんぴぃ:テレビに出るようになり自分たちの得意不得意がわかってきて、うまくいかないことのほうが多い。共演して令和ロマンの凄さがわかったし、二人が全ボケ全ツッコミしてくれるから、ただキモいことばっかり言うしかなかったり、それが全カットされたり。
――売れたと実感するには?
ぐんぴぃ:YouTubeでコアにウケながら大衆にも受け入れられて、いろんな番組に呼ばれること。お笑いもやりロケでも体張れて。両方できたら“売れた”かも。
土岡:僕はそれまで、テレビで見るお笑いしか知らなかったし、子供の頃は子供番組の芸人さんしか知らなかったんですけど、だからそこまで行きたいですね。まず大学生の頃の自分みたいなやつを楽しませて、次に中学生の頃の自分、そして子供の頃の自分が楽しめるような番組に出られるようになったら、売れたと思えるのかも。
――2025年の目標は?
ぐんぴぃ:ananのセックス特集に出たい!
土岡:童貞役でね!(笑)
PROFILE プロフィール
春とヒコーキ
ぐんぴぃ(右)と土岡哲朗(左)によるお笑いコンビ。2017年に結成。公式YouTubeチャンネル「バキ童チャンネル」は登録者数170万人超え。’25年1月31日には、ぐんぴぃさん主演で土岡さんも出演する映画『怪獣ヤロウ!』が全国公開予定。