ファンタジーの王道ながら、近年さらに盛り上がりを見せている、異世界転生。『私の息子が異世界転生したっぽい フルver.』原作者のかねもとさんは自身が親になって、大好きなこのジャンルに複雑な思いを抱くように。

喪失感と向き合い、寄り添い、異世界という希望を探す。

Entame

「主人公が最初に死んでしまうので、残された親はどうしているのか気になってしまい、それが本作を描くきっかけになりました。冒頭で死んで別世界に行く、ある意味パターン化されたストーリーの持つ力についても、考えてみたかったんです」

物語は息子を事故で失った葉山美央が、元同級生の堂原智太と17年ぶりに再会するところから始まる。ふたりは高校時代、たまたま同じ教室にいただけで、話したことなどほとんどなかったが、美央は堂原に異世界転生したであろう息子と会う方法を教えてほしいと打ち明ける。

「異世界転生自体がファンタジーなので、登場人物はなるべく現実離れさせないことを意識しました。ギャルママっぽい美央とオタクな堂原ですが、テンプレ的なキャラクターにせず、『フルver.』として厚みを持たせたいと思っています

本作を「フルver.」と位置付けているのは、かねもとさんが自主制作した同名作をベースにしながら、作画にシバタヒカリさんを迎え、新たな物語として発展させているから。

「自主制作版は、画力と時間の問題で描き足りなかったところが結構あって、その種を取っておいたのです。シバタ先生が作画をしてくださるから追加できたエピソードや、細かく描き込まれた部分から新たに考えることも多く、ストーリー面でもかなり支えてもらっています」

転生方法を探すやり取りもそのひとつ。美央の突飛な行動に堂原が振り回される展開は、真剣なほどおかしく、深い悲しみを滲ませている。

「堂原にとっては、美央みたいな美人が現れることが憧れの異世界転生に似た体験ともいえますが、現実は物語のようにかっこよく振る舞えない。だけど美央が救われる方法を教えてくれるのは、たぶん堂原だと思うので、本当に人を助けたり、関わりを持つのはどういうことなのか、丁寧に描いていきたいです」

2巻以降は、オリジナルではほぼ触れられていない美央のこれまでや、夫との関係にも話が広がるそう。

「美央と堂原の絆が深まるぶん、乗り越えなければいけない問題も大きくなっていくはず。ぜひ読んでいただきたいです!」

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原作・かねもと 作画・シバタヒカリ 『私の息子が異世界転生したっぽい フルver.』1 息子を失った美央と、物語の世界に現実逃避してきた会社員の堂原。息子が好きだったラノベなどを頼りに、異世界への転生方法を探す、喪失と再生の物語。小学館 650円 ©かねもと・シバタヒカリ/小学館

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かねもと マンガ家。ネットで発表した『伝説のお母さん』が話題となり単行本化。自主制作版『私の息子が異世界転生したっぽい』も発売中。

※『anan』2022年3月2日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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