知りたくなかった怖い話…猛烈な速さで迫り来る「黒い影の正体」とは #1
【犬養ヒロの知りたくなかった怖い話】vol. 1
神社の黒い影
知りたくない度★★☆
【たぬぽん(仮名) 女 25歳】
私が小学生の頃、家からほど近い場所に裏山があり、その山の中に小さな神社がありました。小さな山なので、神社までは家から10分ほど歩けば辿り着きます。いつも学校から帰ると、友達数人と鬼ごっこをしたりして遊んでいました。
ある日のこと、友だちのひとりK子が山の中を探検に行こうと言いだしました。神社から先へは朱色の柵を超えて行かなければなりません。裏山は日が当たらず、昼間でも薄暗いので奥に入ったことはありませんでした。
「奥へ行くのはやめようよ」
と言っても、K子は聞きません。
「ちょっとだけ行ってみようよ! ちょっとだけだから!」
柵をよじ登って越えると、落ち葉がたくさん積もっていました。みんなでザクザクと落ち葉を踏みながら進んでいきました。
山の中は薄暗く、空気もひんやりしていたのを覚えています。
10分ぐらい歩いたのでしょうか、山の中は木と落ち葉ばかりで他には何もありません。人の気配が全く無く、陰気な雰囲気の場所なので私は
「もう帰りたいな」
と思っていました。
その時、先頭を歩いていたK子が、急に反対に向いて引き返し始めました。
K子は明らかに様子がおかしく、顔が青ざめています。そして震える声で、「みんな、神社に戻ろう」と言いました。
「どうしたの?」
「いいから、早く」
K子が早歩きで、ひとりで歩き出したので、みんなが神社の方に引き返して歩き出すと…背後の方から、ガサガサと落ち葉の音がしました。振り向くと誰もいません。
気のせいかと思って、みんなで歩き始めると、今度はさっきよりも近くでガサ、ガサ、ガサと落ち葉を踏む音がしたのです。
後ろには、誰もいないのに? 振り返っても、やはり誰もいません。
その時、ひきつる声でK子が叫びました。
「ついてきた…!!!」
K子は、隣にいた私の手を掴んで走り出し、みんなも怖くなって走り出しました。
すると、背後から
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
ガサガサガサガサガサガサガサガサ
足音も走って来るのです…!!
「早く!!」K子が叫びました。一瞬、K子に引っ張られた時に、視界の隅に黒い人影がすごい速さで追いかけて来る姿が見えた気がしました…!
「きゃあああーーーー!!!」
「早く! 早く!!」
「待ってー!!」
もうみんな、恐怖で気が気ではありません。
どれぐらい走ったでしょうか、もう必死で走ったので息が苦しくて、声も出せません。
あわや、もう足音に追いつかれる…! というところでやっと出口の柵まで戻ってくると、運の良い事に、ちょうどあった木の切り株を踏み台にしてみんなで柵をよじ登りました。
柵の中に戻ると、追いかけてきていた足音は止まりました。
気がつけば、いつの間にかあたりはすっかり暗くなっていて
「早く帰ろう!!」
みんなと別れ、家に帰ると7時を過ぎていて、母さんにこっぴどく叱られました。
翌日、K子に裏山で見た黒い人影の話をしようとすると、
「話してたら、来るかもしれないから言いたくない…!」
すごく怯えた様子で、何も話してくれませんでした。
お母さんに、その時の裏山で起こった足音の話をすると、昔、あの山で遊んだ子どもがそのまま帰らなくなったという話を
母が子どもの頃に、祖母から聞かされたことがあるそうです。
あの追いかけてきた足音と、何か関係があるのでしょうか。
もし、あの影に追いつかれていたら…?
裏山の奥でそんなことがあってから、みんな怖くなり、誰も神社では遊ばなくなりました。
裏山には近寄らないほうがいい気がするので、それ以来、一度も行っていません。
Information
あなたの体験した怖い話を教えてください!
※ マガジンハウスの会員になっていただく必要があります。
投稿はこちらから!