『逃げるは恥だが役に立つ』などのドラマや、『キセキ―あの日のソビト―』、声優を務めた『君の名は。』など、数多くの話題作に登場して存在感を放つ成田凌さん。まさに“引っ張りだこ状態”の彼が、「どうしても演じたかった」と切望したのが、映画『ニワトリ★スター』の星野楽人(らくと)役。
成田凌

――楽人に強く惹かれたのは、なぜですか?

成田:この役を演じられる人はずるいし、同世代のほかの人が演じていたら嫉妬するなと思ったんです。楽人は粋がっているけど弱い人。人生から逃げ、名前のとおりラクに生きています。でも、人って、誰でもラクなほうへ行こうとするものじゃないですか。それを、とことんまで行ききっていて、こんな自堕落になれるやつはいないと思ったし、そういうところに魅力を感じました。自分から監督に出演したいと言ったので、芝居を見てもらって決まったときは嬉しかったですね。でも、撮影が始まってからは大変だった。かなた(狼)監督が本当に怖いんです。たとえば、「恥ずかしいことって何?」と聞かれて、ないと答えたら「裸になって踊れ」と言われるんですよ。それで、高校生のときに踊ったことのあるAKB48の振りをやってみせたりしました。とあるシーンでは、瞳孔が開いてないからと撮影前に走らされたりもした。今、思い出しただけでもしんどいです。でも、そこまでした甲斐のある役だと思っているし、ずっと大切にしたい作品になりました。映画が公開されたら、監督に「僕でよかったでしょ」って言ってあげたいですね(笑)。

――今回の役もそうですが、欲しいものは自ら取りにいくタイプなのでしょうか。

成田:幼い頃から欲しいものにはすごく貪欲だったんですよ。それもあって、欲しいものは絶対に手に入れたいという性格になりました。でも、そういうふうに、自分が望むものごとに対しては、わがままでいたいと思っています。

――撮影が終わった後も、なかなか役が抜けなかったと聞きました。

成田:演じているというより、楽人を生きさせてもらっているという感覚でいたことが大きいと思います。役を引きずり、自分ではなく彼としての感情を出してしまっていましたね。だから、今は人に会えないと思って、2週間ずっと引きこもってカレーを作って食べていました。撮影の後半からは役作りで飯も食っていなかったので、終わったら何を食べようかということばかり考えていたんですけど、カレーでした。でも、“役を引きずった”というのは、あらためて言葉にすると恥ずかしい。役者としては、言わないほうがいいですね。

成田凌

――もともと、役者になりたいと思っていたのですか?

成田:昔から目立ちたがり屋で、人前に出たいという気持ちは、ずっとあったと思います。子供の頃からコントとかしていましたしね。でも、誰かを楽しませようとか、喜んでほしいと思ってやっていたわけではありません。目立ちたがり屋って、人のことも自分のことも考えず、ただ“目立ちてぇ”ってだけ。その場の快楽のことしか考えてないんです。ただ、今年のお正月に地元に帰って先輩の結婚式に出席したんですけど、目立ちたがり屋しかいなくて、自分は全然だなって思いました。兄貴なんて、式の間ずっと立ってるんですよ。カラオケとかに行っても座らない。家でも目立ちたがりますから。意味わからないですよ。母も少し目立ちたがり屋だし、親父もアフロヘアの時代があったから、血なんだと思います。うちで何かがあっても、周りからは「成田家だからね」で終わるような家族です。

――目立つ方法はいろいろあると思いますが、なぜ役者を?

成田:古着屋でバイトをしていたときにスカウトされたんですが、最初は俳優をやるつもりはありませんでした。マネージャーさんの口車にのせられて(笑)、気がつけば話が進んでいたという感じです。

――それなのに、初めて演技をした作品では主演を務めています。

成田:おかしいな、不思議だなと思っていたし、とにかく必死でした。これで飯を食っていくんだなと、ゆっくりと覚悟をしていったことを覚えています。それからもう4年ですか…。早い! 怖い! 最近、俳優をすることが怖いというモードに入ったんです。仕事をするにつれ、自分のいる世界の怖さみたいなものが見えてきたというか…。以前はそんなことなかったんですけどね。このあいだ、昔『MEN’S NON‐NO』の企画で書き初めをしたページを見たら、「何も恐れない」って書いてましたからね。しかもド派手なオレンジ色のタートルネックを着て笑ってた。でも、今の僕に足りないのはこれだなと思ったんです。

――どういうところに恐怖を感じているのでしょう。

成田:世間が言うことを恐れて、尖ったことが何もできなくなっちゃうことですね。観て、何かわからないけど、食らって帰るというショッキングな体験をする『ニワトリ★スター』のような作品ができなくなってしまうことです。僕はそういう体験を大事にして生きていきたいし、言葉にしたらもったいない感情もあると思っているので。でも、一方で、言葉にして伝えることの大切さも、仕事をするなかで実感しています。

――インタビューは、まさにそうですよね。

成田:本当に、うまく言葉にすることができないんですよ。そういうときに、役者に向いてないなと思います。だから、『ニワトリ★スター』の取材で(井浦)新さんと一緒だったときは楽でしたね。「そう!」って頷くことばかりでしたから。ずっと、「そう、そうそうそう!」って言って生きていければいいなって思いましたね。

――ほかにも役者に向いてないと思うことはあるのでしょうか。

成田:映画でもドラマでも、一作品に一日だけ頭が真っ白になって、セリフが出てこない日があるんです。本当に不思議なんですが、必ずやってくる。その真っ白な一日には「もうダメだ」って思いますね。でも、前のように作品を撮り終わったら熱が出るということはなくなりました。僕、弱いんです。すぐに心をやられて体に出ちゃう。お腹もすぐにくだす。このあいだ、新しいマネージャーさんがついたんですが、何よりも先に、「お腹が弱いから、牛乳買ってと言われても買っちゃダメだよ」ってチーフのマネージャーさんから引き継ぎがされていましたから(笑)。しんどいし、なんで俳優をしているかはわからないけど、楽しいんです。幸福なんでしょうね。最近、兄貴が仕事を変えてカッコよくなったんです。ほかの人もそう言っていて、本人も「朝、ちゃんと起きられるようになった」と言っていて、いいなと思った。でも、同時に、僕も仕事が楽しいなと気づいたんです。

――追い込まれることが好きなのですか?

成田:嫌いです。でも、大変なほうが「頑張っていて自分エラいぞ!」って思えるじゃないですか。逆に、現場がすごく楽だったり、撮影がスムーズに進んでいくと不安になります。幸せが続くと「どうしよう」ってなるというか…。俳優は、たくさんのセリフを覚えるという宿題を毎日、死ぬまでやっていく。それは大変な作業だけど、だからこそ、いい作品が完成したときには嬉しいわけです。きっと、学校での小テストのために一生懸命に勉強をして100点を取る人って、こういう感覚なんでしょうね。

なりた・りょう 1993年11月22日生まれ。埼玉県出身。2013年より『MEN’S NON‐NO』(集英社)の専属モデルとして活動中。’14年にフジテレビNEXTのオリジナルドラマ『FLASHBACK』で俳優デビューを果たし、以後、数々の映画やドラマ、CMに出演。現在は、NHK連続テレビ小説『わろてんか』で北村隼也役を務めている。

カーディガン¥17,000(メティキュラスニットウェア) パンツ¥21,000(ニードルズ)共にネペンテス TEL:03・3400・7227 Tシャツ¥25,000(リデウ) シューズ¥74,000(カレッジ)共にアメリカンラグ シー新宿フラッグス店 TEL:03・5366・5425

かなた狼監督が手がけるバイオレンスファンタジー映画『ニワトリ★スター』では、秘密裏に大麻を販売している雨屋草太(井浦新)とともに、自堕落な生活を送る楽人を演じる成田さん。裏社会と関わったことをきっかけに不穏な空気が漂い始める、二人の運命の結末とは…? 3月17日全国順次公開。http://niwatoristar.com/

※『anan』2018年2月28日号より。写真・笠井爾示(MILD) スタイリスト・伊藤省吾(sitor) ヘア&メイク・宮本 愛 インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)


#仕事記事をもっと読む。
#タレント記事をさらにチェック!
※【参加者全員HAPPY♡】ポッキーまみれの「幸せ結婚式」を覗き見!

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

Today's Update
山田孝之が『THE OPEN CALL』で才能を見出し、応援する中で問う「俳優とは何か?」
山田孝之が『THE OPEN CALL』で才能を見出し、応援する中で問う「俳優とは何か?」
Entertainment
Today's Update
いるだけで力が湧く! 愛される着ぐるみが生まれる場所
いるだけで力が湧く! 愛される着ぐるみが生まれる場所
Entertainment
Today's Update
“キンブレ”を生んだ会社に潜入! 現場に欠かせない、ペンライト開発の最前線
“キンブレ”を生んだ会社に潜入! 現場に欠かせない、ペンライト開発の最前線
Entertainment
『THE OPEN CALL』プロデューサー・伊藤主税が見た、現場の熱量と原石の輝き
『THE OPEN CALL』プロデューサー・伊藤主税が見た、現場の熱量と原石の輝き
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載