
(P)&(C)BIGHIT MUSIC
J-HOPEが6月13、14日に韓国・高陽総合運動場のメインスタジアムで『j-hope Tour ‘HOPE ON THE STAGE’ FINAL』を開催。2日間でのべ5万4000人が来場した。今回の公演は、今年2月からソウルでスタートし、3か月にわたって15都市を巡ったワールドツアー『j-hope Tour ‘HOPE ON THE STAGE’』のアンコール公演。そしてその初日となる6月13日はBTSのデビュー記念日でもある。BTSにとって、そしてJ-HOPEにとっても意味のあるこの日の公演にはメンバー全員が駆けつけ、JUNG KOOKとJINはステージもともにした。その6月13日のライブの模様をレポートします。
ピアノの旋律が会場に響く中、ステージ上にせり出したたくさんの赤いブロックが上下にうごめきながらやがて山なりに盛り上がると、その中央から真っ赤ないでたちのJ-HOPEがマイクスタンドとともに登場。ピアノの単調な伴奏で始まったのは、自問自答を繰り返す「What if...」。タイトルでもある「What if(もしも)」をリフレインしながら、もしも夢や希望なかったら、今のようでいられるだろうかという疑問をもうひとりの叩きつけられながらも、それでも希望を見出そうとする歌を叫ぶ姿に、会場のARMYたちは大歓声を送った。

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続く「Pandora's Box」ではスモークが焚かれたステージを悠然と歩きながら、ラップを叩きつける。ありとあらゆる災厄が飛び出した後、最後に希望だけが残ったパンドラの箱。その希望の名前を冠したJ-HOPEが歌うこの曲には、自身の役割を背負う覚悟を感じさせた。そしてジッポで火を付ける仕草で始まった「Arson」ではファイアーボールが打ち上げられ、真っ赤に染まったステージはタイトルが意味する通りまさしく「放火」現場のよう。自身が走り続けるために放った火はいつしか世界に飛び火し、誰も止められなくなってしまった。そんな告白とも取れる曲を歌いながら、真っ赤な炎をバックに、会場のARMYたちを指揮して「Burn」「Done」のコールが会場にこだまする。ライブ開始からの3曲でJ-HOPEとは何者なのかをあらためて語った後、さらに「STOP」まで4曲を一気に駆け抜け、彼の「STOP!」という声で曲が終わった後も、ざわめきのような歓声はなかなか収まることがなかった。
この日はあいにくの雨模様。「みなさんが流すのが汗なのか雨なのかわからないくらい楽しんでください」と会場に語りかけながらも「でもまずは安全第一なので、雨具をしっかり使ってくださいね」と気遣う場面も。そしてソロツアーのファイナル公演を意味ある6月13日にやることになったことについての感慨を語りつつ、ファイナルなだけに「ここまで変えちゃっていいのかな、というくらいたくさんのことを準備しました」とにっこり。そして会場のARMYに向かって「You guys one more?」と問いかけて始まったのは、2022年のロラパルーザでソロとしてステージに立った時に1曲目として披露した「MORE」。モノクロで作られたステージの上を、ロングコートにパンツ、シャツ、ネクタイ、グローブ、マイクに至るまで赤一色で統一したJ-HOPEの姿が跳ねる。VCRを挟んでTシャツに褐色のベスト、ハーフパンツにヒョウ柄のバゲットハットのカジュアルルックに着替えて登場すると、蝶の形をした紙吹雪が舞う中「on the street (solo version)」がスタート。しっとりとしたメロディに「Everytime〜」から始まるラップを重ね、時折、感慨深げに目を閉じる姿が見られた。
男性ダンサーと2人、時には手を重ね、時にはシンメトリーに、ギターサウンドに合わせてギターを弾く振り付けをしたりと楽しそうに踊る姿がキュートな「lock/unlock」、LE SSERAFIMのHUH YUNJINとのコラボで話題になった「i don't know」では女性ダンサーとのステージで向き合ってダンス。JUNG KOOKとのコラボ曲「i wonder...」ではステージ途中でJUNG KOOKが登場し、J-HOPEはすぐさま手を握り、肩を軽くぶつけて挨拶を交わす。カラフルな紙吹雪がステージを彩る中、JUNG KOOKもJ-HOPEも満面の笑顔を見せた。そして「JUNG KOOK、踊ろう!」というJ-HOPEの掛け声で、腰を左右に揺らしたり、ターンしたりと楽しそうにダンス。2人でハグを交わしたり、敬礼で挨拶をし合ったり、長い時を経ても変わらぬBTSの絆を見せた。

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「兵役を終えて戻ってきたJUNG KOOKに叫べ!」とJ-HOPEが声を掛けると、会場は大きな歓声でJUNG KOOKを迎え入れる。そんなJUNG KOOKは「1年6ヶ月ですか…。とても会いたかったです」とポツリ。JUNG KOOKの出演は、本人から「ファイナル公演は一緒にやりたい」と言ってくれたそうで、「僕はすごく感動しました。本当にありがとう」とJ-HOPE。JUNG KOOKは久しぶりにARMYに出会えてやや緊張しながらも笑顔を隠せず、「いろいろ思い浮かぶことはあるんですけど…すごく新鮮ですね」とにっこり。そして「このままJUNG KOOKを帰らせるわけにはいかないですよね?」とJ-HOPEはARMYに先ほどの「You guys one more?」の質問を重ねると、ステージをJUNG KOOKに任せて一旦退場。ひとりステージに残ったJUNG KOOKにARMYの大歓声が湧き上がると、「久しぶりにこの声を聞いたら鼓膜が破れそうですね、声が大きくて」とARMYの歓声を直接聞くため、うれしそうにイヤモニを外した。J-HOPEのこれまでのステージ下で観ていたそうで、「やっぱり違いますよね、かっこいい。僕がオープニングの時のJ-HOPEさんの衣装を着たら絶対に似合わないと思います」と言って笑いを誘った。ギターのサウンドに合わせてギターを弾く振りからはじまったのはJUNG KOOKのソロ曲「Seven」。J-HOPEとのコラボ曲で、J-HOPEのラップパートでは本人が登場、楽しそうに笑い合いながら、ステージ上で手の甲を合わせて叩き合い会場を盛り上げた。
その勢いのままに、「Just dance!」と言って始まった「Trival起:Just Dance」では、ラップとリズムで遊ぶようなダンス、緩急のあるメロディとJ-HOPEらしい魅力が詰まったステージに。「水に気をつけて」というJ-HOPEの合図でステージから大量の水が発射されたりと、フェスさながらの演出に会場が沸いた。
白地にスパンコールのタンクトップの衣装に着替え、ここからは新曲披露。この日、リリースされたばかりのデジタルシングル「Killin' It Girl」では緩やかなリズムの中に大人なセクシーさを垣間見せ、「MONA LISA」では会場のARMYの顔がモナリサに変換されてスクリーンに映し出される演出がユニーク。「みんな一緒に歌ってください。楽しんで!」と言って始まった「Sweet Dreams」は笑顔を見せながら、ARMYに語りかけるように歌い、踊る。イヤモニを両耳外して、会場の声を聞いては心底うれしそうな笑顔を見せた。
「Sweet Dream」はこのツアーのソウル公演で初披露、「MONA LISA」はニューヨーク公演で初披露し、ライブ当日にリリースされた「Killin' It Girl」もこの日が初披露と、新曲3曲を立て続けにパフォーマンスできて、満足げ。「『Killin' It Girl』は自分で言うのは恥ずかしいんですけど、J-HOPEのセクシーさを見ることができる曲とパフォーマンスだったと思います」と照れ笑いを見せた。この3曲は愛をテーマにしているそうで、「J-HOPEならではの方法で愛に接近し、イージー・リスニングな曲に仕上げました。僕なりに起承転結をつけたくて『Sweet Dreams』から『MONA LISA』、そして『Killin' It Girl』までお届けしました。『Killin' It Girl』では強烈でパワフル、そんな姿を見せたいと思って準備した曲です」と語り、6月13日という特別な日にリリースされたこの曲への思い入れを語った。
ライブも中盤に差し掛かったところで、「J-HOPEがどんな音楽をやってきたのか、その一代記をお見せします」と会場のARMYたちを立たせると、始まったのは「1 VERSE」。静かなメロディながらひたひたと溢れるような何かを感じさせるこの曲でセンターステージへと向かうと、「曲が始まったらジャンプしなきゃダメですよ」という言葉で始まった「Base Line」では、そんな明るい言葉とは裏腹に圧倒的なラップを叩きつけ、「HANGSANG」では真っ赤に染まった会場に向けて、吐き出すように仲間との絆を歌ったラップを叩きつける。
その後もダンサーを従えての大演舞を見せた「MIC Drop」や「みんなで歌ってください」の声で大合唱が巻き起こった「Outro:Ego」、ベッドに横たわったまま歌われた「Daydream」などを披露。雨脚はどんどん強くなり、花道やセンターステージでパフォーマンスするたびに濡れるのも構わず、どんな曲も楽しそう。「これくらいの雨は、僕はロマンチックだなと思います。適度に(雨を)浴びながら楽しめるくらいですよね。ここで大雨が降ったら問題ですけど」と茶目っ気たっぷりに語った。
この日はBTSのメンバーが会場に来ていると紹介すると、スクリーンにはこの日ステージを務めるJUNG KOOKとJIN以外の4人の姿が。4人は頭の上でハートを作ったり、ダンスをしてみたり、思い思いの動きで会場のARMYの歓声に応えていたが、J-HOPEの「サランヘ(愛してる)!」という声にはハートでお返し。J-HOPEの「メンバー全員、兵役を終えて帰ってきました。みなさんに見せたいものがたくさんあります。一生懸命準備してお見せしますので、期待していてください。メンバーが元気に戻ってきたので拍手してあげてください」の言葉で再びARMYからは拍手と大歓声が沸き起こった。続けて「お疲れさま!」とJ-HOPEが言うと、またしてもメンバーたちはハートでお返ししていた。そして、「HANGSANG」という曲を歌った時はメンバーを見ながら歌っていたことを告白。「メンバーは僕にとってとても大切な存在なので。彼らがいなかったら僕はいなかったし、みなさんがいなければ僕たちBTSもいませんでした。いろんな意味で僕たちはつながっているんだと思います」と感謝の言葉を口にした。
ライブもいよいよ終盤へ。「ファイナルだから何かしてくれると思うんだけど」とJ-HOPEがおねだりすると、会場からはJ-HOPEの大コール。そのコールを受けて、「Welcome to my HOPE world」のシャウトで「HOPE world」がスタート。ジャンプして、両手を振って、これが最後の曲とは思えないほどパワフルにステージを駆けめぐる。会場の全員で手を大きく打ち鳴らし、「飛ぼう!」のシャウトで会場全体がジャンプすると、スタジアムは今日一番の一体感に包まれた。ステージでは明るく元気でポジティブなパワーに溢れたパフォーマンスが展開している間、スタジアム上空には花火が盛大に打ち上がり、ライブの終わりを華々しく飾った。

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アンコールでは JINが登場。「Spring Day」を2人で歌うと、いつしか会場のARMYたちも一緒になって大合唱に。ペンライトを左右に揺らしながら歌うその光景を観ながら、2人も一緒になって両手を左右に大きく振っていた。曲が終わってJ-HOPEが「We are back!」と言いながらうれしそうにJINとハグを交わすと、「僕もあそこで(ライブを)観ていたのですが、J-HOPEがすごくかっこよかったです。びっくりしたし、逃げたくなりました」とJIN。その言葉を受けてJ-HOPEが「兄さんが逃げたら誰が『Spring Day』を歌うの」と返すやりとりは、普段の2人を彷彿とさせた。さらにJ-HOPEが「Epiphany」かラップを所望すると、困惑しながらも「ラップですか? 準備はできてますけど…」と苦笑い。そしてステージの準備をしながら、「6月13日は僕たちのデビュー日ですよね。だからステージをやらなくちゃと思って、J-HOPEに単刀直入にお願いしました」とこの日ステージに上がった理由を説明すると、今年5月16日にリリースしたばかりのソロ曲「Don't Say You Love Me」を披露した。続く「Jamais Vu」ではJ-HOPE、続いてJUNG KOOKもステージへ登場。3人のステージに、会場のARMYたちは大歓喜。そして3人もステージが終わって、久しぶりにこの曲を披露したことで興奮気味に「久しぶりにこの曲を歌って、感慨深いですよね。あの頃はコロナ禍だったし…」と懐かしそうに振り返った。

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2人を見送って始まった「=(Equal Sign)」、続く「Future」では希望に満ち溢れたステージを見せた。「Thank you、I love you」と最後まで両手で指ハートを作ってステージを降りていったが、鳴り止まないコールを受けてすぐに「サプライズ!」と再登場。「本当に最後の曲です」と言って歌われたのは、彼がダンサー時代に所属していたチーム名を冠した「NEURON」。諦めない心を歌ったこの曲で、この日の1曲目で提示した疑問への答えを出してみせた。紙吹雪が舞う中、誰よりも高く飛び跳ね、会場のあちこちをくまなく駆け回るJ-HOPE。上空では再び打ち上げ花火が空を彩り、スタジアムにはARMYたちの叫びがこだまする。そんな広い会場のあちこちに愛を込めてハートを届けるJ-HOPE、最後ははにかみながら「サランヘヨ(愛してます)」とつぶやいて、ステージを笑顔で去っていった。