窪塚洋介、チョコプラ・長田のブチギレ演技に「思わず吹いてしまいました」

写真・幸喜ひかり 文・田嶋真理 ヘアメイク・佐藤修司(botanica) — 2023.2.8 — Page 1/2
今回、ご紹介するのは、映画『Sin Clock』。最低の人生を生きる男たちが思いもよらぬ偶然の連鎖に導かれ、人生逆転計画へ挑むサスペンス・ノワールです。主演を務めた窪塚洋介さんに、お話をうかがいました。

「僕自身の経験から言うと、失敗は成功の母です」


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【イケメンで観るドラマ&映画】vol. 132

映画『Sin Clock』の監督・脚本を務めたのは、牧賢治監督。ヒューストン国際映画祭短編部門ゴールド賞を受賞した『japing』(2014年)、ニース国際映画祭で新人監督賞受賞に輝いた長編第1作目『唾と蜜』(2018年)など、国内外で高い評価を得る新鋭です。自身によるオリジナル脚本で挑んだ『Sin Clock』で商業映画デビューを飾ります。

主演を務めるのは、窪塚洋介さん。どん底の人生からの一発逆転を目指すタクシードライバー、高木シンジ役を独特の色気匂い立つ唯一無二の存在感で表現しています。

高木とともに絵画強奪計画を画策する同僚ドライバー番場役と坂口役には、坂口涼太郎さんと葵 揚さん。そのほか、橋本マナミさん、田丸麻紀さん、長田庄平さん(チョコレートプラネット)、藤井誠士さん、風太郎さん、螢 雪次朗さん、人気ラッパーの般若さん、Jin Doggさんら、多彩なジャンルから個性的なキャストが集結。

スリリングな物語展開とスタイリッシュな映像美とともに、さまざまなジャンルを横断した熱いコラボレーションに魅了される作品となっています。


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ーー演じた役・高木シンジに対して、「俺はこんなんじゃない」と思ったそうですね。

窪塚さん そもそも、シンジは悪循環を引き起こすような心構えを持っていると思います。“こころがまえ”と言うわりには、“こころがあと”で後ろ向きになっていて。どうせ俺なんか、みたいな考えから、行ってはいけない方へ向かってしまう。誰かを説明したり納得させたりする必要はなく、お金もかからないのに、どうして自分は大丈夫だと信じてあげられないのかと思いました。

俺自身の経験から言うと、失敗は成功の母ですし、トライ・アンド・エラーのエラーが成功を持って来るんです。亡くなった山本KID(山本“KID”徳郁)くんも「勝った試合なんか一回も観ない。負けた試合ばかり何回も観る。胸糞悪いけれど、結局そこに勝つヒントがあるから」とよく言っていました。

俺は一見、最悪なときこそ、次のステージに行くための訓練だと考えていて。そう思えるかどうかが、試されていると思います。『Sin Clock』では描かれていませんが、劇中で経験したことによって、シンジのこの後の人生は変わったと思っています。


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ーー窪塚さん、牧監督、エグゼクティブ・プロデューサーを務めた株式会社サイバーエージェントの藤田さんなど、HIPHOPが好きという共通項を通してつながりを持ったところが興味深いですね。藤田さんは完成した本作をご覧になったのでしょうか?

窪塚さん 「本作を夜中に観て。寝て起きたいま、もう一度観ようと思うほど面白かったです」というメールをいただきました。藤田さんは僕が主演した映画『GO』(2001年)も好きだそうで。「『GO』をほうふつとさせるような内容で、映画を作ることができてよかったと思います」とも。藤田さんからのメールを読んでうれしかったです。

ーー藤田さんが、窪塚さんの過去の作品までご覧になっているなんて、うれしいですね。

窪塚さん そうですね、一度家に遊びに行ってみたいです(笑)。


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ーー撮影中の出来事で、印象に残っていることを教えてください。

窪塚さん シンジは番場と坂口に出会って一歩踏み出してしまう。番場役の坂口涼太郎くんと坂口役の葵 揚くんのはざまで芝居をするのは、とても安定感がありました。

撮影の合間、長田さんから相方(松尾駿さん)がとてもレゲエが好きで、僕の曲も聴いていたといった話を聞きました。撮影現場へ行く途中、YouTubeでチョコプラのコントの動画を観たんですが、かなり面白くて。本番中、長田さんがむちゃくちゃキレるシーンで思わずコントを思い出して吹いてしまいました。俺は滅多にその手のNGを出さないので、非常に珍しいことが起こりました。


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ーー牧監督が「この映画を撮る前、撮っている最中にも、ただの偶然とは呼べないシンクロニシティが毎日のように起きました」と語っていました。具体的にはどのようなことが起こったのでしょう。

窪塚さん シンジ、番場、坂口の3人は3月3日が誕生日という設定なんですが、俺が大好きだった祖母の誕生日も3月3日で。撮影に使った車は俺が以前乗っていた車のナンバーと前後を入れ替えただけだったり、俺と橋本(マナミ)さんの誕生日だったり。極め付きが、坂口涼太郎くんのお父さんで。とある理由でタクシードライバーに転職され坂口くんを育てたそうなんですが、それが神戸で、お父さんの名前がシンジなんです。

俺はそれらのシンクロニシティが良いことが起こるときのサインだと感じて、「映画の神様や天の神様がこの作品を応援しているんじゃないか?」といったことを牧監督と話していました。

ーー窪塚さんにとって、忘れられない作品になりそうですね。

窪塚さん はい。興行の成功に結び付けば、なおそうなると思います(微笑)。

インタビューのこぼれ話

本作が、18年ぶりの邦画長編単独主演となる窪塚さん。作品選びの基準について聞いてみました。「20代の前半は、悪い役をやったから、真面目な役をやろうという振り方をしていました。いまはその作品や、自分にふられている役が面白いかどうかを直感で捉えるようにしています」(窪塚さん)。

Information


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映画『Sin Clock』
2月10日(金) より、新宿ピカデリーほかにて全国公開
出演:窪塚洋介
坂口涼太郎、葵 揚、橋本マナミ、田丸麻紀、Jin Dogg、長田庄平、般若、藤井誠士、風太郎、螢 雪次朗
監督・脚本:牧 賢治
エグゼクティブ・プロデューサー:藤田 晋
音楽:尾嶋 優(Jimanica)
劇中曲:「GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR」 Awich (Universal Music LLC)、「Metchalo」 Jinmenusagi
テーマソング:「赤曜日」 「BODY ODD」GEZAN
配給:アスミック・エース
©2022映画「Sin Clock」製作委員会
公式サイト:https://sinclock.asmik-ace.co.jp/

写真・幸喜ひかり 文・田嶋真理  ヘアメイク・佐藤修司(botanica)