末期ガンの母親を持つ兄弟と、望まぬ子供を授かった夫婦の2組を軸に、命や家族のあり方を描いた、演劇ユニット・iakuの舞台『粛々と運針』。昨年初演の今作は、正解のない複雑な題材に、さまざまな視点からリアルに迫りつつ、時に笑いを交えて綴った、出色の舞台だった。
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「これまで僕は、固定した場のみで物語を展開させる戯曲を書いてきたんです。でももし、人間関係や場所、空間を超えて、他人同士の2組が議論を重ねたとしたら…。これまで課してきた枷を外して、いまの自分の筆致でどんなことがやれるのかチャレンジしたのがこの作品。ときどき、書きながらある種の手応えを感じる時があるんですが、これにもまさにそんな感触がありました」

とは、脚本・演出を手がけた横山拓也さん。この傑作を含め、横山さん脚本の過去4作が「iaku演劇作品集」として一気に上演される。

「ユニットの立ち上げ当初からの方針は、戯曲を使い捨てにしないこと。作家として、新作を次々やるより、寡作でも先々にまで残っていく強靭な作品を書いていきたいし、それを繰り返し上演していくことで、多くの人に届けたい。今回の試みが、作品をレパートリー化させていく第一歩になればと思っているんです」

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せっかくなので、横山さんに他の上演作品の紹介をお願いした。

「『梨の礫の梨』は、パートナーの不在や親子の確執など、現実に生きづらさを感じている女性たちの物語です。母娘の会話劇である岸田國士の『葉桜』に触発されて書いた『あたしら葉桜』は、岸田作品と同時上演することで、近代と現代の母娘の関係性や恋愛観、結婚観を照らし合わせながら観ていただけるのではと思います。右腕を欠損した同僚を見舞った後の女性の会話劇『人の気も知らないで』は、女性同士ならではのあるあるが詰まった作品です」

なんと同じ時期に、老舗劇団の俳優座から依頼を受けて書き下ろした『首のないカマキリ』も上演される。

「それぞれテーマは違えど、人と人とが互いの主張を貫き通そうと言い合ううち、正論の裏の本音が見えてくる。ごまかそうと必死になる人間くささを僕はつい観察しちゃうし、そこを面白く描きたいんです」

よこやま・たくや 演劇ソロユニットiaku代表。劇作家、演出家。昨年、文化庁芸術祭賞新人賞を受賞。『首のないカマキリ』は、5月18日より上演。

5月16日(水)~28日(月) こまばアゴラ劇場 一般前売り3000円 一般予約3300円 一般当日3500円(すべて税込み)ほか ライトアイ TEL:080・9759・2383 スケジュール詳細はwww.iaku.jpで。地方公演あり。

『粛々と運針』撮影:堀川高志

※『anan』2018年5月23日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)


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