不動産会社の女性経営者が教える! 引っ越し前に知っておきたい「退去時TO DOリスト&節約ワザ」

文・市岡彩香 — 2024.3.9 — Page 1/2
賃貸物件を退去する際、何か見落としたことはないか不安になったことはありませんか? 今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 平出雅美さんに、引っ越し前に知っておきたい「退去時にすることリスト&お金が返ってくるコツ」を教えてもらいました。プロの本音を、賢く新生活を始めるためのヒントにしてください!

不動産会社の女性経営者が教える! 引っ越し前に知っておきたい「退去時TO DOリスト&節約ワザ」

賃貸 物件 引っ越し NG行動

【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.47

――今住んでいる賃貸物件を退去したい際に、すべきことを教えてください!

【1】退去日の連絡

平出さん まず退去したいと思ったら、賃貸借契約書に記載されている解約予告期間の確認をして、退去日を決めて、管理会社へ伝えましょう。”解約予告期間”というのは、退去を何日前までに伝えなければいけないという決められた期間のことです。基本的に賃貸物件に住んでいる場合、管理会社への退去連絡は退去日から1か月前までに連絡をする必要がありますが、物件によっては3か月前までに連絡が必要な場合もあります。1年未満など短期間で解約する場合は、違約金がかかる物件もあるので契約時に必ず確認をするようにしてください。

【2】火災保険の解約

平出さん 火災保険は、賃貸契約の解約と同時に自動で解約されるものではなく、ご自身で手続きをする必要があります。管理会社に退去連絡をすると火災保険の解約の案内がありますので、忘れずに解約するようにしましょう。引き払う日まで何が起こるかわからないため、実際の引っ越し日ではなく解約日までは火災保険契約を継続しておきましょう。

【3】電気、ガス、水道の契約会社に引っ越し先を伝える

平出さん 電気、ガス、水道のライフラインに関しては、解約を検討していない人以外は、解約の連絡はせず引っ越し先を伝える手続きをしましょう。ガスは使用開始の開栓時に立ち合いが必要なため、引っ越す旨を1週間位前には連絡した方がいいです。電気、水道は基本的には立ち合い不要ですがオートロック物件の場合、作業に立ち合いが必要なケースもあります。

【4】インターネット回線の解約

平出さん 解約をし忘れてしまい、引っ越し先のインターネット回線と二重に支払いをしてしまっていたという人もいます。ご自身でインターネット回線を申し込んでいて解約をする場合、契約内容によっては違約金がかかることがありますので解約時期についても注意が必要です。

【5】転出届の提出

平出さん 住民票を移動する場合、引っ越し(転出)の14日前~当日までに転出届を提出、引っ越し後14日以内に転入届の提出が必要です。2023年6月からマイナポータルを使用してオンラインで転出届の提出も可能になりました。役所へ行かなくていいので時間を短縮できて便利です。自治体により提出期限は異なりますが、一般的には引っ越し1か月前頃から提出可能です。

【6】郵便物の転送届

平出さん 転送届を出すと1年間、以前の住所宛に届いた郵便物が無料で新居へ届きます。郵送ではなくインターネットで行う場合でも手続きに3〜7日程度かかるため、引越しする日が決まったら、早めに、できれば引越し前に転送届を出しておくといいです。

――今住んでいる物件を退去する際に節約できることや、お金が返ってくるコツがあれば教えてください!

平出さん 退去時には、原状回復費用といって入居時と同じ状態に戻すための修繕費がかかってしまうんです。壁紙の日焼けなど、通常の使用で起きる修繕費は大家さんの負担ですが、水をこぼしてそのままにしてカビてしまったといった自分の不注意でできてしまった傷や汚れに関しては、修繕費は自己負担しなければなりません。そのため契約時に支払った”敷金”は、キレイに使っていれば使うほど返ってくる金額は多くなります。また、引っ越し会社の見積りは早めに探した方がお得な場合も。シーズンによっては早割りなどのサービスを設けている会社も多いですし、プランによっては荷物を減らすことで引っ越し料金が安くなるので、引っ越しを機に不要なものは粗大ゴミに出して荷物を減らすのも手です。

――退去時にしないほうがいいこと、気をつけたほうがいいことがあれば教えてください!

平出さん 退去の際、管理会社やオーナーなどの立ち会いの下、室内の傷や汚れ状況を確認します。この立ち会いのときに、修繕費用がすぐに確定され、サインを求められる場合は注意しましょう。本来、居住年数に合わせて負担割合を計算したり、見積もりが必要なため、新築でない限り費用が確定するまでに時間がかかります。そのため、すぐにはサインをせず、いったん持ち返り、メールや書面でやり取りをすることをおすすめします。もし、納得できない費用を請求されたら、理由や見積もりなどを管理会社に問い合わせしてください。東京都であれば、東京都紛争防止条例という修繕費用や退去時費用について取り決めをしたガイドラインがあります。こちらは契約時に渡される書類ですので、おかしいなという費用があれば本当に支払う必要があるものなのかを確認しましょう。この書類や入居時に傷などをチェックした書類や写真を準備しておくと比較できるため無駄なやりとりも省けます。

――平出さんやお客さんの、退去時に失敗したことなどのエピソードがあれば教えてください。

平出さん 退去費用トラブルは多いです。立ち会いの際の担当者が恐かったからそのままサインしてしまった…、というお客様もいます。退去に限らずですが、特にひとり暮らしの女性に対して、高圧的にサインを求める会社は少なくなくありません。友人でもいいので男性を連れて行くと、強要される確率は下がります。また、”敷金0円”の物件は契約時には魅力的に見えますが、退去時にかかる費用は入居者の実費負担になり、退去時費用が平均より高くなる場合もあるため要注意。退去時のトラブルを避けるためには、あらかじめ契約時に退去時にかかる費用をしっかり確認しておいた方がいいです。


楽しいひとり暮らしを始めるために知っておこう

いかがでしたか。女性のひとり暮らしは、慎重に丁寧に。引っ越しを検討している人は、今回のポイントをぜひ参考にしてみてください。


教えてくれた人
株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 平出雅美さん

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宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。
東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい! 電子書籍「宅建の教科書」がKindleにて好評発売中。


東京女性不動産HP


文・市岡彩香
anan web、anan Beauty+を中心に執筆するフリーライター。これまでに取材した人数はタレントや経営者を含め500名以上。インタビューライター、フードライターとして活動中。


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