LiSA「曲順や曲と曲の間合いに描きたい物語がある」 こだわりが詰まった最新アルバム

2022.11.20
LiSAさんに最新アルバム『LANDER』についてお話を伺いました。

前向きな気持ちも悲しみも、素直に書くことを心掛けました。

Entame

最新アルバムのタイトル『LANDER』は訳すと着陸船。「誰も降り立ったことのない新しいプラネットに着陸した気持ち」を込めて名付けたそう。

「ファンの方々が想像もできなかった素晴らしい場所にたくさん連れていってくれたのが、この10年。そこから新しい一歩が始まる感覚があって、LANDERを選びました。恋に友情に仕事に頑張る女性がテーマの三部作『HADASHi NO STEP』『シフクノトキ』『土曜日のわたしたちは』は、ぜひ読者のみなさんに聴いてほしいです。私自身は恋愛にあまり精力的ではなく(笑)、恋愛ソングはほとんど書いてこなかったんですが、『HADASHi~』では、好きというピュアなエネルギーだけで突き進めず、現実的になってしまう大人の恋を表現しました」

本作には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌「炎」も。この曲は新しい挑戦だったと振り返る。

「私はスピード感のある曲を高い声で歌うのが得意で、野球で例えると、勝負所で150km/hを1球だけ投げられるリリーフだと思っていたんです。だから、深みのある表現が求められるバラードには苦手意識があって。ただ、梶浦由記さんとの楽曲制作は作品にも思い入れがあったので、得意不得意ではなく好きな気持ちを精一杯注ごうと。梶浦さんのメロディにも導かれ、自分自身に広がりを感じられた楽曲になりました」

アニメ主題歌だけでなく、ドラマやサッカーワールドカップの番組公式テーマソングなど多数のタイアップ楽曲が収録されている。

「作品がある曲は、作り手の方々や、作品を見るみなさんへの敬意を払うのが大前提です。ただ、LiSAとして参加させていただく以上は、嘘のない言葉で歌わせていただくことは譲れません。自分の曲として責任を持って歌い続けていきたいから」

LiSAさんにとって作詞は、素直になるための大切な行為でもある。

「毎晩、自分自身と対話するようにノートを書くのが、本当の気持ちを知れる大切な時間で、そこから歌詞が生まれることもあります。私はどうもネガティブな感情に気づくのが遅いみたいで、ノートに書き、楽曲に落とし込んで初めて、悲しみが浄化されていくんです」

アルバム収録曲を1曲ごと購入できる時代だが、こだわりが詰まった一枚を通して聴くのがベスト!

「曲順や曲と曲の間合いに、アーティストが描きたい物語があると感じるので、その2つはとても大事に制作しました。1曲目の『往け』と2曲目の『一斉ノ喝采』の間は0秒にしたかったけど、それだと1曲として数えられてしまうので、1秒入れたんですね(笑)」

メガヒットを次々に生むビッグネームとして10周年を経た今も、変わらないのが、ファンへの想い。

「デビューが遅かった分、すべてが特別で嬉しくて。あの頃と変わらず、素直に感謝して誠実に向き合っていけば、この先の10年も大丈夫かなって。そう思えるのも、ファンのみなさんがいてくれるから。ライブで会いたいから、こうして曲を作っているところもあります。夢はドームですが、辿り着いた途端パタ…と倒れてしまわないように、時間をかけても、みなさんとはしゃげる余裕を持ってる自分になっておきたいです」

Entame

6thアルバム『LANDER』。最新曲「一斉ノ喝采」など14曲を収録。【初回生産限定盤A(CD+BD+PHOTO BOOK)/初回生産限定盤B(CD+DVD+PHOTO BOOK)】各¥5,720 【通常盤(CD)】¥3,300(Sony Music)

リサ 6月24日生まれ、岐阜県出身。2011年、ソロデビュー。’19年配信の「紅蓮華」で紅白歌合戦初出場。翌年にはトリプルプラチナを記録。Netflixドキュメンタリー『LiSA Another Great Day』が配信中。

※『anan』2022年11月23日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)