正反対な高校生カップルにキュン! 初々しさとわちゃわちゃ感溢れるラブコメ

エンタメ
2022.12.13
この人とこの人が!? と傍から見たら意外に感じるようなカップルが、ときにいる。阿賀沢紅茶さんの本作『正反対な君と僕』は、その「!?」を納得と共感に変えてくれるラブコメだ。

正反対だから惹かれ合う! 高校生の等身大ラブコメ。

Entame

「輪の中心にいたり目立つタイプの人が、なぜか地味な人のことを好きというシチュエーションだと、好きになられる側視点のマンガが多いので、好きになった側から描くマンガも見てみたいなあと思いました」

好きになった側というのが、元気いっぱいの女子高生・鈴木。一見能天気っぽいのだが、周りの目が気になる繊細な一面を持っている。

「派手な人がみんな明るくて、上品な見た目の人がみんなおとなしいわけではないと思うので、派手なビジュアルの鈴木が悩むことも普通にあるかなと。鈴木のように明るいグループにいる人が気になり出すとしたら、どういうタイプの子だろうか? どこをきっかけに好きになったんだろうか? と考えて、谷のキャラクターが生まれました」

谷は誰に対しても自分の意見をはっきり言える、物静かでマイペースな男子なのだが、鈴木が思い切ってアプローチした甲斐あって、晴れて恋人同士に。付き合いたての浮ついた感じや、じわじわ距離を縮めていく過程が、とにかく初々しい。

「ふたりの恋愛模様を描く上では、出来事をドラマティックにしすぎず、外側から持ち込まれる試練に立ち向かうより、本人たちの関係性を築き上げることを大事にしています」

笑いながらも、大きく頷かずにいられないのが、コミュニケーションの難しさとそれゆえの面白さ。登場人物のやり取りを通して、自分の気持ちをうまく相手に伝えられないもどかしさや、些細なことで通じ合えた嬉しさが臨場感たっぷりに描かれる。さらに他人の価値基準に振り回される男子や、スレた恋愛観を持つ女子など、友人の存在もふたりの関係を立体的に見せる。ありがちなスクールカーストが描かれないのも、心地よさの一因といえるだろう。

「“カースト下位にいる子が上位に上り詰める=幸せになった”という描写は、物語の構造としてカーストの存在を肯定しているようで違和感がありました。そもそも上下をなくして、対等な関係を無理なく築いていく姿を描きたいです。恋愛的なキュン要素を抜きにしても、学生時代のくだらないわちゃわちゃ感を楽しんでもらえるといいなと思います」

ずっと浸っていたくなる、“キュンキュン”と“わちゃわちゃ”だ。

Entame

阿賀沢紅茶『正反対な君と僕』2 見た目も性格も正反対だから惹かれ合うし、理解できたときの喜びも大きい、多感な高校生のハッピーな恋愛模様。2巻は夏祭りや文化祭などイベントが満載。集英社 660円 ©阿賀沢紅茶/集英社

あがさわ・こうちゃ 2020年「LINEマンガ」にて「氷の城壁」でデビュー。本作はマンガ誌アプリ「少年ジャンプ+」(集英社)にて隔週月曜更新。

※『anan』2022年12月14日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

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