食事ルールで、リセット体質にシフト!
正しい食選択なら、食べながらでもリセットできる!
「体型を変えたいという場合、食事の指導は不可欠です。かつては食べたいものを食べたくてジムに通って運動しているんだから、なんとかして! という女性が少なくありませんでした。となると、相当の時間と労力を運動に注ぎ込む必要があります。そこまでできないとなると、食事以上に効果のあるものはない、という考えに行き着きました」
まずは、6つの基本ルールでベスト対策を習慣化。さらに+α3ルールで、より細かくあなたの食の好みにカスタマイズを。
「まったく食事を制限しないのはもちろんですが、頑張りすぎもNG。ダイエットは、より“頑張り感”が少ないのは何か、自分の落とし所を探していく作業。無理なく食べられるカラダにいいものの選択肢を広げていくことが大切」
さあ、2段構えのメソッドで内臓脂肪にサヨウナラ。
6つのルールでベスト対策。
内臓脂肪の対策で大切なのは、抜き差しではなくバランシング。これを守れば間違いなし! の6大ルールを紹介します。
ルール1:1日あたりの食事回数
基本は3食+補食1回。
森さんの指導するダイエットに“食べない”という選択はない。食事は1日3食、それだけでなく補食1回をプラス。
「欠食すると短期的には効果が見られますが、筋肉が減り、糖質の取り込みが悪くなってしまいます。こうなると、筋肉が少ない→内臓脂肪がつきやすいという悪循環に。実際1日1.5食で内臓脂肪だけ落ちないという人もいます」
補食を摂るタイミングは昼食と夕食の間、夕方の4時頃が目安。選び方はルール6を参考に。
ルール2:食事を摂る時間帯
食間を6時間以上空けない。
補食を取り入れる理由はもうひとつ、血糖値の乱高下を防ぐためだという。
「朝食を9時に食べたら15時くらいまでにランチを食べれば血糖値の乱高下は起こりません。問題は昼食と夕食。この間が6時間以上になると血糖値が下がりすぎてしまいます。すると、次に食べたときに血糖値が急上昇してインスリンが大量に出て、今度は低血糖状態に」
遅い夕食で夜中に低血糖になると、疲労感から睡眠の質が低下。そのまま朝食を欠食→筋肉量低下という負のループも。
ルール3:1日のボリューム配分
朝3:昼4:夜3に。
1日3度の食事をマストとしたら、次に考えたいのが3食のボリューム。
「朝食のボリュームが最も大きいのが理想ですが、あまり現実的ではありません。朝3:昼4:夜3くらいのバランスでランチのボリュームを多めにすることをおすすめします。1日で1800kcal摂るとしたら、朝と夜が540kcal、昼に720kcal程度に振り分けます」
朝はタンパク質や野菜など具だくさんなサンドイッチ、昼はサバ味噌煮定食、夜はひとり鍋的なイメージで。
ルール4:食事中の食べる順番
炭水化物を最後にする。
一時は話題になったベジファーストは必ずしもダイエットに有効、というわけではない。実験では食事を始める15分前に野菜を摂ると血糖値の急上昇を防げるというが、これを実際の食生活に取り入れるとなると難しい。
「15分前でなくとも野菜を先に食べて咀嚼をすることで食の前半に満足感が得られ、食事量は抑えられると思います。血糖値を急上昇させないためには、とにかく野菜やタンパク質を最初に食べ、最後に炭水化物を摂ることがポイントです」
ルール5:1回のご飯量
120g(外食メニューの“少なめ”サイズ)。
内臓脂肪になりやすい栄養素は糖質。だからといって糖質はオールカットという考え方はNG。糖質は最も手っ取り早いエネルギー源で、完全にオフにすると足りないエネルギーを補充するために筋肉のタンパク質が分解されてしまうリスクが。よって、1日3回の主食は若干減らしつつ必ず摂るのが基本。
「主食の最適量は、運動していない女性の場合、120g程度が目安です。茶わん1杯は150gなので、“ごく軽く1杯”を習慣化しましょう」
ルール6:補食の選び方
フルーツor和菓子を選択。
昼と夜の食事の間が6時間以上空くと分かっているときは、夕方に必ず補食を取り入れる。食べることを恐れるなかれ。むしろこのタイミングで食べることが内臓脂肪を落とす近道。
「おすすめの補食はフルーツや少量の和菓子など。もちろん、食べすぎは禁物、こぶしひとつ分くらいの量に抑えましょう。みかんや小ぶりのリンゴ1個、小さな大福1個程度と考えてください。糖と脂質が組み合わされてできている洋菓子は避けた方が無難です」
フードチョイス豆知識
よかれと思って食べていても、食べ方によっては注意が必要なフード、ちゃんと分かってる? 選択の手助けにチェックを。
推奨フード
【高カカオ】
カカオ成分が70%以上の高カカオチョコレートは、消化吸収がゆっくりな植物性タンパク質と食物繊維が豊富なので、血糖値の急上昇を防いでくれる。カカオポリフェノールの脂肪燃焼作用にも期待大。1日数回少量を。
【お酢】
お酢に含まれる酢酸は糖や脂質の吸収を抑え、酢酸自体がエネルギーとして利用される。また、毎日大さじ1杯の酢を摂り続けた結果、内臓脂肪が減ったという科学的なデータも。基本調味料として積極的に利用したい。
【水溶性食物繊維】
海藻類や根菜類に含まれている水溶性食物繊維は腸内細菌のいわゆる「善玉菌」のエサになる。善玉菌が水溶性食物繊維を分解して作る短鎖脂肪酸は血液に乗って脂肪組織に働き、脂肪を燃焼させることが分かっている。
注意フード
【ドライフルーツ】
水分がほとんど含まれていないので、水溶性ビタミンの補給など、果物を丸ごと食べるメリットが失われてしまう。一粒が小さいので、ついつい量を食べすぎてしまうリスクもアリ。食べる量を決めて口にしたい。
【スムージー】
入れる食材にもよるが、飲みやすくするためにバナナ1本、オレンジ1個を丸ごと入れる行為は注意が必要。糖質が一気にカラダに入り込み、内臓脂肪として蓄積されてしまう。スムージーを飲むなら野菜主体のものが◎。
【グラノーラ】
グラノーラには砂糖が添加されているものが多く、また、あのカリカリした食感は油をかけて焼いているから。うっかり食べすぎてしまうと内臓脂肪増の原因にも。適量を守りつつ、油や砂糖不使用のものがベター。
【フルーツジュース】
果物そのものはカラダにいいけれど、ジュースにすると糖質の吸収が早まり、内臓脂肪への変換率がアップ。また果糖ブドウ糖液糖という人工甘味料が入ったフルーツジュースはさらに吸収がスピーディに。ご用心を!
【はちみつ】
夜寝る前のスプーン1杯のはちみつは低血糖を防ぎ、睡眠の質を上げてくれる。注意すべきは口にする量。毎日トーストやヨーグルトにたっぷりかけて食べるのは糖質の過剰摂取。ティースプーン1杯を限度に。
【オイル】
サラダ油やオリーブオイルの摂りすぎは禁物。内臓脂肪になりやすいのは糖質、でも脂質も摂りすぎればやはり内臓脂肪蓄積の原因に。同じ油でもおすすめなのは、エネルギーとして利用されやすいMCTオイル。
森 拓郎さん パーソナルトレーニングスタジオrinato代表。足元から顔までを美しくするボディワーカーとして、運動、食事を指導。モデルや女優などから絶大な支持を得ている。
※『anan』2022年1月26日号より。イラスト・ユア 取材、文・石飛カノ
(by anan編集部)