小鴨ならではの柔らかな肉質と豊かな味わいに、バターの香気と骨のジュのソース。小鴨を味わい尽くすパイ包みはノックアウトのおいしさ……。と、さっきまでクラシカルなフレンチを堪能していたはずなのに、〆に現れたのは卵色がほっこり輝くオムカレーライス。なんだろう、このギャップ。驚き? 疑問? いやいや、むしろかなり嬉しい。高嶺の花だと思っていたあの子の庶民的な一面に出会って恋に落ちる。そんな感じだ。
六本木ヒルズに昨年11月にオープンした『レグリス』は洋食もフレンチも、どちらも楽しめる夢のレストラン。なにしろシェフの波多野猛さんは名だたるフレンチで長年経験を積んだ猛者にして、キャリアのスタートは洋食の老舗『グリル満天星』。根っこの洋食愛あってこその華麗なるハイブリッドなのだ。「洋食はフレンチの簡易版と捉えられがちですが、手間の掛け方は結局変わらないんです」と、波多野シェフ。その言葉の通り、エゾ鹿のオムカレーライスはきっちり鹿の骨からフォンをとり、香り高いピラフはトランペット茸などのキノコをブイヨンと共に炊く。おいしさを絶対に怠けない。そんな真摯さが伝わる料理から生まれるのは圧倒的な幸福感。それでいて肩肘張らない安心感もあるのだから、本物を気軽にいただけるランチに、もはや「ありがたい……」という言葉しか出ない食後だった。
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ランチはクロスを使用せず、カジュアルな空間。日替わりのジビエの一皿(写真は小鴨のパイ包み焼き)は¥5,000のランチコースかディナータイムにオーダー可能。全てのランチに+¥600で季節のおすすめオムライス(写真はエゾ鹿のオムカレーライス)を追加できる。桜色のワインは、山梨のGomi Wineryの「甲州桜花 2018」¥900。
Reglisse 東京都港区六本木6-12-2 六本木ヒルズ けやき坂通り3F TEL:03・6804・3306 ランチ11:30~15:00(13:30LO)、ディナー18:00~23:00(21:00LO) 月曜休(祝日の場合は営業、翌火曜休)
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2020年2月5日号より。写真・清水奈緒 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)