真言宗豊山派の総本山。四季を通じて花に彩られた「花の御寺」、長谷寺で過ごす至福の時。五感を揺さぶる奈良への旅。大和四寺巡礼へ。1

エンタメPROMOTION
2024.04.23

photo : Yoshiki Okamoto text : Mako Yamato edit : Akira Ikeda PR・JR東海

新幹線を京都で降りて、車窓からの美しい風景を眺めながら向かったのは、奈良県中央部の大和エリアに位置する「大和四寺(やまとよじ)」の巡礼旅。そこは穏やかな隠れ里で、触れられるほどの近さで歴史や文化を体感でき、リフレッシュできる場所です。まずは源氏物語や枕草子にも登場する古刹(こさつ)、長谷寺を訪ねます。
長谷寺
4月から5月にかけての長谷寺はまさに牡丹の饗宴となる。登廊(のぼりろう)の両側には150種類7000株の牡丹が咲き誇る。写真提供/一般財団法人 奈良県ビジターズビューロー

長谷寺 (はせでら)
奈良県桜井市初瀬731-1 ☎︎0744-47-7001 拝観:4〜9月8:30〜17:00、10〜11月・3月9:00〜17:00、12〜2月9:00〜16:30 拝観料¥500、春期特別拝観(〜7月7日)¥1,000 近鉄大阪線長谷寺駅下車、徒歩15分。
奈良map



観音様に触れて心穏やかに祈る。

花の御寺として広く知られるようになった長谷寺。登廊の脇を中心に境内には150種、約7000株もの牡丹が植えられている。初夏には境内に3000株ある紫陽花に加え、登廊から続く嵐の坂に200鉢が置かれて華やかさもひと際。桜の季節は境内が桜色に染まり、秋には紅葉する木々が鮮やか。どの季節に訪れても花の御寺にふさわしい姿で出迎えてくれる。写真提供/長谷寺、一般財団法人 奈良県ビジターズビューロー

奈良時代に創建したと伝わり、平安時代には観音霊場として広く信仰を集めた長谷寺。初瀬山の中腹にあり、起伏に富んだ境内を早春の梅から始まり、春は桜に石楠花(しゃくなげ)、そして牡丹。夏は紫陽花、蓮、百日紅(さるすべり)。秋は菊に金木犀、紅葉。冬は牡丹に椿と、途切れることなく折々の花が彩る様子は、まさに花の御寺の名にふさわしい。古今和歌集に収められた「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」の和歌は、長谷寺で幼い頃を過ごした紀貫之が境内の梅を眺め詠んだもの。屋根付きの風雅な階段・登廊の両脇を中心に4月半ばから5月にかけて色とりどりに咲き誇る牡丹も、唐の皇妃・馬頭夫人(めずぶにん)が心願成就のお礼に贈った宝物に牡丹があったという故事にちなむ。

御本尊の十一面観世音菩薩立像は、徳道上人(とくどうしょうにん)が万人の幸せを願い造ったと伝わる。幾度となく焼失するものの、そのたびに再造されてきたのは人々の信仰のあつさのたまものだ。現存する十一面観世音菩薩立像は室町時代の天文7(1538)年に建立されたもの。10m18cmもの高さを誇り、木造の仏像としては国内最大級。圧倒的な存在感を放っている。本堂へと入り、 そのお御足に触れられるのが春と秋の特別公開。静かに祈りを捧げ、観音様のご利益を願いたい。

大仏師・運宗(うんしゅう)らが手がけ、室町時代に造られた御本尊の十一面観世音菩薩立像。右手には錫杖(しゃくじょう)、左手には水瓶を持ち、大磐石(だいばんじゃく)という台座に立つ。本堂に入り足元から見上げれば、その迫力に圧倒される。長谷寺の僧侶は日々、観音様のお御足に額をつける仏足頂礼(ぶっそくちょうらい)と呼ばれる礼拝を行うという。特別拝観ではお御足に触れて参拝できる。

国宝に指定されている本堂は、標高約548mの初瀬山の断崖絶壁に立つ大殿堂。御本尊が安置された正堂と、内舞台と外舞台からなる祈るための礼堂を併せ持つ。「祈りの回廊 朝の勤行」として夏時間は朝6時30分から、冬時間は朝7時から、袈裟を身に着けて読経に加わることができる。そのあとは僧侶による遥拝、十一面観世音菩薩立像の拝観ができる。参加料500円。

天空の御寺とも呼ばれる長谷寺。外舞台に立てば空を近くに感じ、境内の四季の花を堪能できる。天神のおわす与喜山を拝むためという外舞台は、幅約12.75m、奥行き約8.67mもの広さ。ほかに仁王門から本堂へと続く屋根付きの399段の階段・登廊や、昭和の名塔とされる五重塔など見ごたえのある建造物がいくつもある。

長谷寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。

やまとびとのこころ店

右から左前人形¥3,960、力士¥5,500。左前人形は着物が左前になっており、古墳に埋葬されたルーツを伝える。実は奈良は相撲発祥の地。野見宿禰と当麻蹴速(たいまのけはや)が垂仁天皇の前で相撲をとったと「日本書紀」に記されていることから、力士も長く作られてきたモチーフ。

奈良に受け継がれる歴史や文化を伝えるため、地元・桜井の印刷会社によって1998年に創刊された季刊誌『やまとびと』。ショップ&カフェ『やまとびとのこころの店』には、編集部が取材するなかで出合った魅力あるものが並ぶ。とりわけ目を引くのが鮮やかな色づかいの大和出雲人形だ。遡ること2000年前、垂仁天皇に仕えた野見宿禰(のみのすくね)が、殉死に代えて土偶を埋めることを提案。出雲より呼び寄せた土師(はじ)に作らせた土偶をルーツに、長谷寺参りの土産物として長く作られてきた。今では1軒だけとなった窯元で作られる出雲人形は、素朴な意匠が魅力。ほかにも江戸時代、街道の茶店の名物を復刻させた女夫(めおと)饅頭や、蚊帳用の織物の技術を生かしたストールなど、メイドイン奈良のいいものが揃う。

●奈良県桜井市初瀬830 ☎︎0744-55-2221 11:00〜15:00 月〜金休(祝日は営業) 長谷寺から徒歩5分。

やまとびとオリジナル ポチ袋¥330、封筒¥495、B6ノート¥495、奈良製やわらかストール¥2,200。

一如庵(いちにょあん)

椎茸など季節野菜を湯葉で巻いた大和菜寿司¥1,760、もり¥1,320。ほかに辛味大根を薬味に食べる辛味おろし、そばがきなど。

かつて奈良から伊勢へ向かった伊勢本街道に沿って、長谷寺から東へ。のどかな山間に現れるのが蕎麦・菜食『一如庵』だ。幕末に建てられたという風情ある古民家は、店主・桶谷一成さんの実家。手を加えすぎることなく改装した座敷は広々として、窓の外に見る緑も心地よい。主役の蕎麦は茨城と北海道の蕎麦を4種類にひき分けてからブレンド。きりりと冷水で〆た、繊細ながらコシのある蕎麦をすっきりした汁が引き立てている。共に楽しみたいのは見た目も美しく、菜食であることを忘れるほどボリュームある寿司や天ぷら。椎茸、筍、茄子と季節の野菜を使い宇陀の旬を伝える押し寿司は、今や蕎麦と並ぶほどの人気だという。口福のひとときのあとは、敷地内にある『うつわと日々 人雫』へ。桶谷さん曰く「人雫は人のアイデアが落ちてくるというイメージ」と、作り手の思いがこもった器や日々を彩る雑貨が並ぶ。旅の余韻を残す出合いが待っている。

●奈良県宇陀市榛原自明1362 ☎︎0745-82-0053 11:00〜14:30 17:00〜20:00(要相談) 月火休ほか不定休 席の予約は11:00〜と11:30〜のみ。昼のコース、夜は前日までの要予約。長谷寺から車で約15分。

立派な柱や梁に見とれる座敷。
2404jrc-01-10

小さなセレクトショップ『うつわと日々 人雫』。吉野檜の折敷など店で使われているものから、奈良で作陶する尾形アツシの器なども並ぶ。

総本舗 白酒屋

一つずつ手で焼き上げる「お焼き」。ジュッという音や香ばしい香りに足を止める人も多い。「お焼き」「青」ともに1個¥150。翌日は生地と餡が馴染んで、また違ったおいしさがある。

明治8(1875)年、現在と同じ長谷寺門前に造り酒屋として創業した『総本舗 白酒屋』の名物が草福餅。「甘いものが乏しかった戦時中、曽祖母が配給の砂糖をためて作ったもの。戦後になって名物になりました」と店主の谷口裕武郎さん。上用粉を蒸してから「ヨイショー、ヨイショー」の掛け声とともに木臼で搗(つ)き、餅の半量ほどのヨモギを加えた草福餅は、香り高く滑らか。ヨモギは春に芽吹く新芽だけを摘んで1年分を用意するという。中に包まれるのは北海道産小豆を使った自家製餡。こし餡を包んだ「青」と、粒餡を包んで軒先の鉄板で香ばしい焼き目をつけた「お焼き」の2種類は好みで。どちらもヨモギの風味が口に広がり、春の野を思い出させる。素朴な味わいが長谷寺で見た景色と相まって、心に残るに違いない。

●奈良県桜井市初瀬746 ☎︎0744-47-7988 9:00〜17:00 不定休 長谷寺門前に店を構える。

ヨモギの鮮やかな緑がみるみるうちに餅生地を染めていく。

杵を持つ谷口さん。隣にはもう一つの名物、奈良漬を扱う店舗がある。

Information
いざいざ奈良 大和四寺編

いざいざ奈良

「いざいざ奈良」キャンペーン、今回は大和四寺をピックアップ。豊かな自然や文化が守られて息づいているエリアで五感で楽しむ唯一無二の旅をしてみませんか。キャンペーンの特設サイトでは、大和四寺エリアでの旅の楽しみ方を紹介。

キャンペーン特設サイト

さらに、奈良への旅行が楽しくなる「いざいざ奈良」だけの特別な旅行プランも登場。大和四寺を巡るスタンプラリーキットと併せて巡礼を楽しみたい。長谷寺では、声優による源氏物語「玉鬘(たまかずら)」朗読劇のオリジナルプランも企画中。

特別旅行プランはこちら


この記事は、JR東海のスポンサードで製作したものです


PICK UPおすすめの記事

MOVIEムービー