ゆっきゅん「これからも東京のことは考えていたいし、慣れずに見ていたいし、歌っていくんだろう」

エンタメ
2024.09.25
ゆっきゅんの連載「ゆっきゅんのあんたがDIVA」。漫画家・冬野梅子さんとの対談を終えたゆっきゅんが、前回までを振り返って言葉を綴ります。

光っているように見える“この一曲が好き”という想い。

ゆっきゅん

作品を愛読している冬野梅子さんとはいつかゆっくり話してみたいと思っていながら、トークイベントに来てくれたり、ライブに来てくれたりしていても、いつも気づいたら帰られているので、今回やっと話すことができて念願の時間でした。冬野さんは以前私の「NG」という曲を好きだと言ってたことがあって、私は「NG」が好きと言ってくれた人のことをよく覚えているんです。

DIVAについて、エイミー・ワインハウスのファンではないけど「Tears Dry On Their Own」という曲が好きだという話をしていたのがなんかすごく愛しくて。対談の中でも話しましたが、私は「ファンじゃないけどこれだけ好き」みたいなのって、なんか力を感じるというか、好きが光っているように見えるというか、かっこいい! って思うんですよね。ヒット曲だけ知ってる、とはまた別の趣がある感じがする。たとえば私は中学生の時に平井堅さんのラジオで古内東子さんの歌を初めて聴いて、それは「心を全部くれるまで」というアルバム曲でした。その曲が入ったアルバム『Hourglass』を借りて、「心を全部くれるまで」にどハマりしていたんですが、大人になってから、それは代表曲とか人気曲って感じでもたぶんない(名曲ではあります!)ことにふと気づいて。なんかそれって、芸術と二人きりになれているような感じがして好きな現象なんですよね。自分の話長くなってしまった。

あと、上京者にはやはりシンパシーを感じてしまうんですよね。田舎育ちという点にコンプレックスはそんなにないんですけど、やはり田舎からここへ来た人にしか見えてこない「東京」の実像があって、私たちはそれを作品に積極的に映そうとしてしまうところがある。これからも東京のことは考えていたいし、慣れずに見ていたいし、歌っていくんだろうって改めて思いました。

冬野さんと喋っていると、漫画作品の中の描写にもよくあるような内省的で客観的な感情のディテールへの鋭い分析のようなものがすらすらと出てきたり、さらっと偏見(それを自分でも偏見だとわかっている感じで笑)が出てくるのも、らしさを感じて私は楽しかったです。今度は映画に誘わせてください。

はあ、冬野さんの読者に、私のアルバム聴いてほしいなあ!

ゆっきゅん 1995年、岡山県生まれ。2021年からセルフプロデュースで「DIVA Project」をスタート。セカンドフルアルバム『生まれ変わらないあなたを』が好評発売中。インスタ、Xは@guilty_kyun

※『anan』2024年9月25日号より。写真・幸喜ひかり 文・ゆっきゅん

(by anan編集部)


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