素敵なお姉さまを迎え、お話を伺う「乙女談義」。11月のゲストは、漫画家の一条ゆかりさん。ドラマティックな作風の背景にはいったい何がある?! 第1回目をお届けします。
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小さい頃からデコラティブ。でもその理由は…。

私は6人姉兄の末っ子、岡山の貧乏な家に生まれました。幼少時代、流行っていた舶来のバービーちゃんは高嶺の花で、なんとか買ってもらえたのはキューピーちゃん。しかしそれにまつわる小物は当然手が届きませんでした。当時は今と違っておとなしい子だったんですが(笑)、「貧乏だ」と言われることが怖かったのと、「持ってない」とは言いたくない見栄っ張りだったので、もらった端切れで、見様見真似でお洋服やお布団を作ったんです。無駄にリボンとフリルとレースを付けたものを。かわいくしたいというより、いろいろ付けたほうが粗が目立たないし、貧乏くさく見えないでしょ? もはや苦肉の策ですよ…。ところがなぜかその洋服やお布団をみんなが「かわいい!」と言うの。それを聞いて私は、ふふっとほくそ笑んでいました。

そんな環境で育ったせいか、ないものは自分で作るし、創意工夫をするのは当たり前。ちなみに今は、畑で野菜を作ってます(笑)。

実は、絵が“好き”だったわけではないんです。

母の仕事の都合で、私は3歳で保育園に入りました。しかし2年目の途中で日々の変化のなさにがっかりし、登園拒否(笑)。結局家で一人で留守番をすることに。しかしおもちゃを買うお金もないため、妄想しかやれることがない。「お城の自分の部屋に天蓋付きのベッドがあって…」などの空想を、家の前の道で絵にしてたんです。毎日やっていたおかげで徐々に上手くなり、褒めてもらえるように。小学校に入ってからは、友だちからのリクエストでノートの端に絵を描くと、人が集まるようになりました。5年生のとき、ハガキに絵を描いて雑誌に送ったら、出すもの出すもの全部載るので、「私、この道でいけるんじゃ…?!」と野心が出た気がします(笑)。

でも、絵が好き、とかではなかったです。絵を描くことで、それまで箸にも棒にもかからなかった〈私〉という存在に、気がついてもらえたんです。絵は私にとって、自分を初めて認めてもらえた、ありがたいものでした。

いちじょう・ゆかり 漫画家。1949年生まれ、岡山県出身。代表作に『デザイナー』『有閑倶楽部』『プライド』など。今年エッセイ集『不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!! 一条ゆかりの金言集』(すべて集英社)を発売。

※『anan』2022年11月16日号より。写真・中島慶子

(by anan編集部)

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