ラップがポジティブマインドを生み出す?! ラッパー対談から見えてきた、新しい自己肯定。【anan編集部リレー日誌】

2024.5.28
5月29日発売のananの特集は「自己肯定感の高め方」、ananでも恒例の特集です。正直なことを言えば、わたしはこの「自己肯定感」という言葉があまり好きではありません。なんとなく言葉に胡散臭さを感じてしまうことと(笑)、根が天邪鬼なので、「自己肯定感を高めよう!」と言われると「別に高めなくていいじゃん」と思ってしまったり。書店にズラッと並んだ自己啓発本やビジネス系の書籍も苦手で、いつもさまざまなベストセラーを横目に歩くスピードを早めて棚の前を通り過ぎていました。

じゃあどんな企画ができるかな、と考えたときに真っ先に思い浮かんだのが「ラップ」。それは今年の初め頃、たまたま地上波で放映しているMCバトルの番組にチャンネルを合わせたことをきっかけに、「言葉のバトルでどこまでも進んでいくラップって超面白い!」そんな気持ちがむくむくと膨れ上がっていたからです。

なかには「ラップなんて自己啓発系の企画とはもっとも縁遠い世界では…?」と思う方もいらっしゃると思いますが、MCバトルは韻を踏みながら相手をディスるのはもちろん、「自分ってこんな人間だ」とか「レペゼン〇〇(〇〇を代表してここに立っている)」といったことを主張したり、ポジティブな要素に溢れている。そしてなにより、大観衆に囲まれながら、即興で自分の思いを吐き出すなんて、ラッパーはみんな自己肯定感が高いに違いない! 

そう思ったわたしは、「KT劇場」と呼ばれる独特のラップスタイルで注目を集めた若手ラッパー#KTちゃんさんと、フリースタイルバトルで実績を重ね、近年はアーティストへの楽曲提供やプロデュース活動、MCバトルの審査員、オーディション番組のトレーナーなど幅広く活躍されているKEN THE 390さんの対談企画で、ふたりに“ラップと自己肯定感”について語っていただくことにしました。

KEN THE 390さんも#KTちゃんさんも、実は話しかけづらいオーラを放っていたらどうしよう…という若干の不安を抱えながら訪れた取材当日。スタジオに入られるまでは緊張とワクワク半々の状態でしたが、取材・撮影のすべての時間を通して、とても物腰の柔らかい雰囲気をまとったおふたりでした!
雑誌での対談企画は初めてとのことでしたが、ツーショットの撮影では「肩に手を乗せてもいいですか?」と#KTちゃんさんからKEN THE 390さんに提案する姿も。ラッパー界のレジェンド的存在と新星の邂逅は、とても刺激的なものでした。

そして「ラップと自己肯定感」をテーマにおよそ1時間半ワンテーマでみっちりと語っていただいた対談企画は、非常に濃密な時間となりました。

詳細はぜひ誌面でご確認いただけると嬉しいのですが、一番印象的だったのはKEN THE 390さんがおっしゃっていた、「ラップにはネガティブな自分を自己受容するセラピー的効果がある」ということ。もちろん周りの人に聞いてもらって「あなたの言っていること、カッコいい!」と称賛されることで自己肯定感が高まる(それについても対談で語られています)こともあるけれど、それよりも「マイナスことを考える自分も、ネガティブな自分も全部わたしだ」と受容できる状態になること。「素晴らしい自分」をどうにか作り上げ、無理に肯定感を高めるのではなく、「今の自分」をみつめ直し、認めてあげることが大切で、それができるのがラップなのだという発見がありました。
そして、「自己肯定感」という言葉も多様化していくなかで、自己受容は新しい自己肯定の形なのではないか、とも感じました。

誌面では、ラップに挑戦してみたい、と思った時にすぐに始められるアドバイスや、読者がモヤモヤしがちなネガティブワードにラップ発想でアンサーするという企画も。楽しみながら読み進めていただけると嬉しいです。

まだまだ冷めないラップ熱。わたしも、今日からリリックを書いてみたいなと思います。みなさんもポジティブマインドを目指してぜひチャレンジしてみてください。(HM)



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