ドラマや映画で、気になる存在感を放つ浅香航大さん。思わずクスッとさせられるコミカルなキャラクターから、クールで毒舌な男や熱血漢まで、幅広い役柄を演じつつも、そこに揺らぎを加え、血の通った人間くさい人物を立ち上げてみせる人。そんな浅香さんを写真家の岩澤高雄さんが撮影します。
asaka

取材現場にやってきた本人は、シャイでもの静かな雰囲気を漂わせる。

「色気って目には見えない魅力ですよね。味とは違う。哀愁とか優しさとも少し違うけれど、どこか近い部分はあって。なんとなくですけれど、その人が積み重ねた人生から哀愁とか優しさが滲み出てくればくるほど、それを色気として感じるんじゃないかという気がします」

ゆっくりと考えを巡らしながらぽつりぽつりと語った後に、ふっと笑って「めっちゃムズいですね」とこぼした。では、と質問を変え、浅香さんが色気があると感じる人について尋ねてみる。

「表情とか仕草とか言葉選びとか…そういうものから受ける部分は多い気がします。言葉に余韻のある人とか、いいですよね。それで言うと、現場でご一緒している宇野祥平さんは素敵だなと思います。撮影の合間に結構話すんです。いまやっている作品についてとか、どんなきっかけでこの世界に入ったかとか、これまでにどんな作品を観てきたのかとか。僕が一方的に根掘り葉掘り聞いているんですけれど、言葉の端々に人柄が滲み出ていて、話していていいなと思うんです」

普段からそうやって共演者とコミュニケーションをとるのかと思いきや、「現場であまりしゃべらないタイプ」だとか。「もともと現場でも寡黙にいちゃうほうなんで、いろんな人とコミュニケーションをとれる人を尊敬しています。でもだからこそいまは、興味が湧くタイプの方とご一緒した時には意識的にしゃべろうとしています。宇野さんは、作品について話した時に『難しいね』とおっしゃったんです。ベテランで先輩ですけれど意外と悩まれるんだなと思いましたし、後輩で年下の僕にも俳優同士として、話してくださるところも素敵で。僕、迷いのある人が好きなんですよ。自信を持ってバーンと出ていかれる方もカッコいいとは思うんですけれど、人として惹かれるのはそっち。お芝居も同じで、迷いとか余白があるほうが人間的な気がして」

その言葉に、浅香さんの役作りに対する想いの一端が垣間見えた気がする。

「迷いを感じさせようと思って演じてはいないですが、余白は作っておきたいとは思っています。どんな役でもどんな状況でも、行動するに至るには、悪いことでもいいことでも、その人なりの理由というか正義があるはずで。そこを感じさせられたらなと思っています」

そこまで話し、「…でも正直、あんまり難しいことは考えてないです」と続けた。

「僕の場合、演じている様を先に絵で思い浮かべてしまうことが多いんです。飲み屋で知り合ったあのお兄さんがイメージに合っているなとか、そんなことを考えながらちょっと真似てみたり、そんな感じかもしれないです」

自身もまた「迷いのある人」だそう。

「最近は減ってはきましたけど、やりたい仕事があるとか、オーディションに受からなかったとか、お芝居が思ったようにできなかったとか、多くは仕事のことですね。だから僕は、たくさん仕事をさせてもらうのが合ってるんだと思います。迷ってる暇がないくらい、どんどんやっていくっていう。もちろん1本に集中してじっくり向き合うのは理想ですけど」

迷う、というのは、それだけ思考を巡らせるということでもある。

「確かに人一倍考える癖はありますね。気にしぃだし、人と接するにしてもあれこれと考えてしまいがち。あと、何かにハマったり気になることがあると、全部知るところまでいかないと気が済まないんです。キャンプもだし、釣りもだし。去年のコロナ禍から始めた作曲も、マイクとかスピーカーとか宅録環境まで整えて夜中まで毎日やってましたから(笑)」

人として、俳優として大事にしていることは…「優しさじゃないですか」。

「人を思い遣るとか、相手のことを汲むってことなのかなと思います。現場でいえば、お芝居する相手が表現しようとしているものを受け取ることと、信じて委ねることなのかもしれません」

あさか・こうだい 1992年8月24日生まれ、神奈川県出身。出演ドラマ『リカ~リバース~』(CX系)は現在放送中。ドラマ『君と世界が終わる日に』Season2はHuluで配信中。ジャケット¥66,000 シャツ¥29,000 パンツ¥38,000 リング¥29,000(以上ザ ヴィリディアン/ザ ヴィリディアン TEL:03・5447・2100) 眼鏡¥36,000(アイヴァン/アイヴァンPR TEL:03・6450・5300) その他はスタイリスト私物

From photographer
今回の撮影では、浅香さんに「こうしてください。ああしてください」とあまり具体的に言わなかったんです。それは、ページのテーマと撮影のイメージを伝えてカメラを向けた時に、浅香さんの中から自発的に“表現したい何か”が見えたから。それがすごく面白いなと思ったし、どんなものが出てくるのか見たいと思って、僕は淡々と撮ることに徹するようにしました。それが、彼自身の持つ色気を引き出すような気がして。おそらく場の雰囲気をキャッチする能力に長けた方なんだと思います。とくに感じたのは、床に横たわっていただいたカットですね。そういう撮影に慣れた方だと最初から表情を作り込まれたりされますが、浅香さんは最初は控えめなんだけれど、シャッターを切るうちにどんどん憂いというのか、何とも言えない表情を見せてくる。そっちの“モード”に入っていくスイッチというか集中力が素晴らしかったです。

いわさわ・たかお 1984年生まれ。玉川竜氏に師事し2014年に独立。雑誌グラビアをはじめPARCOなどのファッション系広告、赤い公園ほかのCDジャケットなども手がける。

※『anan』2021年3月31日号より。スタイリスト・根岸 豪 ヘア&メイク・泉脇 崇(ロマリア) 取材、文・望月リサ

(by anan編集部)

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
ヨーロッパの強豪・ドイツ戦が来年の女子W杯に向けた試金石に。なでしこジャパン国際親善試合
ヨーロッパの強豪・ドイツ戦が来年の女子W杯に向けた試金石に。なでしこジャパン国際親善試合
Entertainment
Today's Update
向井理「何百人というお客さんと一緒に、その時にしか味わえないものを作っている感覚です」
向井理「何百人というお客さんと一緒に、その時にしか味わえないものを作っている感覚です」
Entertainment
Today's Update
関取 花「自分を好きになれて新しい音楽が始まりました」
関取 花「自分を好きになれて新しい音楽が始まりました」
Entertainment
Today's Update
山奥の超能力者養成学園で殺人!? 高校生28人のうち犯人は誰なのか。漫画『ウェイバーズ』
山奥の超能力者養成学園で殺人!? 高校生28人のうち犯人は誰なのか。漫画『ウェイバーズ』
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載