お酒大好き、寝不足…「暑さで胃腸が疲れている人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.8.9 — Page 1/2
広範囲で異常な暑さが続いていますが、胃腸の調子は悪くなっていませんか。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、今の時期は旅行や帰省などの環境の変化による生活の乱れや、屋内外の気温差で胃腸が疲労したり自律神経が乱れ不調を感じたりする人が多いそう。愛先生がNG習慣と対策を教えてくれます!

最近、さらに疲れていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 226


皆さん、夏は楽しめていますか? お盆休みが始まり、ゆっくり過ごしたり、渋滞にはまったり、キャンプにでかけたり、実家に帰省したり…思い思いのスタイルで過ごすこの時期、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

旅先や実家などで親しい人との食事やレジャーなどを楽しむ方も多いと思います。ただ、楽しい時間は、食べ過ぎたり、飲みすぎたり、偏食になったり、夜更かししたり、カラダにとってはさまざまな方向からダメージを受ける確率が高まります。お盆休みまでのラストスパートで仕事がてんこ盛りだった人は、休まる暇がなく疲労感満載になることもあるかもしれません。

そこで、今週は夏の思い出を楽しくて充実したものとなるよう、夏バテの原因のひとつでもある胃腸の疲れを癒し、元気の浪費を防ぐ食薬習慣を紹介していきます。

今週は、夏の疲れが気になるときの食薬習慣

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
衝撃的な暑さをもたらす夏ですが、多くの人が大半の時間を過ごす場所は、エアコン完備の環境だと思います。それなのに、私たちが服装や食事を選ぶときには、外界の環境に合わせて行動することが多いと思います。基本冷えている環境にいるのに、外界に合わせて生活するとカラダを外と中から冷やすような行動をとることが増えてしまいます。

内臓が冷えると食欲不振、膨満感、疲労感などを感じることがあります。これを漢方では、食事からの栄養の消化吸収能力が低下し、持久力が低下している『脾腎陽虚』といいます。それに加え、夏の気候で自律神経は乱され、さらに精神状態も落ち着かなくなることも。

そこで、今週はこれから夏休みを謳歌するためにも『脾腎』を強化することで、胃腸の働きをサポートし、体力を取り戻していきましょう。今週食べるとよい食薬は、【なめこと長芋の生姜味噌汁】。逆にNG習慣は、胃腸と肝臓に負担を与え『肝脾不調』を生じさせる【偏食、寝不足、飲酒の常習化】です。

食薬ごはん【なめこと長芋の生姜味噌汁】

消化を助け、体力をつける食材の代表食薬ジアスターゼとDHEAを含む長芋、そして腸内環境を整えたり、胆汁の分泌を促す食物繊維が豊富ななめこを具材として、たっぷりの生姜とともに味噌汁にしたメニューが冷えて疲れたカラダには最適です。

<材料>
A
オクラ      4本
生姜       2かけ(みじん切り)
味噌       大さじ1-2
水        400ml

B
長芋       5cm(ポリ袋にいれ瓶底で荒くつぶす)
ブラックペッパー お好みで

<作り方>
Aを加熱し、最後にBをのせたら完成。

NG行動【偏食、寝不足、飲酒の常習化】

今の時期、全国的に偏食、寝不足、飲酒が常習化する人が増え始めることが予想されます。それによって、肝臓が疲れてしまうことがあります。そうすると、油の消化吸収に関わる胆汁の生成が少なくなり、食欲不振や脂溶性ビタミン、CoQ10やオメガ3脂肪酸などの脂溶性の栄養素の吸収が低下するため、元気を作るミトコンドリア、ストレスや紫外線の対策に欠かせない抗酸化力、炎症関連などに影響を及ぼし、疲労感をもたらします。胃もたれや膨満感があり、疲れやすい人は生活スタイルにも注意しましょう。

カラダの土台を作る胃腸機能、睡眠の質、ストレス耐性などが一気に低下しがちな夏。胃腸からお腹を温める生姜とブラックペッパーを入れた味噌汁を飲む習慣をつけたり、室内では腹巻やひざ掛け、カーディガンなど羽織りものを携帯し、状況に応じて防寒対策ができるようにしておくことも大切です。そのほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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