小泉孝太郎、森崎ウィンを見て「幼い頃の弟・進次郎を思い出しました」
「想いや情熱が詰まった、心温まる作品です」
【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 160
日本製メガネの95%は、福井県で生産されています。その始まりは、明治時代のこと。豪雪地帯のため冬は農作業ができず収入の道がなくなる村を助けようと、その地で生まれ育った増永五左衛門と幸八の兄弟が、全身全霊を注いだのです。
その史実をもとに、ものづくりの魅力、そして実用品かつ装飾品でもあるメガネに渾身の技術と魂を吹き込む職人と、そんな彼らを支える家族を描いた物語が、映画『おしょりん』です。
物語の始まりは、明治37年、福井県の足羽郡、麻生津村(あすわぐん・あそうづむら)。この地に住む庄屋の長男・増永五左衛門(小泉孝太郎さん)と結婚したむめ(北乃きいさん)は、育児と家事で忙しい日々を送っていました。
ある日、五左衛門の弟の幸八(森崎ウィンさん)が勤め先の大阪から帰郷し、村をあげてメガネ作りに取り組まないかと持ち掛けます。当時の村ではほとんど知られていないメガネでしたが、活字文化の普及で必ずや必需品になると言うのです。
成功すれば、冬は収穫のない農家の人々の暮らしを助けることができる。初めは反対していましたが、視力の弱い子どもがメガネをかけて大喜びする姿を見て、挑戦を決めた五左衛門は、村の人々を集めて工場を開きます。
しかし、苦労の末に仕上げたメガネが「売り物にならない」と卸問屋に突き返され、資金難から銀行の融資を受けるも厳しく返済を迫られ、兄弟は幾度となく挫折します。
そんなふたりを信じ、支え続けたのが、決して夢を諦めない強い心を持つむめ。彼女に励まされた兄弟と職人たちは、最後の賭けに打って出ます。
「おしょりん」とは、田畑を覆う雪が固く凍った状態を指す福井の言葉。おしょりんになれば、回り道しないで好きなところへまっすぐ行ける。本作のタイトルには、いくつになっても、どんな時も、夢に向かって自由に突き進もうという想いが込められています。
ーー出演オファーを受けたときのお気持ちを教えてください。
小泉さん 脚本を読んで、物語の素晴らしさと増永五左衛門さんの素晴らしさはすぐにわかりました。福井県に縁もゆかりもない僕が、増永五左衛門さんという偉大な方を演じて良いものだろうかと、最初はひるみました。
ところが、アウェイに行く気持ちで福井県の撮影現場に入ると、たくさんの方々が協力してくださって。「小泉さんが演じてくださってうれしい」とおっしゃる方もいらして、大歓迎を受けたんです。
そのおかげで撮影初日から、ひるむ気持ちがなくなり、「全身全霊をかけて演じなければ」という気持ちになりました。福井県の方々にスイッチを入れていただきました。
ーー役作りする際に、心がけたところは?
小泉さん どうして、多くの方々が増永五左衛門さんとともに人生をかけたのか。増永五左衛門さんは精神性の高い、私利私欲のない方だったんだと思います。
もし、いま、メガネを広めることができたら、必要としている方を救うことができる…僕はその純粋な気持ちに一番心を打たれました。
ーー森崎ウィンさんの印象はいかがでしたか?
小泉さん 実は、ウィンくんがデビュー間もない頃にお会いしたことがあって。当時の、人懐っこくて、愛されキャラな印象そのままでした。
全く距離を感じず、すっと溶け込むように役に入れたので、彼が弟役で本当に良かったと思いました。彼を見ていると、幼い頃の自分や進次郎(小泉さんの弟/衆議院議員)のこと、兄弟にしかない関係性などを思い出しました。
北乃きいちゃんは、僕と同じ神奈川県横須賀市出身なんです。「いつかお会いしたかったんです」というお話から始まりました。きいちゃんは僕の実家をご家族で何度か見学に行ったことがあるらしくて。「小泉純一郎さん(小泉さんの父親/第87~89代 内閣総理大臣)の家だ」と思いながら見ていたそうです(笑)。
きいちゃんはウィンくんと同じくらいポップではじけるように明るい方で、すぐに打ち解けることができました。
ーー福井県で撮影された際、印象に残っていることを教えてください。
小泉さん 劇中、ウィンくんと一緒に喫茶店のようなところでビールを飲むシーンがあるんですが、文化庁の登録有形文化財に指定されている、旧森田銀行本店で撮影したんです。
福井県内に現存する鉄筋コンクリート造の最古のもので、特別な許可をいただき、撮影させていただきました。セットではない本物の雰囲気があり、演じる側としてはとても幸せでした。
この映画に出演しなければ、建物の中に入って撮影ができませんでしたから、貴重な体験でした。
ーー福井県ロケで、お父さまや進次郎さまとお会いした方と出会ったことは?
小泉さん 福井県各地で、父や弟が「演説で来たときにお会いしました」とおっしゃる方や、一緒に撮った写真を見せてくださった方とお会いすることができました。
温かく迎えてくださって、何よりもエネルギーをいただきましたし、羽田空港からロケ地に向かうときは福井県に帰るような気持ちになりました。
ーー本作のタイトル『おしょりん』には、いくつになっても、どんな時も、夢に向かって自由に突き進もうという想いが込められています。小泉さんの現在の夢は?
小泉さん 芸能界は頑張っていれば、どんどん夢が広がっていき、思いがけない出会いが舞い込んできます。僕はこれからも芸能界という道で、生放送、バラエティ、映画、ドラマなど、いろんなことを一生懸命楽しみたいと思っています。
そしてまた本作のように、胸が熱くなる作品に巡り合いたいです。
ーー最後に、本作の見どころを教えてください。
小泉さん 普段、メガネやサングラスを使用されている方もそうでない方も、メガネを手に取って、明治時代にメガネに人生をかけた方がいた、日本が現在も誇るメガネ産業の礎を築いた方がいた、ということに想いを馳せていただきたいです。
これまで以上にメガネに愛着を持てるような、職人さんたちの想いや情熱が詰まった、心温まる作品です。ぜひご覧いただきたいです。
インタビューのこぼれ話
小泉さんがもっとも印象に残った福井県の食べ物は? 「五月ヶ瀬(さつきがせ/福井県が誇る銘菓)という、ピーナッツがたくさん入った焼き菓子です。僕はこのお菓子が大好きになって、東京に戻ってからも買うようになりました。ぜひ召し上がってください」(小泉さん)。
Information
映画『おしょりん』
福井先行上映中
11月3日(金・祝)より、角川シネマ有楽町ほかにて全国公開
出演:北乃きい、森崎ウィン
駿河太郎、高橋愛、秋田汐梨、磯野貴理子、津田寛治、榎木孝明、東てる美、佐野史郎
かたせ梨乃、小泉孝太郎
監督:児玉宜久
原作:藤岡陽子「おしょりん」(ポプラ社)
脚本:関えり香、児玉宜久
エンディング曲:MORISAKI WIN「Dear」(日本コロムビア)
配給:KADOKAWA
製作:「おしょりん」制作委員会
©「おしょりん」制作委員会
公式サイト:https://movies.kadokawa.co.jp/oshorin/
写真・園山友基 文・田嶋真理 スタイリスト・北村彩子 ヘアメイク・石川武史(PATIONN)
衣装協力:パパス((株)パパス 03-5469-7860)