「好き」がいっぱい! 人気作家×イラストレーターによる5冊の 「恋の絵本」

エンタメ
2020.05.20
昨年5月に刊行がスタートした「恋の絵本」シリーズ。この5月でようやく全5巻が揃いました。

価値観をアップデートして描く、これからの恋愛絵本。

絵本を作るのはこれがはじめてとなる小説家たちが人気イラストレーターとコラボレート。

昔のおとぎ話のように「王子様に見いだされて結婚してめでたしめでたし」というお話ではなく、現代の恋愛観、結婚観、ジェンダー観を取り入れつつ、「好き」という素朴な感情を肯定する、というのがコンセプト。どのような切り口にするかは各作家に任せ、出来上がった物語にぴったりの描き手がイラストを担当、どれも絶妙なコラボレーション作品となっています。

哲学的な内容があるかと思えば、恋のときめきを思い出す可愛らしいお話もあり、さらには新たな価値観を示してくれる物語も…。テーマは同じなのに、作家と絵師によってこんなにも異なる世界観が出来上がるのかと驚いてしまうほど。どの作品にも、大切なメッセージがこめられています。ぜひ、お話を楽しみながら、ぺージの隅々まで眺めて、読み比べてみてください。

辻村深月・作×今日マチ子・絵
『すきって いわなきゃ だめ?』

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学校で好きな人に告白することが流行中。同級生に「すきなひといないの?」と聞かれて「わかんない」って答えたけれど…。自分の淡い気持ちに気づいていく瑞々しさと同時に、同調圧力に対する違和感も表現。光景で主人公の心情を表すイラストも秀逸です!

桜庭一樹・作×嶽まいこ・絵
『すきなひと』

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ある夜、もう一人の自分とすれ違った「わたし」。「すきなひとをおいかけている」というその子を追いかけていくと…。お話は薄暗い夜道から始まり、やがて、はっと驚くような色彩豊かな世界が広がっていきます。読むたびに感じ方が変わる、壮大で深遠な内容。

白石一文・作×北澤平祐・絵
『こはるとちはる』

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好きな色も好きなケーキもなんでも一緒のこはるとちはる。ある時、好きな人まで同じだと気づき、こはるは悩んでしまう…。最初の家族の食事風景のページから、華やかで動きのあるイラストに圧倒されます。お話も絵も、すべてが可愛さ全開の一冊。

村田沙耶香・作×米増由香・絵
『ぼくの ポーポが こいを した』

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ぼくの大事なぬいぐるみのポーポが、ぼくのおばあちゃんと結婚する。ぼくは大反対! 常識を覆す小説を発表し続ける著者らしく、恋や生き方の自由を伝える作品。ポーポの造形も可愛く、幻想的なシーンやおばあちゃんのドレスが、もうため息がでるほど美しい!!
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島本理生・作×平岡 瞳・絵
『まっくろいたちのレストラン』

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不気味な牙がコンプレックスのまっくろいたちが、森の中にレストランをオープン。店は評判になるものの、いたちはみんなを怖がらせないよう客席に背中を向けていて…。“白馬の王子様”パターンとは違う恋の行方。質感のある版画絵の動物たちがキュート!

※すべて、編集・瀧井朝世 各1500円(岩崎書店)

※『anan』2020年5月27日号より。文・瀧井朝世

(by anan編集部)

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