「いつも」「みんな」はパワハラ?【ビジネスマナー】使ってはいけないNGワード

文・能美黎子 — 2024.2.17 — Page 1/2
社会的な問題として何かと注目を集めている「パワハラ」問題。仕事をする上で上司が部下を指導する場面は多々あるかと思いますが、どのような言葉がパワハラに当たるのでしょうか。何気なく無意識に発している言葉が、実は相手を傷つけてしまっている可能性があります。そこで今回は、パワハラになる可能性のあるNGワードについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい、能美黎子さんが紹介します。

パワハラになるNGワード

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 24


社会的な問題として何かと注目を集めている「パワハラ」などのハラスメント問題。特に、上司が部下を指導する中で「パワハラに当たるのかどうか」と悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。上司は自らの職位に応じて業務上の指揮や指導教育を行う立場ですが、上司の指導とパワハラとの線引きは受け手により感じ方が異なるため、難しい問題の一つとも言えるでしょう。そこで今回は、パワハラになる可能性のあるNGワードについてご紹介をします。意図せずしてパワハラの加害者とならないように、今一度確認をしてみてくださいね。


パワハラになるNGワード5選

NG1. 「この仕事向いてないんじゃない?」

相手の能力や努力を否定するような発言は、相手のやる気を下げるどころか自尊心を傷つけてしまい、パワハラと受け取られてしまいます。部下を指導する時は、一方的に自分の言いたいことを言うだけでは意味がありません。責めるのではなく、どうしたらできるようになるのかを具体的に指導することが大切です。

NG2. 「前にも言ったよね」

アドバイスをしているつもりでも、相手からすると威圧感や見下されていると捉えられかねません。また別の疑問点が出た場合に、前に言っていたか不安になり聞きづらくなります。同じミスをするようであれば、教え方を変えてみるなど自分の伝え方を今一度見直してみましょう。

NG3. 「これだから、最近の若い者は」

年齢や世代など、どうにもならないことを理由に否定するのはNGです。「ゆとり世代」など世代で括ってしまうのもいけません。偏見にとらわれず適切に評価するようにしましょう。

NG4. 「言われたことだけやればいいから」

自分の存在意義や何のために仕事をしているのかわからなくなる可能性があり、不満につながりやすくなります。指示通りの簡単な作業だけを依頼することも自主性を奪ってしまうためNGです。その仕事をやる意味や感謝の気持ちなどを伝えることで、相手の存在意義があることを示すことが大切です。

NG5. 「言ってる意味分かってる?」

相手を怖がらせ、脅迫するような言葉はパワハラに当たります。言われた側が萎縮したり、憤りを感じてしまったりする可能性のある発言はやめましょう。確認する場合には、「もし分からないことがあれば、些細なことでも聞いてね」など、やわらかい言い回しにしましょう。


注意したい口癖言葉5選

パワハラのNGワードの引き金になりかねない、気をつけたい口癖言葉についてご紹介をします。つい言ってしまいがちな言葉のため、今一度確認をしてみましょう。

1. 「いつも」

「いつも」という言葉は、具体的にいつを指しているのか曖昧なため避けた方がよい言葉です。実際には2、3回程度の場合でも「いつも」と発言してしまうのは部下から反感を買う可能性があるため控えましょう。

2. 「絶対」

「絶対に」と断言してしまう言葉は避けましょう。絶対と言い切れる可能性がある根拠があるのであれば言ってもいいかもしれませんが、1%でも違う可能性があるのであれば控えた方がよい言葉です。

3. 「何もできない」

「何も」という言葉は全てを指します。現在や未来において全てできないと捉えられてしまう可能性があるため、「今できなくても、未来はできる可能性が残されている」と思い、否定ではなく肯定の言葉を話しかけましょう。

4. 「普通するよね」

価値観は人それぞれのため、何が普通か抽象的な言葉となってしまいます。また、見下しているような言葉になるため控えましょう。偏見や先入観を排除して、冷静に現実を見つめる視点を養うことが大切です。

5. 「みんな」

その時の「みんな」は、誰のことを指しているのでしょうか?「みんなって誰」と部下の反感を買うことにつながりかねないためやめましょう。また、他人と比べる発言は否定されていると感じ、部下のやる気を損ねてしまう可能性があるため気をつけましょう。


おわりに

無意識に言ってしまった言葉が、相手を深く傷つけてしまうことがあります。指導は感情的にならず、具体的にどうしたらいいかを伝えるようにしましょう。何がパワハラに当たるのか、日頃の言動に問題がないかを今一度確認をしてみましょう。自分の発する言葉に責任をもち、お互いに尊重しあえる関係の構築を心がけることが大切です。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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