「起床4時間後に眠気がある」はNG!? あなたの“睡眠の質”をチェック!

2021.9.3
眠れていると思っていても、自覚ないうちに質が低下している可能性も。睡眠の質を確認してみよう。作業療法士の菅原洋平さんが解説してくれました。
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TRY

CHECK1:起床4時間後に眠気がある

本来なら、起床4時間後は脳波活動が活発で眠気がないはずの時間帯。
適切で良質な睡眠とは、人によって、また年齢や季節によっても違うものだけど、どんな条件であっても“起床4時間後に眠気がない”ことが医学的な判断基準のひとつとされる。なぜなら、本来この時間帯は脳波が最も活発になって、一日で一番頭が冴えるとき。ここで集中力の必要な作業をバリバリこなせる状態が、睡眠的には理想の生活リズム。これを目標に、質を高める意識を。

CHECK2:ベッドの上でスマホを見ている

画面を見続けると代謝や脳の温度がアップ。翌朝の疲れにつながることが。
就寝前にスマホなどの画面を見ていると、脳の温度が上がりやすく、代謝も高まる。その状態のまま眠りにつくと、質は低下するばかり。また、ベッドの上で特定の周波数の音や動画を見続けると、それなしでは寝付けなくなる弊害も。脳と体は就寝30分前から睡眠準備を始めるため、画面は寝る30分前にオフ。スマホはベッドの外で扱い、眠気がないのに無理に就寝するのは避けて。

CHECK3:目覚めてから30分以上、体を起こしてベッドから出ることができない

目覚めてから“30分以内”に起床できることが、良質な睡眠の目安。
30分経ってもなかなか起き上がれない。そんな状態を改善する手立てが、一日の長さを決めるホルモン物質のメラトニン。朝、網膜から光を感知することで分泌が止まり、その16時間後に増える、という特徴が。これを利用すれば、夜は自然と眠くなり、朝の目覚めも改善。目覚めたらすぐに窓から1m以内に立ち、朝日を10分間浴びることを習慣づければ、目覚めてすぐ起きられる体に!

CHECK4:就寝前に眠気を感じず寝落ちするように眠る

脳の機能低下により眠気を感じられないと睡眠の質がダウン。
夜更かしを1週間続けた場合、大脳が「眠い」サインを発していても、眠気に鈍感になり、次第に感じなくなってしまう。このように眠気を感じずに寝落ちすると、本来であれば徐々に代謝が落ちて眠りにつく、という入眠の段階をふまずに寝落ちし、眠りの質が低下。あくびなどの眠気のサインを見逃さないようにして、“眠気を感じてから眠る”という生活リズムを意識することが肝心。

CHECK5:十分な睡眠時間をとっているのに昼間に眠い

睡眠量を補ってもスッキリしない場合は質の低下を疑おう。
睡眠不足かどうかを判断するとき、まずは睡眠時間、つまり量を補って、それでも改善されない場合は質が下がっていると考えよう。十分に眠っていても、昼間に抗えないほどの眠気に襲われる人は、質のいい睡眠がとれていないと考えるのが自然です。同じく、たっぷりと寝た後にもかかわらず、一日中なんだかボーッとした感じが続くという人も、眠りの質が低下している可能性が。

CHECK6:朝からイライラしたり、頭痛や立ちくらみがある

起床時の心拍数が高い可能性が大。寝起きは低いほうが◎。
質のいい睡眠がとれていれば、目覚めたときには穏やかな気分でスッキリとした感覚があるはず。寝起きの状態が悪いなら、眠っている間の代謝が高いままの可能性が。通常、睡眠中はエネルギーを蓄積するために、血圧や呼吸数、心拍数が低下するので、起きたばかりの脈拍はゆっくりになっているはず。通常の脈拍は1分間に60~100回が目安なので、寝起きに測って確かめてみて。

診断

CHECK1・2に当てはまる人は…睡眠不足レベル1

睡眠リズムを整えるために、まずはベッドは眠るための場所と脳にインプットさせよう。スマホなどは持ち込まないが吉。

CHECK3・4に当てはまる人は…睡眠不足レベル2

夜に眠気を感じやすくする行動を心がけて。朝の光をしっかりと浴びることにより、睡眠リズムを整えることがおすすめ。

CHECK5・6に当てはまる人は…睡眠不足レベル3

血流アップが眠りの質を改善させる鍵に。入浴の最後に、膝下に冷温水を3回交互にかける行動を日々とりいれてみよう。

入眠前の行動で、眠りの質は改善可能!

自分の睡眠の質の良し悪しは、なかなか自分では判断しにくい。

「睡眠中、私たちの体は心拍数や呼吸数、血圧を低下させ、低代謝状態を保つことでエネルギーをセーブします。これが質の良い睡眠の条件です。ところが、起床時に心拍数や血管の収縮が早く、手には冷たい汗をかいたり、イライラする…などの様子がある際は、十分に代謝が下がり切らず、高いまま眠ってしまったことによって睡眠の質を悪くしている恐れがあります。眠気を感じ、まどろんだ状態を経て、徐々に代謝を下げながら深い眠りにつくことこそが、睡眠の質を上げる鍵になります」(菅原さん)

体や頭が興奮した状態からすぐに眠ろうとせず、お風呂に入ったり、ハーブティーを飲むなどして眠気を感じてから眠る心がけを。

菅原洋平さん 作業療法士、ユークロニア株式会社代表。ベスリクリニックでは薬に頼らない睡眠外来を担当。整体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行っている。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』など。

※『anan』2021年9月8日号より。イラスト・加納徳博 取材、文・若山あや

(by anan編集部)