2000年生まれの高校生作家・青羽悠さんが、“夢”をテーマに描くデビュー作『星に願いを、そして手を。』。
青羽悠

「受賞してから、学校でのあだ名が“先生”になりました(笑)」

そう話すのは第29回小説すばる新人賞を受賞した青羽悠さん。史上最年少の16歳で受賞を果たした注目株だ。受賞作『星に願いを、そして手を。』は、24歳になった幼なじみ4人が久々に顔を会わせる夏の物語。彼らのうち、宇宙好きが高じて大学院で研究を続ける理奈は、その夢を諦めて公務員になった祐人にわだかまりがある様子だ。彼らの上の世代や下の世代の視点も絡め、重層的な人間模様が展開していく。

「夢を叶えた人と叶えられなかった人、夢に迷っている人を書きたかったんです。僕の中では24歳くらいがちょうど、自分の先が見えてくる年代でした。それだけじゃなくて、もっと達観した世代や、まだ夢に迷っている僕と同世代も書かないと駄目だなと思ったんです。もしも夢が叶わなくても前を向ける話にしたかったので、自分に向けて書いている部分もあったかもしれません」

と言う青羽さん自身は、小中学生の頃は漠然と宇宙の研究者になるという夢を抱いていたのだとか。

「高校で理系コースに進んで勉強しているうちに、自分には無理だなと思って、文系に移ることにしたんです。自分の興味が文系に移っていったということもあるので、挫折というほどではありませんでしたが」

小説執筆に興味を持ったのは、

「中学生の時に伊坂幸太郎さんの『重力ピエロ』を読んで、こんな面白いものがあるのかと思ったんです。それに小説はパソコンに向かいさえすれば書き始められますから」

青羽悠

夢に対するそれぞれの心情を、丁寧に掬いとる本作。読み手はきっと、自分の中にある、あるいはかつてあった夢と向き合うに違いない。

青羽さん自身は春からは受験勉強に重点を置くという。でも、

「今、少しずつ高校生の話を書いています。賞をいただけたのはまぐれかもしれないし、今の技術や構成力の状態で休むのは怖くて。それに、高校生の僕でないと書けないものがある気もしているんです」

見守りたくなる新鋭である。

あおば・ゆう 2000年、愛知県生まれ。本作「星に願いを、そして手を。」で第29回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。名前はペンネーム。青い色が好きなのだそう。

10代の頃、よく町の科学館に集まっていた4人組。24歳になった今、彼らはそれぞれの道を歩んでいた。そんな折、科学館の館長が亡くなった。葬儀のために再び顔を会わせた彼らの心によぎるものは…。集英社 1600円

※『anan』2017年4月5日号より。撮影・土佐麻理子(青羽さん) 森山祐子(本) インタビュー、文・瀧井朝世

(by anan編集部)


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