山田裕貴は勘だけで生きている? 運命感じたタイムカプセルの中身とは

エンタメ
2019.10.19
ドラマ『なつぞら』や映画『HiGH&LOW』シリーズなどで印象的な役を演じ、注目を集めている。明るく人懐っこいキャラクターに、仕事に対する熱い情熱。誰もが彼を好きにならずにいられない!

世界にありがとうって1日1回、言ってます。

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取材が終わった後、軽くノビをしながら、「今日は普段しゃべらないことをいっぱいしゃべったな(笑)」と、山田裕貴さんがポツリ。何がそれを指しているのかはわからないけれど、終始、熱量高くユニークでちょっと不思議な山田ワールド全開なインタビューとなりました。

――この秋、前川知大さんが作・演出する舞台『終わりのない』に出演されます。前川さんというと、日常のなかのちょっとした違和感に端を発し、異世界や異質な存在を描いてきた方です。山田さんは以前から前川さんの作品のファンだったそうですね。

山田:事務所の先輩の安井順平さんが出ていらっしゃったのがきっかけで観に行ったんですけど、めちゃくちゃ面白かった。普段から僕、人から概念を奪ったらどうなるかとか、そんなことばっかり考えていたんです。でも、それを人に話すと変わった人だと思われるから、ずっと口に出しちゃいけないと思っていて。でも、前川さんが主宰するイキウメの舞台を観た時、封印してた自分を認めてもらったような気がして、ここに友達いたよ、って感じでした。

――では出演は嬉しいですよね。

山田:いままで応援してくださっている方々はある程度僕の人物像はわかってると思うんですけれど、本当に出せている部分が一部だったので、ここからの山田裕貴の方が、終わりのない感じです。

――何か変わるということ?

山田:これまで本当のことを言えてなかったわけじゃないですけど、感覚的に本音というか…。

――前川さんとはどんな話を?

山田:前川さんに絶対的信頼があって、最初の食事の時に、目に見えないものの話をさせてもらいました。僕が前世は宇宙人だって言われた話をしたら、あっそうなんだって普通に受け止めてくれて…。もしかしたら僕が一生懸命しゃべってたからかもしれないけれど。

――今回の作品については?

山田:地球に住めなくなって、人間が宇宙で生活するようになって何代も経っている未来。すでに人は人格や気持ちをデータ化して、何代も体をかえて生きられるようになっているんです。その世界で目的地を探し、帰ろうとする。それを『オデュッセイア』という物語と絡めていくとは聞いています。

――目に見えないものを信じることで、ご自身に影響を及ぼしたと思うことってありますか?

山田:小さい頃から星が大好きで、岐阜のおじいちゃんおばあちゃんの家に行った時に、夜、ありえないくらいの星が出ているのを見たまま1時間くらい動かなかったみたいです(笑)。あと、1日1回、世界にありがとうって言ってます。だって、引力とか太陽の位置とかが奇跡的なバランスで成り立っていて、僕らはこうして生きているじゃないですか。もうそう考えただけでも「ありがとう」ですよね。演じることって見えないものを想像する作業だと思うんです。役の、この人何を考えてこんなこと言うんだろうとか、ここまでどうやって生きてきたんだろうとか、僕らが追っているのは全部見えないことばかり。だからこそ、その存在を信じられるのかもしれません。

――山田さんは、実際に目に見えないものを見たり聞いたりは?

山田:小さい時からよく「勘がいいね」と言われていたんですけれど、たぶん、いまも勘だけで生きている気がします。小学生の頃に20歳になったら開けようって埋めたタイムカプセルを友達が、「お前、すごいぞ」って持ってきてくれたことがあって、それが海賊の宝箱の形の箱だったんです。僕、20歳の時に『海賊戦隊ゴーカイジャー』の仕事が決まったんですが、ゴーカイジャーって、同じ宝箱に入っている鍵を取り出して変身していくんです。しかも高校生の時にクラスで映画を撮ったことがあって、それが戦隊モノ。僕はブルーを演じたんですけれど、ゴーカイジャーもブルーだったり。そういうことが他にも多くて。

――舞台に出演されるのは3年ぶりになりますが…。

山田:舞台って、稽古が1か月くらいあるじゃないですか。それってすごく大事だと思うんです。自分にとっては、突き詰めるとか、悩み抜くとか、考えつくすとか、そういう時間が長いから、舞台稽古は修行みたいな感覚。ただ、舞台は観客から見られている意識がどうしても抜けなくて…。そう思ってる時点で、自分は役になれてないって思っちゃう。もちろん、映像だって完全に入り込めたりはしないんですけれど、撮ってもらえるので、その意識をなくすことができる瞬間が多いというか。

――確かに、映像で山田さんが出てくるシーンって、スタートの声がかかってお芝居を始めたんじゃなく、ずっと役としてそこにいる一部を切り取られたような空気感があります。画面に映るシーンの前後の時間も繋がってるというか。

山田:それめちゃくちゃ嬉しいし、それを一番目指しているんで。芝居をしています、という感じになりたくないんです。

山田さんが出演する舞台『終わりのない』は、古代ギリシャの叙事詩・ホメロスの『オデュッセイア』を原典として、前川知大さんが書き下ろした新作。共演は、安井順平、浜田信也、奈緒、清水葉月、村岡希美、仲村トオルなど。10月29日(火)~11月17日(日)に世田谷パブリックシアターにて上演。世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515

やまだ・ゆうき 1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年にドラマ『海賊戦隊ゴーカイジャー』でデビュー。連続テレビ小説『なつぞら』で、主人公の幼馴染み・雪次郎を演じ話題に。その他の近作にドラマ『特捜9』シリーズ、映画『あゝ、荒野』『万引き家族』『あの頃、君を追いかけた』など。出演映画『嘘八百 京町ロワイヤル』は来年1月31日公開。

ジャケット¥150,000(カズキナガヤマ/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575) シャツ¥24,000(オム プリッセ イッセイ ミヤケ/イッセイ ミヤケ TEL:03・5454・1705)

※『anan』2019年10月23日号より。写真・佐藤麻優子 スタイリスト・森田晃嘉 ヘア&メイク・小林純子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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