
(左から)川口春奈さん、高杉真宙さん
10月に公開を控えた映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』から、キャストの川口春奈さんと高杉真宙さんが登場! 実在の夫婦を演じたお二人は、どのような想いで役と向き合ったのか。
『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』
What’s?

メディアの境界を超えて広がる、“愛の実話”
21歳でがんを宣告され、24歳という若さでこの世を去った遠藤和のどかさん。病と向き合いながらも家族への愛や未来への希望を胸に生きた彼女の姿は、テレビ番組『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)でも取り上げられ、多くの人の心に届いた。闘病中に綴った日記は書籍化され、さらに今秋、川口春奈さん主演で映画化。テレビ、書籍、映画へと形を変えながら広がった本作は、和さんの言葉と生き方がメディアの境界を超えて多くの人の心に残り続ける物語だ。
遠藤和『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』(小学館)
原作はこちら

まっすぐに生きた女性と共に歩んだ家族の記録
原作は、遠藤和さんが亡くなる10日前まで、我が子と夫へ向けて綴った手記。2026年6月刊行の文庫版には、単行本の内容に加え、夫・将一さんが記した娘との「その後の5年間」も収録。
── テレビ番組や書籍を通して多くの人に知られてきた、遠藤和さんと、その夫・将一さん。実在するご夫婦を演じることに、どんな想いで向き合いましたか。
川口春奈(以下、川口) 以前テレビでお二人を拝見した時、「こんな家族がいるんだ」と驚いたのを覚えています。若くしてステージⅣの大腸がんを患いながらも、和さんが明るく前向きにお話しされている姿がとても心に残っていて。映画化のお話をいただき原作を読んだ時は、自分が演じる姿をすぐには想像できませんでした。でも、山戸(結希)監督の“今この作品を届ける意味”に共鳴して、お受けしたいと思ったんです。実話だからこそ、形として残す責任の重さも強く感じました。
高杉真宙(以下、高杉) 僕は今回、初めて和さんと将一さんのことを知りました。原作となる日記や映像に触れて強く感じたのは、お二人の生きる強さです。その想いが本となり、映画となって多くの人へ届き、またご家族にも返っていく。そんな作品に参加する以上、自分も覚悟を持って向き合わなければいけないと思いました。
── 実在の人物だからこそ、演じる難しさもありましたか。
川口 そうですね。ただ、原作や資料だけでなく、和さんのご家族にお会いできたことは大きかったです。撮影現場にも来てくださって、その存在を身近に感じながら演じることができました。
高杉 現場ではご挨拶くらいしかできませんでしたが、成長した娘さんの姿を見て、「時間はちゃんと流れているんだ」と実感したんです。僕たちが演じている時間の先に、ご家族の「今」がある。その現実に触れたことが、この作品に向き合う力になりました。
── お二人は今回が初共演。夫婦を演じるにあたり、どのように信頼関係を築いていったのですか。
高杉 クランクイン前は本読みをしたくらいでした。でも最初の撮影が二人の出会いのシーンだったので、役と同じように少しずつ距離を縮められた気がします。
川口 高杉さんは本当に穏やかで、誰に対しても壁を作らない方。思ったことを何でも話せる雰囲気を自然に作ってくださったので、すごく助けられました。
高杉 川口さんも、お会いする前と後で印象は変わらなかったですが、ご一緒して改めて感じたのは、スタッフへの気遣いや作品に向き合う熱量。そういう芯の強さや愛情深さは、和さんにも重なる部分があると感じました。
── 病と向き合う夫婦を演じるなかで、様々な葛藤があったかと思います。お二人にとって、特に心が揺れた瞬間は?
川口 病気と向き合う恐怖のなかでも、子どもを産むという選択をされた和さん。その決断は、私には想像を超えるものに感じられました。大切な人を残していく苦しさと、それでも命をつなごうとする愛情。その両方を抱えながら過ごしていたんだろうなと、演じながら何度も考えました。
高杉 娘が生まれて3人で過ごす時間は、本当に幸せなんです。でも一方で、体調が変化していく不安も少しずつ積み重なっていく。そのあまりの振れ幅の大きさに、戸惑う瞬間もありました。ただ、和さんが「産む」と決めたからこそ生まれた、3人の時間がある。その尊さも感じながら演じていました。
── 劇中では、和さんを支えるご家族の姿も印象的でした。現場ではどんな空気だったのでしょうか。
川口 皆さん本当に穏やかで、温かい現場でした。私はどうしても周りに心配をかけてしまう役柄だったので、いつも「大丈夫?」と声をかけていただいて。その優しさに何度も救われました。
高杉 家族で過ごすシーンはどれも印象に残っています。自然とみんなが集まって、会話が生まれていくような空気があって。本当にこの家族の一員になれたような感覚がありました。
── テレビ、書籍、そして映画へ。この実話がメディアを超えて多くの人の心を動かしてきた理由は何だと思いますか?
川口 私は、やっぱり和さんと将一さんの覚悟だと思います。テレビに出ることも、本を書くことも、自分の想いを残すことも、決して簡単なことではなかったはず。葛藤や恐怖を抱えながらも、それでも前に進み続けた強さが、たくさんの人の心に届いているんだと思います。
高杉 僕は、その強さに加えて素直さだと感じました。和さんの日記を読んで驚いたのは、どんな感情も包み隠さず書かれていたことです。自分の状況や本音を発信するのは、すごく勇気のいることだと思うんです。でも、取り繕わずに向き合った言葉だからこそ、多くの方に勇気を与えたり、共感を生んでいるのかなと思います。
── “人の心を動かす”という意味では、俳優という仕事も時代や世代を超えて誰かの記憶に残るものだと思います。最後に、お二人自身は俳優として、どんな存在でありたいですか?
川口 作品を通して何かを受け取っていただいたり、誰かの人生に少しでも影響を与えられる。そういう力と責任のある仕事だと思っています。自分が表現したことで、一人でも前向きな気持ちになってくれる方がいたら、それが一番うれしいですね。「こう見られたい」という思いよりも、届けたものが誰かの背中を押せた時に、この仕事をやっていてよかったと思える気がします。
高杉 川口さんの言葉にすごく共感します。僕自身というよりは、僕をきっかけに作品を観ていただけることが特別なことだと思っていて。限られた時間のなかで作品を選んでくださるからこそ、その時間が少しでも豊かなものになればうれしいです。笑顔になってもらうことでも、何かを感じてもらうことでもいい。その作品が誰かの記憶に残るものになれば、それ以上に幸せなことはありません。
Profile
川口春奈
かわぐち・はるな 1995年2月10日生まれ、長崎県出身。2007年にモデルとしてデビュー後、俳優として数々の映画やドラマで幅広く活躍。NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の帰蝶役や、ドラマ『silent』の主演も話題に。
高杉真宙
たかすぎ・まひろ 1996年7月4日生まれ、福岡県出身。主な出演作に映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』など。2027年公開予定の映画『カイジ 人生リベンジゲーム』に出演。
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映画『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』
青森で暮らす和(川口春奈)は、恋人の将一(高杉真宙)と穏やかな日々を過ごしていた。そんなある日、彼女に告げられたのは、“ステージⅣの大腸がん”。限られた時間のなかで「子どもが欲しい」と願う和が選んだ未来とは──。実話をもとに、家族の愛と命の尊さを描く。監督は映画『溺れるナイフ』の山戸結希。10月2日全国公開。
高杉さん・ジャケット ¥22,000 パンツ ¥20,900(共にリーバイスⓇ/リーバイ・ストラウス ジャパン TEL. 0120-099-501) シャツ ¥31,900(ザ ライブラリー/ザ ライブラリー 表参道店 TEL. 03-3470-2151) その他はスタイリスト私物
写真・山根悠太郎(TRON) スタイリスト・緒方なぎさ(サブレットプラージュ/川口さん) 菊池陽之介(高杉さん) ヘア&メイク・高村三花子(川口さん) 堤紗也香(高杉さん) 取材、文・瀬尾麻美
anan 2512号(2026年9月16日発売)より
































