文明の進化がもたらした近視人口増加の危機とは?
疲れ目やドライアイなど、デジタルデバイスを長時間使うことで起こるトラブルは、“テクノストレス眼症”と総称される。
「人の目は、太古の狩猟採集生活に合わせて遠くを見るのに適した構造をしています。その目で至近距離を凝視するようになったこと、光を見つめ続ける行為や姿勢の悪さなどが、目や心身に悪影響を与えるテクノストレスの原因です」(眼科医・林田康隆さん)
テクノストレス眼症は、放置しておくと視力低下につながる。
「眼科医の間では、近視の増加と若年齢化が問題になっています。今のままだと、2050年には世界人口の約半数が近視になるという説も。強度の近視は、さらなる目の病気を招きかねません。状況によって変わりますが、日常生活において外界から得られる情報の8割は視覚から得ているともいわれます。“よく見えること”は、生活の質を高めるためにも大切です。普段から、目をいたわる生活を心がけましょう」
デジタルデバイスによる目の負担が引き起こす、テクノストレス眼症とは?
1、PCやスマホなどデジタルデバイスを同じ姿勢・至近距離・長時間視聴する。
2、まばたきが減り、首の筋肉や目の筋肉が緊張状態に。
3、ドライアイ、ピントが合わせづらい、目頭のコリや痛みなど、あらゆるアイトラブルに発展!
“テクノストレス”とは、デジタルデバイスを使うことで起こる心身の不調、依存などを表す言葉。なかでも目に関するものを“テクノストレス眼症”と呼ぶ。テクノストレス眼症を避けるには、画面から目を40cm以上離す、デジタル作業中は30分~1時間に一回休憩を取る、こまめに遠くを見るようにするなどの工夫をすることが大事。
目への負担は未知数…。「ブルーライト」に気をつけよう。
ブルーライトは目に悪いとよく聞くけれど、実際はまだ不明点が多いそう。
「ブルーライトとは、可視光の中でも波長が短いものの総称。日本眼科学会では、日常生活で目にする程度の微弱なブルーライトに危険はない、としています。しかし光を長時間見つめ続ける今のような生活に変わってから、まだ歴史が浅いので、これから先どのような影響が起こるかは未知数。しかも、光を見つめすぎると脳への情報が過多になり、ストレスになることは確かです。日常生活においても、なるべくブルーライトを最低限にするように心がけておくとよいでしょう」
ブルーライト対策1
ブルーライトカットのグッズで光から目をガード。
Zoffは、ブルーライトカットが追加料金0円。¥5,000~(Zoff TEL:0120・013・883)
ブルーライトを28%以上削減。マグネット式 覗き見防止フィルター MDR 13.3インチ¥8,500(光興業 TEL:0774・62・2960)
ブルーライト対策2
インテリア照明もブルーライトに配慮すべし。
読書灯などは、ブルーライトカット機能つきのLEDか、暖色系の光を放つ白熱電球だとベター。スタンドライトは、目に直接光が入らないよう角度も調節を。
林田康隆さん Y’sサイエンスクリニック広尾院長。日本眼科学会認定眼科専門医。著書『1日1分見るだけで目がよくなる28のすごい写真』(アスコム)が55万部のベストセラー。
※『anan』2020年10月28日号より。写真・中島慶子 イラスト・中根ゆたか 取材、文・風間裕美子
(by anan編集部)