気分転換はコーヒー&クッキー、なんとなく不調…「自律神経の乱れ、気象病で不安定な人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.9.1 — Page 1/2
9月といっても、まだまだ続く暑さ。室内外の気温差や寝苦しい熱帯夜、突然の気象変化などから、自律神経の乱れや喉の不調を訴える人が多いそう。そこで中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、つい取り入れがちだけど実は自律神経を乱すNG習慣と対策を教えてくれます!

気温差や気象の変化で体調を崩していませんか?

自律神経 乱れ 気象病 睡眠 整える コーヒー クッキー

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 229


体温と変わらないくらいの暑さが強烈な毎日、目が痛くなるような強い紫外線、睡眠の質が低下する熱帯夜、そして突然の雨、雷。気分屋な夏はいつまで続くのでしょうか。起きているときも、寝ているときも常にエアコン完備がスタンダードであるこのシーズンは、自律神経の乱れや喉のトラブルなどに悩まされる人が激増します。何かしら、不調を抱えている人は多いのではないでしょうか。

とくに、些細なことで傷ついたり、イラっとしてしまったり、やる気が喪失してしまったりと、プチストレスが積み重なり、なんとなく感じる不調が強固なものへと進化していくこともあるかもしれないですね。自律神経の乱れに伴い月経前の胸やお腹の張り、便秘、イライラ、過食、頭痛などの不調もいつもより強く感じる人もでてくることでしょう。

ということで、今週は自律神経を整え、気候や空調が作り出す環境に負けない食薬習慣を紹介していきます。

今週は、自律神経を整える食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
いよいよ9月。9月といえば、もう少し過ごしやすかった印象がありますが、現実は大きくかけ離れ、体温に近い気温を観測する地域もいまだに多いですよね。ということは、室内と屋外の気温差を強く感じることにもなり、睡眠時の空調管理にも難しさを感じる人が多いと思います。そろそろ、睡眠不足、疲労感、ふらつき、月経不順、イライラ、気分の落ち込み、注意力散漫、頭痛などの自律神経にまつわる不調で悩む人が増えてくることでしょう。

漢方では、自律神経が乱れやすいときの状態を『肝血虚』と呼び、実際に自律神経が乱れた状態を『肝気鬱結』、気分が落ち込みやすくなっている状態を『胆虚』などと呼んでいます。そこで、今週は、気候変化や空調による影響に負けずに自律神経を整えるために『肝血』を補い、『肝胆』を支えることで『気』の巡りを改善する食薬を紹介します。

今週食べるとよい食材は、【モロヘイヤと舞茸の玉子炒め】。逆にNGな習慣は、気分転換に取り入れがちな【コーヒーとクッキーでのひと休み】です。

食薬ごはん【モロヘイヤと舞茸の玉子炒め】

モロヘイヤは、自律神経を安定させるうえで欠かせない腸内環境のケアに役立つペクチンやマンナンなどの食物繊維を多く含み、ネバネバした特徴があります。腸内環境が悪化している状態は、肝臓や胆のうへも悪影響を与えてしまうため、『肝胆』を支えるために、胆汁の分泌を促し、腸内環境を整える水溶性食物繊維をとるのがおすすめです。また、βカロテンやビタミンC、ビタミンE、葉酸なども豊富で、その栄養価の高さから王様の野菜とも呼ばれているほどです。

さらに、キノコ類には、心を落ち着かせるGABAが含まれているので、自律神経が乱れがちなときにおすすめな食材です。これらの食材をアミノ酸スコアが100で『肝血』を補うことのできる玉子と炒めることで、心の安定をサポートしていきましょう。

<材料>
A
マイタケ  1パック(ちぎる)
モロヘイヤ 1束(3センチくらいに切る)
ニンニク  1片(スライス)

B
溶き玉子   2個
醤油    小さじ2
みりん   小さじ1
水     大さじ1

<作り方>
フライパンでAを炒める。Bをまぜあわせ、フライパンに加える。玉子が固まるまで炒めたら完成。

NG行動【コーヒーとクッキーでひと休み】

イライラしたり、だるくなったり、気分が落ち込んだり、やる気がなくなったりと気分が乗らないときには、コーヒーとクッキーなどの甘いもので気分転換をする頻度が増えてしまうことがあるかもしれません。もしくは、休憩ではなく、コーヒーと甘いものを口にしながら仕事を続けることもあるかもしれませんね。

ですが、いつの間にかカフェインや糖質をとりすぎてしまうと、自律神経が乱れているときには逆効果となってしまうことも。カフェインで交感神経が優位になったり、甘いものでビタミンB群が消耗したり、血糖値が乱高下することで、心が不安定になることもあるのです。

ながら食べによる食べ過ぎ、飲み過ぎのないようにコントロールしたり、調子の悪いときだけでも、おやつを小魚アーモンドやミックスナッツに変更するなど、おやつの内容の見直しを検討してみてはいかがでしょうか。

今の時期、何かしら不調を感じる方は多いと思います。ですが、暑さや気圧の大きな変化は、9月後半の秋分の日あたりまで続くことが予想されます。途中でギブアップしないようにコツコツメンテナンスをして、健康維持をしていきたいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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