『キングダム』W主演! 三浦宏規×高野洸が語る“生の舞台でしか伝えられないもの”

2023.2.14
群雄割拠した紀元前の中国・春秋戦国時代を舞台に、孤児から強い信念と戦いの才で身を起こし大将軍を目指す信(しん)と、秦国の若き王・嬴政(えいせい)。このふたりの青年を軸に描いた大ヒット漫画『キングダム』。初の舞台化で主人公・信をWキャストで演じるのは、’17年からミュージカル『刀剣乱舞』(以下、刀ミュ)で、髭切と膝丸の兄弟刀を演じてきた、三浦宏規さんと高野洸さんです。
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――えい政と、政の影武者となって死んだ信の親友の漂(ひょう)の二役を演じるのが、小関裕太さんと牧島輝(ひかる)さんです。小関さんは、三浦さんとはミュージカル『モンティ・パイソンのSPAMALOT』で共演、高野さんは初共演ながら子役時代に『天才てれびくんMAX』に出演していた繋がりが。牧島さんは共に刀ミュで共演しています。おふたりの政役はいかがですか。

三浦宏規:小関くんの政は…なんかかわいいんだよなぁ。先輩に失礼かもしれないけれど。

高野洸:予想外のワードが出てきたけど、確かにかわいいかも。

三浦:チャーミングというのかな。しっかりされていて、あちこちにアンテナを張って、政として何を大事にするかを見極めて演じていらっしゃるんですけれど。王としての完璧さの中にも14歳らしい若さや不安定さが見え隠れする感じがあって、ちゃんと等身大のキャラクターになっているんですよね。そのバランス感も計算して演じられているとしたら…もうお見それしました、という感じです。

高野:裕太くんて、普段から言葉遣いが丁寧だし、清潔感があって綺麗な方ですけど、その品の良さが政にいい形で反映されている感じがするんです。そのうえで、誰よりも稽古場に早く来て自主練していて、すごい真面目な努力家。その姿を見るたびに、自分も頑張らなきゃって刺激をもらってます。

三浦:小関くんが少し儚い政としたら、まきちゃん(牧島輝さんの愛称)は目力の強さに揺るがない意志の強さをより感じるかな。あえて比べれば、だけど。

高野:そうそう。輝くんは地声が低いぶん、なんかドシッと落ち着いた雰囲気が出る。そこがWキャストの面白さかもしれないよね。

三浦:まきちゃんは、演出家の山田(和也)さんが「原作でわからないことがあったら牧島さんに聞いてください」って言うくらいの『キングダム』の熱狂的ファンだし。

高野:それ、新しいキャストの方が参加するたびに言ってますよね。3回ぐらい聞きました(笑)。

――『キングダム』の広大な戦場や何万もの兵を、舞台上でどう表現するのかも気になるところです。

高野:舞台上に何万もの兵を出すことはできないですけれど、代わりに生の舞台でしか伝えられないものっていうのがあって。それこそ、俺らが発する気迫だったり熱だったり、エネルギーの強さだったりを、目の前で体感していただくことで伝わるものがあるんじゃないかということは、山田さんもおっしゃっていて…。

三浦:そう。だから意外に、跳ぶにしても戦うにしても、派手な舞台機構を駆使して見せていくっていうより、ほぼ全部俳優が持てる肉体の力で表現しているんだよね。

高野:そうそう。

三浦:もちろんド派手なセットも感動するけれど、この作品は最終的に人が人を動かしていく物語。だから場面を盛り上げるだけの音楽やSEはほぼなくて、刀が当たる音とか、俳優の息遣いとかしか聞こえてこない場面っていうのもあって。そこは逆に戦場のリアルさを感じさせてくれる気がしてて。

高野:蹴るシーンではちゃんと蹴っているし、ちゃんとぶつかり合うんで、泥くさいアクションシーンになると思うけど、そのぶんリアルな迫力を感じられる気がする。

三浦:体への負担はもちろん大きいですけど、この作品は信の熱量が物語を引っ張っていくわけで、その感情が動けば動くほどお客さんに伝わるし共感してもらえると思うんです。だからそこは嘘のないようにやりたいんですよね。

――おふたりは信というキャラクターのどこに魅力を感じますか?

三浦:嘘がないところと、目的がはっきりしているところじゃないですか。“天下の大将軍になる”っていうところがブレない。紆余曲折ありながらも、そこにひたむきに進んでいくから、多くの方が応援したくなるのかなって。

高野:俺も全く同じことを挙げようと思ってた。あともう一つ挙げるなら、自分が下僕だった過去があるからこそ、残虐な方法じゃなく正攻法でぶつかっていくところに美学を感じるんですよね。

――信を演じるにあたって、大事にしたいと思っていることは?

高野:やっぱり嘘がないところですね。ちゃんと信の感情を整理して、理解して、高野洸としてセリフに嘘がないようにしたいし、それを信の生きるテンポ…脈というか、そこに合わせていければと。

三浦:そうだね。あとは怪我をしないこと。そして漂とのシーンかな。漂が亡くなることで、信はふたりで描いた夢に突き進んでいくわけで、そこがこの物語の一番の肝になるわけだから。かなり序盤ですけれど丁寧にやりたいです。

――あと、信としてはとても大事なキーパーソンである、王騎(おうき)将軍を山口祐一郎さんが演じますね。

三浦:原作で、信が王騎将軍と会って「でけー」って言うんですけど、稽古場で祐様(山口さんの愛称)の稽古を見ていると4mぐらいあるんじゃないかってほど存在感があって。登場するだけで場の空気が一変するんです。

高野:本当に大きかったです。本読みのときの声の響き方がすごすぎて、稽古場じゅう…天井まで震えてるような感じがしました。しかもそこに、これまで背負ってきた歴史の重みや、器の大きさ…人間力の大きさも全部出てて。

三浦:演劇界のレジェンドなのに、優しく気配りの方なんだよね。

高野:俺らみたいなガキンチョのこともリスペクトして、すごく丁寧に接してくださるんですよね。

――あらためて舞台『キングダム』の魅力とは?

高野:舞台だとやっぱり戦の熱量が際立ってる気がします。

三浦:あとこれは原作もそうですけれど、シリアスとコミカルなシーンのバランスかな。もちろん重厚な場面も多いけれど、コミカルな要素がテンポよく挟み込まれることで、より楽しく見やすい作品になっていると思います。

(写真左)みうら・ひろき 1999年3月24日生まれ、三重県出身。幼い頃から数々のバレエコンクールで入賞し、2015年より俳優として活動スタート。近年は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』マリウス役や舞台『千と千尋の神隠し』ハク役で活躍。
テーラードジャケット¥82,500(シーク ヤボーティー/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575) ツイードニットカーディガン¥48,400(ディスカバード TEL:03・3463・3082) シアートップス¥17,600(08サーカス/08ブック TEL:03・5329・0801) パンツ¥31,900(サノバチーズ/サノバチーズショップ TEL:03・6427・1986) リング¥18,700(IVXLCDM/IVXLCDM 六本木ヒルズ TEL:03・6455・5965) シューズ¥52,400(セサ フットウェアー/ノウ ショールーム hello@ontheparkstreet.com)

(写真右)たかの・あきら 1997年7月22日生まれ、福岡県出身。ダンスの才能を認められDream5のメンバーとして活躍後、ミュージカル『刀剣乱舞』や舞台『ヒプノシスマイク』などに出演し注目される。2019年よりアーティスト活動スタート。
テーラードジャケット¥79,200(ダイエットブッチャー) フレアパンツ¥29,200(アタッチメント) ブレスレット¥30,800 リング¥50,600(共にセブン バイ セブン × バウゴ ヘイアン) シューズ¥26,400(アポクリファ)以上サカス ピーアール TEL:03・6447・2762 ニットベスト¥37,400 シアートップス¥17,600(共に08サーカス/08ブック)

舞台『キングダム』 2月27日(月)まで帝国劇場、以降、3月に梅田芸術劇場メインホール、4月に博多座、5月に札幌文化芸術劇場 hitaruにて上演。原作・原泰久(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載) 脚本・藤沢文翁 演出・山田和也 音楽・KOHTA YAMAMOTO 出演・三浦宏規/高野洸、小関裕太/牧島輝、川島海荷/華優希、梅澤美波(乃木坂46)/美弥るりか、有澤樟太郎/梶裕貴、鈴木大河(IMPACTors/ジャニーズJr.)/神里優希、早乙女友貴、元木聖也、朴璐美/石川由依、小西遼生、山口祐一郎ほか 東宝テレザーブ TEL:03・3201・7777

※『anan』2023年2月15日号より。写真・MARCO スタイリスト・井田信之 ヘア&メイク・瓜本美鈴(三浦さん) 佐々木まりこ(高野さん) インタビュー、文・望月リサ 撮影協力・EASE

(by anan編集部)