ブーイングを浴びる日々を経て、“制御不能のカリスマ”に。
「デビュー戦をファンクラブ会員として迎えた選手は、史上初だと思います(笑)。中3で初めて自分でチケットを買って会場に行ったときに、3つ目標を立てました。新日本プロレスのレスラーになること。20代のうちにIWGPのベルトに辿り着くこと。そして、東京ドーム大会のメインイベントで花道を歩くこと、です」
しかし、1つめの目標を叶えた内藤選手を待っていたのは、ブーイングの嵐だった。
「大好きだったはずのプロレスが怖くなった。何をしても、何を言っても、自分の思いが伝わらない。『今日も試合か、イヤだな』と思うようになっていきました」
暗中模索の中、’15年のメキシコ遠征で、打破のきっかけに出会う。
「ロス・インゴベルナブレス(「制御不能」の意)というユニットに入ったんです。彼らの“反応なんか気にしない”という姿勢がすごく楽しくて、久々に早く明日も試合がしたいって思えて。そこで日本に持ち帰って作ったユニットが、いまの『ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)』。これでダメならレスラー人生は終わりだと、覚悟を決めていました」
「お客様が喜ぶかも」と思うことをし続けた日々から一転。ゴロンと寝転がって相手を挑発したかと思えば、素早い攻撃を畳み掛ける。観客はあっという間に、その日、そのとき、やりたいことをやり始めた内藤選手の虜になった。
「結局、かつて好きだった武藤敬司選手のような緩急のあるプロレスに辿り着いた。いま、入場曲とともにコールが起きる選手なんて、内藤くらいですよね(笑)。俺の一番の武器は、新日本の強烈なファンだったこと。自分の試合も、ファンの気持ちに戻って“内藤選手”を見る。プロレスの面白さって、『次はどうなるの!?』っていう先の読めなさだと思うんですが、内藤選手は『今日は何をするんだろう』って考えさせるスキマを最も提供してると思いますよ」
20代でという目標は叶わなかったものの、IWGPベルトも巻いたいま、残す目標はあと1つ。
「俺が目指さなくても、東京ドームのメインイベントから近寄ってきますよ。それを達成したら、新たな目標が見えてくるはずです」
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