カフェオレ好き、眠りが浅い…「自律神経の乱れから睡眠の質が低下しやすい人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.9.15 — Page 1/2
9月後半になり、朝夕は過ごしやすい日も増えてきていますが、夏からなんだか眠りが浅くて朝スッキリしない、日中眠い…そんな人も多いかもしれません。しっかり眠れていなければ、日中のパフォーマンスも下がってしまいますよね。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、自律神経を乱し、睡眠の質を低下させるNG習慣と対策を教えてくれます!

夏以降、睡眠の質が低下していませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 231


最近、集中力がない、日中眠気がある、やる気がでないと感じることはないでしょうか。

そんな人は、ちょっと振り返ってみてください。夏になってから寝つきが悪くなったり、朝方何度も起きたり、寝た気がしないというような睡眠の質の低下に心当たりはないでしょうか。毎日しっかり眠れていなければ、当然日中のパフォーマンスは下がってしまいますよね。

夏の環境は、自律神経を乱しやすいことが特徴となっていますが、それにより睡眠の質が低下してしまいます。さらに、睡眠不足は自律神経を乱しやすくし、負のスパイラルへと突入していきます。8月の真夏と比べると過ごしやすくなってきているので、そろそろ対策をとってみてはいかがでしょか。

ということで、今週は自律神経を整え、睡眠の質向上につながる食薬習慣を紹介していきます。

今週は、自律神経を整え睡眠の質向上につながる食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
皆さん、朝起きてスッキリしていますか? 爽やかな朝を毎日迎えられたら、毎日ちょっと得した気分になるほど、嬉しいことではないでしょうか。午前中から、元気はつらつに過ごすことができたら、一日が有意義になりますよね。

ですが、きちんと睡眠の質を向上するような対策をとっている人は少ないと思います。眠りが浅いときには、食事や運動、ストレス管理、夜の強い光、入浴、空調管理などの生活スタイルを見直すことはとても大切です。睡眠の質が低下している人は、夜のタイミングだけ眠れるかどうか気にするのではなく、一日を通して改善点がないかチェックみましょうね。

また、自律神経が乱れ、睡眠の質が低下しているときには、漢方医学で考える『血』を補い、神経が高ぶっているときの『熱』を鎮めることを目指します。そこで、今週食べるとよい食材は、『血』を補い、『湿熱』を取り除く【こんにゃくの豚バラ巻】です。

逆にNGな習慣は、摂る時間や量によっては『肝熱や心熱』を生じ、興奮状態になったり、不安感を感じたりすることで睡眠の質が低下する【カフェオレ、カプチーノ】などのカフェインです。

食薬ごはん【こんにゃくの豚バラ巻】

自律神経が乱れていると感じた時には、お腹の張り、便の状態、おならの頻度やニオイなどをチェックしてみましょう。もし、気になるポイントがあれば、まずはメンタルを整えるように精神論を唱えるのではなく、快腸を取り戻すことで、腸から自律神経を整える対策をとっていきましょう。腸内環境が整えば、自律神経も安定しやすくなり、睡眠の質も向上することが期待できます。今回のレシピには、腸を整え『湿熱』を取り除くこんにゃくと神経伝達物質の材料となる鉄やタンパク質、ビタミンB群などを含み『補血』できる豚肉を合わせました。

<材料>
こんにゃく  1枚(250gくらい)(細長く切る)
豚バラ    10枚くらい
にんにく   1片(スライス)
醤油・みりん 各小さじ2

<作り方>
こんにゃくを豚バラでまく。ニンニクを炒め、豚バラで巻いたこんにゃくを両面焼く。調味料を加え、炒め煮して両面に味をしみこせて、ゴマをあえたら完成。

NG行動【16時以降のカフェオレ、カフェラテ】

きちんとした睡眠がとれていないと、当然日中眠くなりますが、その都度カフェインを多く含むカフェラテやカプチーノ、コーヒーなどのカフェインを摂り入れてはいないでしょうか。カフェインは、高ぶった神経を鎮静するアデノシンという物質に構造が似ているため、体内のアデノシンがアデノシン受容体へ結合するのを阻害し、神経を興奮させてしまいます。中枢神経が過剰に刺激されることで、睡眠障害や不安感、胃腸障害などを起こすことがあります。

個人差はありますが、寝つきが悪い、自律神経が乱れていると感じるときには、なるべく16時以降のカフェインの摂取は控えるのがベターです。

日中のだるさをとるために、カフェインをたっぷり摂って寝つきが悪くなり、翌日疲れが残り、また日中カフェインをたっぷり摂り…と、毎日繰り返していては元気になるタイミングを損ねてしまうかもしれません。なんとかしたいという人は、睡眠の質を上げる行動を選択していきましょう。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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