King & Princeふたりの全国ツアー『King & Prince LIVE TOUR 2023 ~ピース~』詳細レポ!

写真・くさかべまき 取材、文・福田恵子 — 2023.10.24 — Page 1/2
King & Princeが約1年ぶりの全国ツアー『King & Prince LIVE TOUR 2023 ~ピース~』を全国7都市24公演で開催。2023年8月末に宮城セキスイハイムスーパーアリーナからスタートした本公演から、10月22日(日)神奈川・Kアリーナ横浜で行った昼公演のピースフルなステージの模様をたっぷりレポートします。

King & Princeの“今までとこれから”が繋がる瞬間―― ふたりだけの初の全国アリーナツアー

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万華鏡のように美しい幾何学模様が丸いスクリーンに映し出されたステージ――。幕開けをドラマティックに盛り上げる鐘の音色が大きく鳴り響くと、永瀬廉さんと髙橋海人さんが登場。白いロングジャケットを翻しながら、ふたりが並んで歌ったのは、飾らない愛の言葉を伝えようとするロマンティックな「My Love Song」だ。会場の温度をホットに温める甘いラブソングに、会場のペンライトがやさしく揺れる。

ふたりが創り上げた初めての全国アリーナツアー。King & Princeにとって5枚目となる最新アルバム「ピース」を引っ提げたツアーは、“平和”や“楽しさ”、“ふたり”など、アルバムタイトル同様にさまざまな意味が込められている。コンセプトは、肩肘張らず、気負わず、自分たちが先ずは楽しむこと――。彼らの笑顔につられて、会場のティアラ(ファンの総称)たちにも笑顔の花が咲く。

2曲目の「Magic of Love」の冒頭で永瀬さんが「『King & Prince Live TOUR 2023ピース』へようこそ! 楽しんで行くぜ!」と叫んで、花道へ駆け出すふたり。永瀬さんが歌うパートでは客席に手を振っていた髙橋さんは、待ちわびていたかのように「横浜の皆さん、どうも海人でーす! 皆、俺たちに会いたかったですか?」と会場に呼びかけ、ファンの歓声に耳を傾ける。「OK! その調子で最後まで一緒に盛り上がっていきましょう、よろしく~!」とニコリと微笑む。

新生King & Princeとして今回のライブは、新たな出発点。その船出の瞬間を大事に、大事に、作り上げてきたという。新たな旅路を踏み出す覚悟を持ったふたりだからこそ、ライブの幕開けは、ファンの反応を確かめるように会場に集まった2万人を見渡す姿が印象的だ。

そして、今回は今までのKing & Princeの歴史や楽曲を大事にしながら、ふたりでの新しい見せ方にもこだわったステージにしたいという想いも込められているという。今までのヒット曲も盛りだくさんで、ライブで幾度も披露してきた「koi-wazurai」「恋降る月夜に君想ふ」も、もちろん新たな立ち位置と歌割りだ。過去と現在が重なり合う瞬間は、ちょっぴり切なくも、ふたりが奏でるハーモニーの化学反応のマジックが新たな楽曲のスタイルを生み出していく。

まるで不思議の国のアリスのお茶会のような世界観がスクリーン映像に映し出されたのは、「静寂のパレード」。軽快なメロディーが鳴り響くと、カラフルな電飾のツリーのネイチャーなトロッコに乗ったふたりがアリーナの観客のすぐ目の前へ。このツアーのバックについて盛り上げる7 MEN 侍がフラッグを持って、キュートに行進。今回は、ダンサーや7 MEN 侍のメンバーと共に織り成すダンスパフォーマンスも目玉のひとつ。ハートフルな前半戦は、永瀬さんと髙橋さんの持ち味でもある“ゆるさ”を最大限に発揮できる楽曲が詰まっていた。

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ふたりの息がぴったりと改めて判明したのは、MC。永瀬さんの「我々ふたりが~、せーの!」というフリで声を揃えて「King & Princeで~す!」と、自己紹介からスタート。今年の9月から開業したばかりのKアリーナ横浜でライブをするのはもちろん初めてのこと。

髙橋さんが「このKアリーナは、ブロックごとに分かれているから…いちばん上、7階の皆、元気ですか? おぉー、昼なのに声出てらっしゃいますね」「5階の皆、元気ですか? お~、デカイ。負けてられない(笑)」「3階の皆、元気ですか?」といった具合にブロックごとにふってコール&レスポンスを。音楽のために造られた最大級のアリーナは、観客の声援もしっかり届くため、髙橋さんは「気持ちいい~」と大声援に嬉しそうな表情だ。

永瀬さんは「初めてKing & Princeに会ったよっていう人は、どれくらいいらっしゃいますか?」と会場を見上げて質問。「結構多くない? ありがとう、来てくれて」とティアラとのコミュニケーションを楽しむふたり。髙橋さんが「キッズの皆さん、元気ですか?」と会場に尋ねた「イエーイ!」という声を聞いた永瀬さんが「めちゃめちゃ20代くらいのキッズが何人かおったけど(笑)」と、思わず噴き出す一コマも。

この日、話題に上ったのは、前日のライブ公演を観に来た髙橋さんの父親の話。永瀬さんが「海人パパの横に俺の友達4人いて。隣の席になった海人パパが俺の友達に『お前らジュニア?』って聞いてきて。俺の友達は毎回、パパとライブで一緒になるたび、『ジュニア?』って聞かれるらしい。次くらい友達になっているかも!?(笑)」と髙橋さんに報告。友達は銀テープをキャッチできなかったけど、海人パパは、3、4本取っていたらしいとの情報で、「いくらでも俺に会えるんだから、そこはファンに譲って欲しいよね(笑)」と髙橋さんは苦笑い。

続いて、永瀬さんが「ようやく涼しくなってきたな。10月も暑かった~! 10月といえばハロウィンの季節。何かする予定あるの?」と、ハロウィントークへ。

「子どもの頃、知らない人のうちにピンポンを押して、お菓子をもらいに行ってたの。『トリックオアトリート』って」と、北海道にいた時代のハロウィンの思い出を語る永瀬さんに「えっ、アメリカ!? え、北海道もその文化、やってんの?」とビックリする髙橋さん。そして、「俺はよくお姉ちゃんの友達にトイレットペーパーでグルグル巻きにされて、ミイラみたいになって泣いてた」(髙橋さん)と可愛らしい話を披露するも、「そのトイレットペーパーはシングル?」と独特の視点でくいつく永瀬さん。軽快なテンポで続く他愛もない仲良しトークに会場は、ほっこりした空気に包み込まれる。

後半戦のセットリストに盛り込まれていたソロコーナーでは、それぞれの音楽の趣向の違いが楽しめるものに。髙橋さんは最新アルバムから『ワレワレハコイビトドウシダ』を7 MEN 侍のバンド演奏で披露。クリープハイプの尾崎世界観さんが楽曲提供した曲で、切ない恋の別れをユニークな感性で綴られているのが特徴。白Tシャツにクラッシュデニムというシンプルな衣装でスタンドマイクの前に立ち、スポットライトを浴びながら歌う髙橋さん。

永瀬さんのソロ曲は、「きみいろ」。こちらも最新アルバム収録曲で、初めての作詞(作曲を手掛けたYUUKI SANOさんとの共作)に挑んだラブソングをバンド演奏で歌い上げる。コンビニデートや何気ない日常を歌ったこの曲は、一見ふつうの恋のワンシーンに思えるが、永瀬さんにとっては、理想の恋を歌う曲。“きみいろ”に染まりたいというピュアな男心を、甘い歌声でときおり目を閉じて歌う姿に酔いしれるティアラたち。最後は、サイレントで“ありがとう”と、つぶやく。

メインステージ、バックステージ、花道やトロッコなど、会場をめいっぱい使用したステージには、会場に遊びに来たティアラに楽しんで欲しい、ティアラの近くへ行きたいという想いが溢れている。7階席の目線まで高く上がるゴンドラでは、歌いながら一生懸命に手を振る姿も。

そして、日本国内ツアーでの使用は初という最先端の電子花火を発生させながら180度波打つスパーク効果の特効を導入されたのは、「CHASE IT DOWN」。たちこめるスモークに華やかなレーザーや炎の特効が飛び交う中、ハードにダンス。火花が縦横無尽に動きながら吹き出すスパークラーにあおられながらのパフォーマンスは、迫力満点だ。

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終盤では、一部ティアラの「海ちゃん」コールが起こった後にまずは高橋さんから、今の心境を語るあいさつを。

「自分がこのライブに対して込めたメッセージは、皆が見終わった後にただ純粋に楽しかったねって笑顔でピースな気持ちで帰れるように頑張って作りました。ライブやっていて思うんですけど、皆が笑顔でいてくれるのは、全然当たり前じゃない。きっと俺たちの前では皆、笑顔を見せてくれているけど、自分たちが与えてしまった不安だったり、心配だったり、苦しさと、いっぱい戦ってくれたと思います。そんな気持ちを抱えながら、今日はキンプリのライブに、『楽しむぞ!』って思って来てくれたと思うんです。そんな皆さんを包容力がある女性たちだなと思います(笑)。皆に甘えてばかりな自分ですけど、ここにいる覚悟とこれからも皆といろんな景色を見たいっていう気持ちがあって。廉とふたりでもっともっとキンプリっていうエンターテインメントを楽しんでもらいたいっていう気持ちです」と、まっすぐに自分の言葉で語る姿は、誠実で一生懸命。

途中で、「あれ? 言葉がちゃんと紡げているか分からないんですけど、頭の中で上手く編集してください」と笑ったり、噛んだりする微笑ましい場面がありながら、「とにかく言いたいことは、人生の中のすごく大事な時間を僕と廉、King & Princeに使ってくれたことを本当に感謝しています。これからも皆の幸せの思い出の中に自分たちがいられるように、皆の心に残るように、頑張っていきたいと思います」と“ありがとう”の想いを伝える。

永瀬さんは「今日は皆様、改めまして、本当にありがとうございました」から始まり、この1年間、本当にたくさんのことがありましたね」と、しみじみ。そして、続けたのは今抱えている想い――。

「皆さんを悲しませたり、不安だったり、これからどうなっていくんだろうっていう心配を含め、いろんな気持ちを抱え込ませてしまったなと思っていて。どういかに皆さんの不安をとってあげられるか、その気持ちを埋めてあげられるには、何ができるんだろうって考えています。このライブもやっぱり皆さんが安心して楽しんでもらえるという目標を持って、海人とスタッフさんとしっかり作って。いざこうやって皆の前に立つと僕らが思っていた心配の気持ちは、一瞬で吹き飛んでいく。それだけ皆さんの楽しんでいる表情とか、顔とかのパワーってホンマに自分たちが思っている以上の力を持っているなって、毎公演やるたび思いますね」。

ファンから放たれる愛のパワーに助けられながらステージに立っているという永瀬さんは、自分自身もファンの力になりたい、恩返しをしたいと願っている。

「5月から僕たちKing & Princeは、新しい形として再出発しましたけど、今までの5年の歴史もしっかり背負いつつ、僕たち2人はKing & Princeとして活動していくという決断をしたので、皆さんが道に迷うじゃないけど、どうしていいか分かんなくなってしまったときに、その道の先を照らす光になりたい。道しるべとして皆さんを引っ張っていけたらなと思います。俺には海人がおるし、海人には俺がいるし、そして僕たちには皆さんがいるので。これ以上に心強いことはないと思っています。これからも安心して、僕たち2人とKing & Princeの歴史を一緒に作り上げていきましょう」。

ふたりがラストソングに選んだのは、すべてはここから始まった「シンデレラガール」。そして、アンコール1曲目ではふたりで再出発を切った「なにもの」だ。そんな新生King & Princeのふたりを彩ったのは、スクリーンに映し出される美しい大輪の花たち。いろんな思いを背負いながら歌う「シンデレラガール」は、あの頃の「シンデレラガール」と不思議とまた違った切ない輝きを放つ楽曲に。歌い終わり、「ありがとう」と、ささやく髙橋さん、大きく目を見開き、前をみつめる永瀬さん。

アンコールの「なにもの」は、ゴチャゴチャだった絵も、いつか壮大な風景に変わっていくと歌う曲で、彼らの等身大ソング。歌詞の通り、ふたりが歩んだ道のりを振り返れば、いつか、きっと爽快なストーリーに変わっていくはず。この2曲がセットリストの前後に繋がることで“今までとこれから”が繋がり、前向きな想いになって欲しいという想いが込められている。新生King & Princeが生み出すピースな空間は、ティアラという大切なピースが揃ってこそ、完成すると改めて気づかされたステージだった。

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