料理をして、味わって。春の心と体をラクにしよう。
冬から季節が変わりやってくる春といえば、新生活のシーズン。
「とはいえ、気温が変わる、環境が変わるといったことがストレスになり、それが肌荒れや胃腸の疲れといった体の不調を呼ぶ。つまり春は、体の調子が崩れる季節ともいえるんですよ」
と言うのは、管理栄養士の資格を持つ料理家の長谷川あかりさん。そんな季節の不調を改善するには、旬の春野菜を食事で摂ることが効果的。
「旬の野菜には、その季節の体が必要とする栄養素が備わっているので、この時期には春野菜をぜひ食べてほしい。春野菜全体の特徴は、とにかく香りが良いこと、そして苦みなどこの時期だけの特別な風味や味わいを持っていること。さわやかな香りを嗅ぐことで心がスッキリしたり、独特の苦みで季節を感じることが気分転換につながり、さらにはストレスの緩和を促してくれます」
また、疲れた一日をリセットするには、少しだけ丁寧に料理をすること自体が役に立つ、とも。
「まず、今の自分の気分や体調に合ったごはんを食べることができると、心も体も満足できます。さらにそれを“自分が作った”ということで、自己肯定感が上がる。特に、ストレスを感じた日の最後こそ、自己肯定感を上げて一日を終わりたいもの。そんなときに料理という行為と、自分で作ったものを美味しく食べるというのはとても効果的なんです」
今回長谷川さんが教えてくれたレシピは、いずれも簡単ですが、適度にやりがいを感じられるものばかり。
「体が疲れたときはもちろん、少し心にざわめきを感じるときには、ぜひ料理を自身のケアに使ってみてください」
#クマ、しみ、そばかすケア
鯖などの青魚に含まれる栄養素のEPAとDHAは血の巡りを改善する力があり、クマの解消やしみ・そばかすの防止といった美肌効果が期待できる。またトマトからはたっぷりのビタミンCと、リコピンが摂れるので、しっかりと美肌をサポートできるメニュー。
茹で塩鯖のトマトチーズソース
茹でることで塩味がまろやかになり、身もふっくら! 酸味のあるトマトソースと食べると美味しさが倍増します。鯖は茹で汁につけて冷蔵庫に入れておけば、2~3日は保存可能。常備菜としても。
【材料/2人分】
〈茹で塩鯖〉塩鯖…2切れ、水…1,1/2カップ、ローリエ…1枚、白ワイン…大さじ1 〈トマトチーズソース〉トマト…大1個、A[粉チーズ…大さじ2、酢…小さじ1、オリーブオイル…小さじ1、おろしにんにく…小さじ1/2、塩…小さじ1/3、砂糖…ひとつまみ]
【作り方】
1.茹で塩鯖を作る。小さめのフライパンまたは鍋に塩鯖、ローリエ、白ワインと水を加えて中火にかける。沸騰直前で少し火を弱め、蓋をせずに5分茹でる。汁ごと粗熱が取れるまで冷ます。
2.トマトチーズソースを作る。小さめの角切りにしたトマトとAを混ぜ合わせる。
3.(1)を器に盛り付け、(2)をかけて完成。
#ストレス太り解消
食物繊維が豊富な切り干し大根をノンオイルで調理。腸内環境を整えることで、お腹をスッキリ。カルシウムも豊富なので、イライラの解消にも役立ちます。山椒の香りでストレス緩和効果も期待!
切り干しと豚肉の山椒煮
体にいい要素をたくさん持っている切り干し大根。このレシピは少量のパックなら使い切れる材料設定。水に戻して蒸し煮にするだけで、難しい工程も一切なし。使い慣れない人こそぜひトライを。
【材料/2人分】
豚肉しゃぶしゃぶ用ロース肉…160g、切り干し大根…30g、A[水…200ml、料理酒…50ml、薄口醤油…大さじ1]、粉山椒、塩…適量
【作り方】
1.切り干し大根はさっと洗って水気を軽く絞り、包丁で軽く刻んでおく。
2.豚肉と(1)、Aの調味料をフライパンに入れたら中火にかける。
3.沸騰したら蓋をし、弱めの中火で8分蒸し煮にする。途中で豚肉をほぐしながら全体を混ぜておく。粉山椒を適量かけ(5~6振りがおすすめ)さっと混ぜたら、味を見て塩で調える。器に盛り、追い山椒を少々振りかけて完成。
#イライラ鎮静
セロリの香り成分である〈アピイン〉や〈セネリン〉には、精神を落ち着かせる鎮静効果が。イライラを抑える働きがあるともいわれるので、心がざわつくときにおすすめです。いい香りを思い切り吸って、召し上がれ。
セロリ豚汁
さわやかなセロリの香り。一方でクセのある味が苦手という人もいますが、加熱することでクセが和らぎグッと食べやすく。いわゆる豚汁と違い、手間が少ないので、疲れた日でも気楽に作れます。
【材料/2人分】
豚バラ肉薄切り…100g、セロリ…小1本、にんにく…1かけ、こめ油…小さじ1/2、塩…ひとつまみ、水…400ml、味噌…大さじ1,1/2、黒すり胡麻…適量
【作り方】
1.豚バラ肉は3~4cm長さに切る。セロリは茎と葉に分け、茎は斜め薄切りにする。葉は食べやすい大きさに切る。にんにくは薄切りにする。
2.小鍋に油を中火で熱し、豚バラ肉を炒める。色が変わったらセロリの茎を加え、塩を加えてセロリが透き通るまで炒める。
3.水を加え、ひと煮立ちしたらセロリの葉を入れ、ひと混ぜして火を止める。味噌を溶かし入れ、器に盛り付ける。黒すり胡麻をトッピングして完成。
長谷川あかりさん 料理家、管理栄養士。俳優として活躍した時期におにぎりなどを差し入れした経験から料理の道を志す。著書に『いたわりごはん2 今夜も食べたいおつかれさまレシピ帖』(KADOKAWA)など。
※『anan』2024年4月10日号より。写真・小川朋央 スタイリスト・岩崎牧子
(by anan編集部)