まだ少し冷たい春の風に揺れるさらさらの髪。その間からのぞく魅惑的なまなざし。デビュー25周年を迎えるいまもなお、ますます輝くaikoさんの魅力と存在感。
「デビューから25年…。感想は『えっ、もう!?』ってかんじです。こんなにあっという間に過ごせる25年は、一生の中でもなかなかないと思います。もっと何かできたのではとも思いますが、必死だったし、楽しい時間でした。25年間でいちばん楽しかったことは…レコーディングもなんですけどやっぱりライブかな。スタッフやバンド、ファンのみなさんと私。その日のみんなの思いがひとつに結びつくライブがあるんですよ。法則みたいなのはわからないんですけど、その最中は天にも昇るような気分なんです。ライブの後は魔法が解けたように『終わっちゃった…』ってめそめそしちゃうくらいです。そして、『今日を超えるライブを自分はできるんだろうか』って、ホテルに戻る…その繰り返しをしているかんじですね（笑）」
幕が上がるまでチームの人たちと冗談を言い合って楽しい気分を高めて…暗転した次の瞬間、そのエネルギーをはじけさせる。そこにライブの神様が降りてくるのだという。
「そう思うと、私の開運アイテムは“人”ですね。信頼するみなさんと一緒に楽しくやれることが大事です。素敵なスタッフのみなさんに囲まれて、いますごく楽しいです」
前回ananに登場してくれた際にも「40代を楽しく過ごしたい」と話してくれたaikoさん。それから約2年。25周年の序章となるニューアルバムには、甘やかな過去と未来の狭間の「いま」に佇むaikoさんの姿が、歌詞の間に浮かび上がってくる。
「これまで以上に過程を楽しみながら曲を作れた気がしています。真夜中でも『ばいばーい!!』って大きな声で手を振って帰ることができるくらい毎日全力で楽しんで作れたアルバムです」
今回の撮影では凛とした姿も印象的でした。
「うれしいです！ ありがとうございます。自立した人になりたいと思ってはいるんですけど、私はやっぱり人がいないと立っていられないんです。だけどその大切な人たちがつまずいたときにはすぐに支えられる人でいたいと思っています。そういう意味では前より強くなれたと思います。結婚したからもあるんですかね？」
結婚してからの自分については「変わらないようで変わったかな」と答えてくれた。変わらない素敵さと、変わることのわくわく感を両方持って、いまを楽しんでいる。そんなaikoさんの隠れテーマは“変わらずして変わる”こと。
「やりたいことをつづけていって、振り返ったら変わったなっていうのがいいなって。だからこれからも、好きなことをしていきたいです。あと、いままで過去を振り返るのって苦手だったんです。いまと比べて、あの頃のほうがよかったって思ったらどうしようって。でもそうじゃなくなってきました。昔を振り返ってももう怖くない。いまも楽しいよ！ って」
プライベートも充実の一途、となるとラブソングはもしや卒業…!?
「そこはたぶんあんまり変わらないと思います。ずっと頭の中でもんもんとしてるんでラブソングはつづきます（笑）。これって難しいんですけど、結婚してもやっぱり異性は異性だし、素敵な人は素敵やなあと思うし。だからこれからも変わらず…。でも10年後振り返ったら実は変わってたな、って思えたら面白いですよね」
10年後、20年後…これからの目標は？
「歌手になりたいですね（笑）。自分の思い描くこんなふうに歌いたいっていうところまではたどり着けてないんです。ライブをするとかテレビに出るっていう子供の頃の夢は叶ったけど、それをつづけるためにはもっと頑張らなきゃ。だからどんなときも『もっと』です。きっと、ずっと、満足することはないんでしょうね」
Information
「今の二人をお互いが見てる」
15枚目のオリジナルアルバム。ドラマ主題歌の「あかときリロード」、カルビーのポテトチップスCMソング「食べた愛」ほか全13曲。初回限定仕様盤には、昨秋のライブ映像のBlu-ray/DVDも。3月29日発売。（PONY CANYON）
アイコ 1975年11月22日生まれ、大阪府出身。'98年のメジャーデビュー以来、「花火」「カブトムシ」で一躍スターの座に就き、多くのラブソングを生み出す国民的シンガーソングライター。この夏デビュー25周年を迎える。
※『anan』2023年3月22日号より。写真・中村和孝 ヘア＆メイク・MIKAMI 取材、文・大澤千穂 撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY
（by anan編集部）
