「すみません」は使いません!【ビジネスマナー】名刺交換のマナーとお詫びの言葉遣い
名刺交換のマナー
ビジネスの基本でもある名刺交換のマナー。コロナ禍も落ち着き、ビジネスシーンでもオンライン商談から対面で話すオフラインの機会が増えたのではないでしょうか? 名刺交換は、初対面の人と交わす最初のあいさつとなります。名刺の扱い方次第では、第一印象を左右させてしまうこともある大事な場です。些細なひとつひとつの所作が相手に好印象を与えるきっかけにもなりますので、今回は正しい名刺交換の基本的なマナーやその際に相手に好印象を与える会話について解説します。品のある所作を身につけて、相手とのコミュニケーションを楽しんでみてくださいね。
名刺の基本的な手順
名刺の準備
相手をお待たせしてしまっては心象が良くないため、名刺交換がスムーズに行えるよう事前準備を行いましょう。
1. 名刺入れを取りやすい場所に準備する
2. 名刺入れからすぐに取り出せるようにする
3. 折れやシワのある汚れた名刺がないか事前確認をしておく
鞄や胸のポケットなど出し入れしやすい場所に準備をしておきます。相手とすぐに名刺交換ができるよう名刺入れを手元に用意しておき、相手の姿が見えたタイミングですぐに取り出せるようにしておくと良いでしょう。折れやシワのある汚れた名刺を使うのは絶対にNGのため、確認を事前にしておきましょう。
名刺の差し出し方
差し出す際の注意点は3つです。
1. 立って行う
2. 机の上では行わない
3. 差し出す向きと高さに注意
名刺交換をする際は、必ず立って行います。また机を挟んだ会議室の場合でも、机の横に移動してから相手の正面に立ち、交換をするのがマナーです。もし、会議室が狭く横に立てない場合には、「机の上から失礼いたします」とひと言添えてから行いましょう。名刺を差し出すときは、両手で差し出すのがマナーです。高さは胸の位置で、相手に文字が読めるよう正面を向けて、自分の社名と氏名を名乗りながら差し出します。軽くお辞儀をすることも忘れないようにしましょう。相手が目上のかたの場合には、相手が差し出した名刺の高さよりも少し低い位置で差し出すことで、敬意を表現することができますので意識して行いましょう。複数人の場合には、役職が目上のかたから順番に交換をします。
名刺の受け取り方
受け取る際の注意点は3つです。
1. 両手で受け取るのが基本。同時交換の場合には、自分の名刺を右手で渡し、左手で受け取る。
2. ロゴや氏名に指がかからないようにする。
3. 役職や名前の呼び方を確認する。
名刺を受け取るときは、渡すときと同様に両手で受け取るのがマナーです。必ず「頂戴いたします」とひと言添えましょう。受け取った後は、すぐに右手を添え胸の高さの位置でキープをします。その際に、先方の役職や、名前の読み方などを確認しましょう。
名刺交換後の扱い方
名刺交換後、名刺入れにすぐにしまうのはNGです。その後の扱い方についてマナーがありますので注意しましょう。
1. テーブルに置く場合は、自分の左上側に置く
2. 複数の名刺を重ねて置くのはNG
3. 名刺の並べ方に注意(以下詳細)
商談などの場合には、テーブルに置くのが基本的なマナーとなります。ひとりと名刺交換をした場合は、自分の席の左上側に名刺入れを座布団の役割として置き、その上に名刺を載せます。複数人と名刺交換をした場合は、最も役職の高い方の名刺を名刺入れの上に置き、役職の高い順にテーブルの上に一列に横に並べるのが一般的となります。役職の判断が付かない場合には、相手が座っている座席順に横に並べます。その場合、名刺入れは列の一番右下に置きましょう。注意点としては、名刺入れの上に重ねて置かないように気をつけましょう。人数が多い場合には、全ての名刺をテーブルの上に並べて置いても良いとされていますが、資料を机上に広げなければいけず名刺の上に重なりそうな時は、「汚してしまうといけないのでしまわせていただきます」とひと言添えて、名刺入れにしまいましょう。名刺をしまうタイミングは、その場の雰囲気によって判断しますが基本的に商談後となります。
知っておくと便利! 名刺交換の時の会話術©perisuta/Adobe Stock
※ 文・能美黎子
※ 2023年10月9日 配信
謝罪時の言葉遣い
細心の注意を払っていても、誰にでもミスをしてしまうことはありますよね。プライベートでもビジネスでも、「謝罪」をしなければならない場面に出くわすことは多々あるのではないでしょうか。ときには、謝罪の言葉を伝えてもなかなか相手に伝わらない…ということもあると思います。今回は、場面に合わせた「謝罪の言葉」の言い換えについてご紹介します。謝罪の場面にこそ、その人の品性が現れると筆者は思っています。フレーズを覚えておき、相手との良好な関係作りに役立ててくださいね。
謝罪レベル 軽度
業務に“影響の少ないミス”を起こしてしまった場合や、軽い内容の謝罪、同僚や友人など近しい人に向けて使うのに適した言葉です。謝罪相手との関係性にもよりますが、顧客や取引先、目上の相手の場合にはやや軽すぎる印象になるため、どちらかといえば社内向けの謝罪言葉として覚えておきましょう。起こしてしまったミスに対して、あまり大げさな言葉を使ってしまうと、かえって仰々しすぎる印象を与えてしまうこともあるので注意が必要です。
「申し訳ございません」
わざわざお越しいただきましたのに、ご要望にお応えできず申し訳ございません。
「失礼いたしました」
質問が重複してしまい失礼いたしました。
「お詫び申し上げます」
本来なら直接お伺いするところですが、まずは書面にてお詫び申し上げます。
「以後、気をつけます」
ご指摘いただきました点、理解しました。以後気をつけます。
「二度といたしません」
同じ過ちは、二度といたしません。
謝罪レベル 中度
中度は、取引先とのトラブルや社内での“大きなミス”といった業務影響がある不手際や過失を起こしてしまった場面を想定した言葉です。軽度よりも丁寧な謝罪となり、社内だけでなく社外へのお詫びをしなくてはならない場合にも使える表現です。
「大変申し訳ございません」
この度はご迷惑をおかけして、大変申し訳ございません。
「誠に申し訳ございません」
この度は弊社の不手際で多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
「心よりお詫び申し上げます」
取り返しのつかない事態を招いてしまい、心よりお詫び申し上げます。
「お詫びの言葉もございません」
先だってはご無礼の段、お詫びの言葉もございません。
「謹んでお詫び申し上げます」
不適切な表現で誤解を与えることとなりましたことを、謹んでお詫び申し上げます。
謝罪レベル 重度
重度は、業務影響が非常に大きい“重大なミス”を起こしてしまった場合や深い謝罪の気持ちや反省を表す必要がある場合を想定した言葉です。非常にシビアな場面が想定されるため、ただ下記の言い回しを覚えて使うだけではなく言葉の選択や言い回しにも配慮と心のこもった対応が必要となりますので覚えておきましょう。
「弁解の余地もございません」
今回のミスは当方の情報伝達不足によるもので、弁解の余地もございません。
「不徳の致すところでございます」
今回のミスは弊社の不徳の致すところだと認識しています。今後は信頼回復に努める所存です。
「陳謝いたします」
このたびの不始末につき衷心より陳謝いたします。
「猛省しております」
猛省いたしますとともに、今後は改善できるように努めてまいります。
「慙愧(ざんき)の至りでございます」
私としたことがあのような不祥事を引き起こし、慙愧(ざんき)の至りでございます。
知っておきたい! 謝罪の時につかえるワンフレーズ
<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。
©たかなが/Adobe Stock
※ 文・能美黎子
※ 2023年10月9日 配信
正しいマナーを使えると仕事ができる印象に!
名刺交換と謝罪はビジネスにおいて、相手からみた自分の印象を大きく左右する重要な場面です。誠意をもって、かつ正しいマナーで接し、お仕事をスムーズに進めたいですね。