意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「推し活」です。

主観的価値に支えられ、経済効果も期待。

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アイドルや俳優などを積極的に応援する活動のことが「推し活」と呼ばれるようになりました。知人のプログラマーさんは「推し活」を認めてくれることを条件に就職先を選んでいました。彼を見て、それが働きやすさにつながっているのを実感しました。さらに、ゲームの企画・開発・運営を手がけるジークレストという会社では、「推しメン休暇」という型破りな福利厚生制度を設けています。自分のイチ推しメンバーの記念日には休暇を取得できるというもので、お祝いを支援するための活動費も会社が負担。推しメンの誕生日やライブ開催日への参加も会社がサポートします。「推しメン休暇」を使うことで、様々なアイデアに触れ、ゲーム開発に役立ててほしいという意図なのだそうです。つまりリフレッシュ休暇制度と同じ福利厚生策ですね。

かつて「オタク」という言葉は暗いイメージだったのが、やがて得意な分野にすごく精通した、職人的な専門家という概念に変わりました。さらにAKB48などの登場により、「この人を応援する」という個人の行動が、そのアイドルをスターダムに押し上げていきました。「推し」という概念が商業的にもメディア的にも認知されるようになった。その延長線上に、クラウドファンディングのような仕組みや、YouTubeライブの投げ銭機能「スーパーチャット」も生まれました。まさに「応援消費」をうまく取り込んだシステムだと思います。

推し活は経済効果も期待されています。いまは消費が落ち込んでいますから、内需を刺激しなければなりません。モノはある程度行き渡っているので、なにかのサービスに投じなければならない。それが、「自分が良いと思ったものにお金を投じる」という、主観的価値に支えられた信用経済として回り始めたのです。ファンでもないAさんにとってはまるで価値のないことでも、ディープなファンのBさんにとってはものすごい価値になる。百人百通りの好きがあっていいという、多様性につながります。「推し」のバリエーションが増えれば、お金を回す先も増えるということですから、歓迎すべき流れなのではないかと思います。

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堀 潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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