寺西拓人「人生を変えるには短いけど濃密な3か月半でした」

――最終審査で名前を呼ばれた時は、どのような心境でしたか?
その瞬間になんというか自分の人生のフェーズが変わる感覚があって、それは今までの活動の中でも感じたことがないものでした。同時に、これで候補生が終わるという気持ちもあったんですが、それは寂しさよりも、先に進むんだという意識。人生に一度あるかないかの非日常な体験をさせてもらう中で、他の候補生たちとのチームワークが生まれていったり情が湧いたりもしたけど、僕が目指していたのはtimeleszのメンバーになることで、候補生を続けたいわけではなかったですから。でも最後まで、自分を信じていました。
――自分を信じていたというのは?
もしメンバーになれなかったら落ち込むとは思うけど、今じゃなかったんだと自分を納得させられていたと思うんですよね。それはそれだけやり切ったからだと思います。僕は4次審査から参加したので、候補生の期間は約3か月半。人生を変えるには短いけど、濃密な期間でした。名前を知ってもらえたことで世界が広がったという実感もあるし、自分はこんなことも考えるんだと新たに知ることもできたいい経験だったと思います。
――メンバーになり、気持ちの変化は?
漠然としていたものが、じわじわと…という感じはあります。メンバーに会うと、ああこれからここでやっていくんだ、みたいな。今ちょうど舞台の本番中なんですが、次からは“timeleszの寺西拓人”としての初めての作品になるんだなと思うと、グループに恥じないようにしないとって思います。とはいえ、僕自身は今までと変わらずに作品に向き合っていきたい。
――ソロで活動していたところからグループのメンバーになることに対して、特別な想いはありますか?
今までと変わらずにうまくいくとは思っていないけど、そのためのオーディション期間だったんだとは思いますね。(菊池)風磨とは同期だし、(佐藤)勝利や(松島)聡ちゃんは後輩で、候補生と審査員という関係性から同じメンバーとなったわけですけど、僕や原(嘉孝)はオーディション前と彼らとの接し方は変わらないと思います。ただ、新加入の3人は難しいんだろうなって。そこをうまく繋ぐのが僕たちの役割だと思っています。
――オーディション中に印象的だったエピソードがあれば教えてください。
常にカメラが回っていたし、主だったものはオンエアされていたので、裏話はあまりないかも。ただ、例えば(浅井)乃我は歳がすごく離れていたけど、最初は事務所の若い子たちと接している感覚だったんです。でも、僕は中学生から芸能活動をしていたから、乃我と同じ年齢だった時は乃我のような壁のぶつかり方はしていなかったんですよね。それに接していると、やっぱり等身大の普通の子で、そりゃ壁にぶつかるよなって。そうはいっても立場は対等だし、僕は途中から入ったわけだから、最初はあまり偉そうに口出すことはしたくないと黙ってたけど、5次あたりから、もし聞かれて教えてあげられることがあれば教えてあげたいと思い始めて。そのうち、なんでもない話をするようにもなったことでいろいろ話を聞いたり、アドバイスみたいなこともできるようになりました。
――思い出に残っている候補生は?
4次で同じチームだった前田大翔と上野凌大のことをすごく覚えています。大翔は4次審査本番後に連絡をくれて「てらくんみたいな人とこれから仕事がしたい。プロってこういう人なんだと思った」と言ってくれたんです。今でもちょくちょく連絡をくれるんですが、そうやって認めてくれる人がいたのはすごく嬉しかった。凌大は最後に「正直絡みづらかったです」と本音を伝えてくれました。僕にもその自覚があったので、凌大の言葉が刺さって涙が溢れちゃって。お互い気を張ってたしライバルだったけど、腹を割って話してくれたことで違う関係性になれた。例えばこういう人がリーダーを務めるグループがあったらすごくいいチームになるだろうとも思いました。
――トレーナー陣とのエピソードはありますか。
NOSUKEさんは経験のある僕を気にかけたり心配してくれていました。お互いに意見を持っていたので対立した場面もあったけど、それぐらい本気で向き合ってくれるすごく素敵な人だと思ったし、兄貴みたいな感覚です。
――これから楽しみにしていることは?
芝居に出合って個人で活動してきたけど、実はグループって羨ましいなって思ってたし、そりゃずっと憧れてきましたよ。でもこれからは、みんなで曲を作って楽しむことができる。「うちのメンバーが」って言えるので嬉しいです(笑)。そして仕事において、今までは自分一人で判断して選択してきたことも、今後は自分だけの責任ではなくなります。メンバーであることの自覚を持ち、仕事の方向性が変わっていくことも受け入れながら楽しんでいきたいです。
PROFILE プロフィール
寺西拓人
てらにし・たくと 1994年12月31日生まれ、 神奈川県出身。長年俳優として活躍する中、プロジェクトには4次審査から参加。菊池さん、佐藤さん、松島さんが絶大な信頼を寄せる最年長。
INFORMATION インフォメーション
『timelesz project‐AUDITION‐』
timeleszの3人が、共に歩む仲間を探す「timelesz project」にNetflixが密着し、世界独占配信中の番組。公式YouTubeチャンネルでは、オーディションの裏側『timelesz Behind The AUDITION』を公開しているほか、Instagram(@timelesz_project)やTikTokでも限定コンテンツが続々。
anan2438号(2025年3月12日発売)より