【ビジネスマナー】「謝罪時のNGマナー」正しい言葉遣いを知っていますか?
謝罪フレーズの場面別言い換え
【元社長秘書のマナー講座】vol. 12
細心の注意を払っていても、誰にでもミスをしてしまうことはありますよね。プライベートでもビジネスでも、「謝罪」をしなければならない場面に出くわすことは多々あるのではないでしょうか。ときには、謝罪の言葉を伝えてもなかなか相手に伝わらない…ということもあると思います。今回は、場面に合わせた「謝罪の言葉」の言い換えについてご紹介します。謝罪の場面にこそ、その人の品性が現れると筆者は思っています。フレーズを覚えておき、相手との良好な関係作りに役立ててくださいね。
謝罪レベル 軽度
業務に“影響の少ないミス”を起こしてしまった場合や、軽い内容の謝罪、同僚や友人など近しい人に向けて使うのに適した言葉です。謝罪相手との関係性にもよりますが、顧客や取引先、目上の相手の場合にはやや軽すぎる印象になるため、どちらかといえば社内向けの謝罪言葉として覚えておきましょう。起こしてしまったミスに対して、あまり大げさな言葉を使ってしまうと、かえって仰々しすぎる印象を与えてしまうこともあるので注意が必要です。
「申し訳ございません」
わざわざお越しいただきましたのに、ご要望にお応えできず申し訳ございません。
「失礼いたしました」
質問が重複してしまい失礼いたしました。
「お詫び申し上げます」
本来なら直接お伺いするところですが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
「以後、気をつけます」
ご指摘いただきました点、理解しました。以後気をつけます。
「二度といたしません」
同じ過ちは、二度といたしません。
謝罪レベル 中度
中度は、取引先とのトラブルや社内での“大きなミス”といった業務影響がある不手際や過失を起こしてしまった場面を想定した言葉です。軽度よりも丁寧な謝罪となり、社内だけでなく社外へのお詫びをしなくてはならない場合にも使える表現です。
「大変申し訳ございません」
この度はご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。
「誠に申し訳ございません」
この度は弊社の不手際で多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
「心よりお詫び申し上げます」
取り返しのつかない事態を招いてしまい、心よりお詫び申し上げます。
「お詫びの言葉もございません」
先だってはご無礼の段、お詫びの言葉もございません。
「謹んでお詫び申し上げます」
不適切な表現で誤解を与えることとなりましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
謝罪レベル 重度
重度は、業務影響が非常に大きい“重大なミス”を起こしてしまった場合や深い謝罪の気持ちや反省を表す必要がある場合を想定した言葉です。非常にシビアな場面が想定されるため、ただ下記の言い回しを覚えて使うだけではなく言葉の選択や言い回しにも配慮と心のこもった対応が必要となりますので覚えておきましょう。
「弁解の余地もございません」
今回のミスは当方の情報伝達不足によるもので、弁解の余地もございません。
「不徳の致すところでございます」
今回のミスは弊社の不徳の致すところだと認識しています。今後は信頼回復に努める所存です。
「陳謝いたします」
このたびの不始末につき衷心より陳謝いたします。
「猛省しております」
猛省いたしますとともに、今後は改善できるように努めてまいります。
「慙愧(ざんき)の至りでございます」
私としたことがあのような不祥事を引き起こし、慙愧(ざんき)の至りでございます。
謝罪の言葉と合わせて覚えておきたいフレーズ
お詫びする原因が自分自身にあるときには、以下のようなのフレーズと組み合わせて使用するとより誠意が相手に伝わりますので覚えておきましょう。「誰に」「どんな」迷惑をかけ、「何が原因だったのか」といった要素を考慮したうえで、最適な表現を心がけながら謝罪をしましょう。
「とんだ不始末をしでかしまして〜」
当社の契約社員がとんだ不始末をしでかしまして、誠に申し訳ありませんでした。
「とんだ失態を演じまして〜」
とんだ失態を演じてしまいまして、まことにお恥ずかしい限りです。
「このような事態を招いてしまい〜」
このような事態を招いてしまい、本当に申し訳ございません。
「ご不快の念をおかけいたしまして〜」
ご不快の念をおかけしました。誠に申し訳ございません。
「ご期待に添えず〜」
新製品の発売が遅れてしまい、ご期待に添えず申し訳ございません。
おわりに
「謝罪」の度合いにより、状況に応じた適切なフレーズを使うことがとても重要です。状況にそぐわない言葉を使ってしまうと、相手の感情を逆なでしてしまう可能性もあります。もちろん、言葉だけではなかなか伝わらない状況もあるかと思います。そのような場合には、きちんと面と向かって、誠意が伝わる自分らしい言葉で「ごめんなさい」と伝えることだと思います。決まりきった文言では言葉の温かみが伝わりにくいので、本当に自分が謝罪をしたいと思った相手には、直接会いに行き自分の言葉で態度と気持ちをしっかりと伝えてみてください。相手に誠意を見せることで、きっとその想いが相手にも伝わるはずです。
<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。
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