イラスト・王 悠夏 文・三谷真美 PR・日本赤十字社
巨大地震が発生したら、どんなことが起こる?
災害はいつどこで起こるかわからないけど、「どんな状況になるのか?」「どんなものが必要なのか?」などを事前に知り、備えておくことで、災害時に焦らず対処することができます。そこで、日本赤十字社・医療事業推進本部で働く、東 陽子さんにお話を伺いました。
2016年の熊本地震では、ご自身が被災しながらも、赤十字病院の看護師として現地で救護活動を行った経験があるからこそわかる、被災時に女性が必要と感じる、リアルな声をお届けします。
もし、2週間の避難所生活を余儀なくされたら…
災害が起こったときのシチュエーションを設定し、その際に想定できる状況や、用意しておきたい「女性ならでは」のアイテムについて考えてみます。
災害のシチュエーション
日時:9月初旬の平日夜
災害状況:震度6以上の巨大地震が発生
避難状況:2週間の避難所生活
ーー巨大地震が起きたとき、女性はどのようなことに困りますか?
東さん 地震発生時は様々なトラブルや不便を感じますが、特に断水によって困ることが多くあります。手洗いや洗顔、歯磨き、トイレなど、日常生活では思っている以上に水を使用するシーンが多いため、状況や季節にもよりますが、ガスや電気が止まってしまうよりも断水に悩まされるかもしれません。
ーー避難所へ行くときの防災グッズの準備で、意識したいことはありますか?
東さん 防災グッズを用意するときは、あれもこれもと詰め込み過ぎに注意してください。持ち運べなくては意味がないので、自分が持って動ける程度の重さなのか、事前の確認が大切です。
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防災コスメ&アイテム1:断水時でも使用できる「スキンケア」
東さん 自治体によって異なりますが、災害時の救援物資には、マスクや歯磨き用品はあっても、スキンケア用品は含まれていないことがあります。そのため、旅行に持っていくような小さなスキンケアのセットがあると安心です。断水した場合、近くに給水車が来るまでの間は水を使うことができないので、水がなくても使用できるクレンジングや洗顔も用意しておくと良いでしょう。
洗い流し不要のクレンジングシート
災害が起こるタイミングによって、メイクをしたままの状態ですごさなければならない可能性があります。断水時でも使えるように、拭き取りタイプのクレンジングシートを用意しておきましょう。使用後に肌トラブルが起こると余計なストレスになってしまうので、普段から使い慣れているブランドの商品を選ぶか、使用したことのない商品の場合は、自分の肌に合っているか、クレンジング力、使い心地など、平常時に使用してみて、問題ないかの確認をしておくことが大切です。
清浄綿(せいじょうめん)
清浄綿とは、脱脂綿に薬液や精製水、または薬液を含まない精製水を浸み込ませ、フィルムパックで密封されたもの。デリケートゾーンや赤ちゃんの肌を拭くこともできます。ちなみに「アルコール綿」は、脱脂綿に消毒用アルコールを浸み込ませたもので、殺菌消毒を目的としている点が異なります。
防災コスメ&アイテム2:シャワーが使えないときの「ボディ・ヘアケア」
東さん 指定避難所等では自衛隊の入浴施設が設置されますが、災害の大きさや地域差によって、数日~数週間かかることも。私自身、熊本地震の時はどうしてもシャワーを浴びたくて、数時間かけて、水が使える実家まで帰ったほど。カラダを清潔に保ち、スッキリ感を得るために、汗拭きシートやドライシャンプーがあるといいかもしれません。
さらに、コロナ禍以降、避難所では積極的に換気をします。避難所は人の出入りが多く、出入り口が開けっ放しなど、蚊が入ってしまうことがあるので、虫除け対策も必要です。
ドライシャンプー
いざ災害時になると、どこを探しても売り切れ…という状況が考えられます。ドラッグストアやECサイトなどで購入することができるので、事前に用意しておきましょう。ただ、肌に合わず頭皮が荒れてしまっては、余計なストレスとなるので、通常時に使用して、問題がないかを確認しておきましょう。
虫除けバンド・シール
カラダを洗えない環境下では、虫除けスプレーが肌の負担になってしまう可能性があります。そのため、虫除けバンドやシールなど、肌に負担がかからないアイテムを選びましょう。
防災コスメ&アイテム3:物資が届きづらい「フェムケア」
東さん スキンケア用品同様、救援物資の中に生理用品などのフェムケア用品が含まれていないことも。ナプキンや、いつも生理痛薬を服用している人は生理痛薬など、フェムケア用品は自分で用意しておきましょう。
また、残念ながら、災害時に女性を狙った犯罪が起こることがあります。貴重品を置いたままその場を離れたり、ひとけのない場所で一人にならないようにしましょう。特に、夜間のトイレには一人で行かず、何名かで(または2名以上で)移動することが大切です。防犯ブザーやライトがあるとなお安心。
吸水ショーツ
環境が変わることで、急に生理になることがあります。頻繁にナプキンを交換できる環境でない場合もあるので、ナプキンとは別で、吸水ショーツも用意しておくと安心です。経血を吸収したショーツを避難所で洗濯するのは難しいと思うので、複数枚あると良いでしょう。
おりものシート
水を使用することができるようになってからも、人の目がある避難所内で、洗った下着を干すことに躊躇するかと思います。そのような下着の交換ができない場合でも、おりものシートを貼っておけば、シートを交換することでデリケートゾーンを清潔に保つことができます。
防災コスメ&アイテム4:ストレスを軽減させる「メンタルケア」
東さん 避難所生活では様々な苦労がありますが、anan世代の女性は、プライバシーが守られないことが一番辛いかもしれません。壁や仕切りのない避難所では、眠れない人も多いので、安眠グッズや癒し効果のあるグッズが役立ちます。
日本赤十字社では、キャンピングマット、エア枕、アイマスク、耳栓、スリッパ、靴下などが入った「安眠セット」をお配りしていますが、物資が届くまでには多少のタイムラグが生じてしまうので、かさばらないものであれば、ご自身でも用意しておきましょう。
耳栓
知らない人のいびきや話し声、子どもの泣き声など、他人を感じる環境下の避難所生活では、ストレスや不安を感じやすく、眠れないことが予想されます。まわりの音を少しでも遮断できる耳栓を活用しましょう。
いい香りのハンドクリーム
癒される香りのハンドクリームやピローミストなどのリラックスアイテムも、用意しておきたいひとつ。強い香りは周りの人への迷惑となってしまうので、ほんのり香る程度にしましょう。
子どものおもちゃ
子どもがいる家庭では、子どもが飽きないことはもちろん、少しでも不安を紛らわせるように、おもちゃが役立ちます。ある程度の年齢であれば、避難所内で同年代の友達を作ることができるかもしれませんが、赤ちゃんはそういうわけにはいかないので、小さい子どもがいる家庭では、絵本やぬいぐるみなどを用意しておきましょう。
日本赤十字社は、「被災後のメンタルケア」も。
東さん 日赤は災害時の活動として、医療救護班の派遣や救援物資の配分などと共に被災された方々への「こころのケア」も重要な柱としております。「こころのケア」活動では、研修によって必要な知識や技術を身に付けたこころのケア要員が、被災された方にハンドマッサージや血圧測定といったリラクゼーションを行いながら、健康状態や身近な悩みなどを聴いたりします。
災害時のことがフラッシュバックしたり、大規模な避難所においては大勢での共同生活によるストレス、小規模な避難所においては取り残される不安や物資が大規模な避難所に集中していることへの苛立ちなど、それぞれの悩みがあります。自分の気持ちを話すことで、混乱していた気持ちが整理できたり、緊張や不安から解放されると言われているので、被災した際は、我慢せずに思っていることを話してください。
また、被災自治体の職員やボランティアのようにご自身も被災されていながら、一般市民の支援を担う方々もおられます。そんな「被災者でもある支援者」も含め、被災地の全ての方々に必要な活動が「こころのケア」です。
女性だからこその事前準備で、万が一に備えよう。
災害はいつ起こるかわからないからこそ、避難所生活を過ごすことになった場合に起こり得る、女性だからこその心構えや注意するべきこと、用意しておきたいものなどをご紹介しました。
災害時の助けだけでなく、通常時の生活も豊かになるようにと日々活動している日本赤十字社。日本赤十字社のSNSでは、災害への備えのほか、片頭痛や発熱時の対処法など、日常生活で知っておきたい情報も発信しているので、チェックしてみてください。
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