長続きしないかも!…「彼の前では自然体でいられる」が超危険な理由 #36
【おおしまりえの恋愛道場】vol. 36
女が間違える“自然体”の罠! 付き合った直後に出る“ニセ自然体”をやめる方法
付き合い始めの頃によく耳にするのが「この人の前だと自然体でいられる」といった発言です。恋人同士なら緊張しっぱなしの関係は確かによくありません。リラックスして心を開き、愛を育めるのがいい関係といえるでしょう。
ただ、そんなほっこりした関係を追い求め、「即自然体」を意識しすぎるのも危険です。そもそも恋愛にプラスになる自然体とは、どの程度の関係性を示すのでしょう。
自然体でいられるとはどういう状態? それって本当に心地いいの?
最初に結論をお伝えすると“自然体でいられる”と交際直後から強く感じる場合、それは“エセ自然体”であることが多々あります。エセ自然体なんて物騒な言い方をしましたが、これは本当の意味で自然体ではなく、無意識にどちらか(もしくは両方)が無理をしており、そのうち爆発する可能性がある関係を指します。
では、エセ自然体によって関係が崩れたある女性をご紹介します。
彼女は交際したばかりの4歳年上の彼のことがすごく好きでした。マメにLINEをしてくれて、将来についても前向きに考える彼。体の相性もいい気がする。そんな彼が大好きだからこそ、彼女も彼に何でも話し、自分も将来を考え、心を開くようになったそうです。
しかしある時、些細な理由から二人はケンカをしたそうです。すぐに仲直りをしたのですが、その日を境に彼女の中で、彼に対していろいろな違和感を覚えるようになったとか。
具体的には、「俺はこれから営業先に行って、夜は会食だよ! ○○ちゃんは?」といったマメな共有のLINEは、自分の行動を把握したいがために送っているように感じたり。「結婚したら家事はやるけど、仕事を頑張るから支えてもらうのが理想だな」といった彼が積極的に話す将来のことも、結局は自分のことばかり考えているように聞こえたり。
どれも捉え方の問題のような気もしますが、彼の前だと自然体でいられると思っていた感覚は、実は彼への好きという気持ちから、相手の意見に同意し、心地よさを見出していただけだったのです。
しかし、ケンカをきっかけにその思い込みに“ほころび”が出てしまった。そして気づくと彼の前で本音を話せなくなり、だんだんと違和感を覚えるようになり、ついに感情が爆発し「やっぱり違う!」と、別れることになってしまったとか……。
わかりやすい“エセ自然体”の失敗例をご紹介しましたが、こういった交際当初に感じる「彼の前では自然体でいられる」という感覚の多くは、相手への好意があるからこそ存在する心地よさであることがほとんどです。
交際が長くなったり、彼女のようにケンカという相手への見方が変わるような出来事が起きたりすると、好きという土台はあっという間にゆらぎ、感じられていた自然体が幻だったことに気づきます。
気づいた段階でリカバーできれば良いのですが、だいたいが時すでに遅し! 「あれ? なんか苦しいなどうしてこんなことになってるの?」と混乱し、お互い気持ちを調整する力がなく、関係は悪化の一途をたどることが多いのです。
自然体よりも意識するべき“感情の共有”のコツ
こういった問題は仕組みとしてはシンプルです。スタート時点の恋の熱量と、もともとの性格的な相性の良さに頼った結果、無意識に相手に意見を合わせているだけなのに「自然体でいられる」と解釈してしまうのです。
その結果、ケンカなど関係の変化があった時、あっけなくエネルギーが途切れてしまいます。では恋の力に魅せられ「私たちすごく自然体でいられる〜」なんてお花畑モードで失敗しないために、歩き出したカップルはどうしたら良いのでしょう。
やれることは1つ。シンプルに「これが嫌」「これが好き」「こうされて嬉しい」「こうされると悲しい」といった感情を、恋の熱によって蓋をせず、きちんと気づいて相手に伝えることです。
よくある蓋をする例では、以下のようなことがあります。
・セックスの際、本当はしてほしいことorされたくないことが言えない
・LINEの頻度やデートの約束の決め方に不満がある
・一緒にいても家でゴロゴロしてばかりなのが本当は嫌
こんな我慢できるレベルの不満が蓋をされがちです。おそらく目の当たりにしたら「まあ仕方ないか。どうしようも無いことじゃないし」で流すレベルでしょう。
でも、交際という長い関係の中では常に、こういったちょっと無理をしたら我慢できることであふれています。それを最初は恋心でなんとなく蓋ができるのですが、その結果エセ自然体の魔法にかかり、魔法が解けたときに「もう我慢できない!」となるのです。
だからこそ、最初から我慢しない。二人のために感情や要望を共有し、お互いできる対処をその場その場でとっていくことが大切です。
良い関係は、自然体であることよりもお互いが深くわかりあっていることが大切です。それは日々の感情の共有から生み出されるもの。彼を大好きな気持ちは素敵ですが、その気持ちの影に隠れて、自分が少し無理をしていないか。振り返ってみませんか。
おおしま りえ/恋愛ジャーナリスト
10代より水商売やプロ雀士などに身を投じ、のべ1万人の男性を接客。本音を見抜く観察眼と、男女のコミュニケーション術を研究し、恋愛ジャーナリストとして活動を開始。私生活では20代で結婚離婚を経験した後、現在「女性自身」「週刊SPA!」など大手メディアを中心にコラムを執筆中。
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