「ご冥福」はNGワード? 【お葬式マナー】使ってはいけない「お悔やみの言葉」とは

文・能美黎子 — 2024.1.27 — Page 1/2
突然の訃報の連絡を受けた場合に遺族に述べる「お悔やみの言葉」。皆さんはどんな言葉を選びますか? 実は、遺族に言ってはいけない忌み言葉があるそうですがご存じでしょうか。今回は、どんな言葉がNGになるのか、お葬式のお悔やみの言葉のマナーについて、秘書歴約15年でマナーに詳しい能美黎子さんが紹介します。

お葬式のマナー お悔やみの言葉編

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【元社長秘書のマナー講座】vol. 21


突然の訃報を受けた場合に、まずご遺族に対してお悔やみの言葉を述べるかと思います。その際に、どのような言葉をかけたらよいか悩むかたも多いのではないでしょうか。励ましたり元気づけたりしようと思って伝えた言葉が、相手を傷つけてしまうことだけは避けたいものです。実は、当たり前に聞いている言葉がマナー違反だったという場合もあります。そこで今回は、職場の同僚や上司の家族が亡くなった際のお悔やみの言葉のマナーについてご紹介します。万が一のときに備えて、どのようにご遺族に対して声がけをしたらよいかを確認しておきましょう。


お悔やみの言葉は簡潔に伝える

「何と声がけしよう」と考えてしまうかもしれませんが、お悔やみの言葉は簡潔に心を込めて述べることが大切です。気の利いた言葉をかけようと気負う必要も、多くの言葉を尽くす必要もありません。

1. 口語で伝えるお悔やみの言葉 「ご愁傷様です」

「ご愁傷様です」という言葉には、「あなたの悲しい気持ちがよく分かります」といった意味が込められています。言葉で悩んだ場合は「このたびはご愁傷様です」と伝えるだけで気持ちが伝わります。お悔やみの言葉と一緒に「何かお手伝いできることがあれば、お申し付けください」といった言葉を付け加えることも可能です。また、通夜や告別式の場では、遺族に近寄ってお悔やみを述べるのは控え、黙礼や目礼にとどめることもおすすめです。


2. 弔電やメールでも使えるお悔やみの言葉 「お悔やみ申し上げます」

「お悔やみ申し上げます」という言葉には、「亡くなってしまったことを残念に思う」といった意味が込められています。訃報を受け取ったときや弔電、メールなどの文章でも使えます。また、「ご愁傷様です」などと組み合わせるといいでしょう。故人に対する思いや、遺族への配慮の気持ちを言葉にして伝えてください。

例文)
「この度はご愁傷様です。心よりお悔やみ申し上げます」
「突然のことで驚いています。謹んでお悔やみ申し上げます」


3. 「ご冥福をお祈りいたします」は要注意

「ご冥福をお祈りいたします」は、遺族が不快になる場合があるため注意が必要な言葉です。この言葉は遺族に使うのではなく、故人に使う言葉とされています。亡くなった人の死後の幸せを祈る気持ちを表し、故人が冥土に旅立ってから、幸福な場所へ行き着くように願う思いを伝えたいときに適しています。「故人様のご冥福をお祈りいたします」や「心より〇〇様のご冥福をお祈りいたします」と、故人に心を寄せながら遺族に声をかけましょう。

宗派によって使えない場合もある
浄土真宗やキリスト教の場合は、「ご冥福をお祈りいたします」という言葉を使わないため覚えておきましょう。「冥福」という概念のない宗教・宗派もあるため、不明な場合は使わずにできるだけ他の言葉を使うとよいでしょう。


NGマナー 遺族に言ってはいけない忌み言葉

NG1. 「大往生(だいおうじょう)」

大往生は、長生きをした故人様に対してよく使われる言葉ですが、ご遺族以外が使うのはマナー違反です。遺族や身内が「故人が寿命を全うできて幸せだった」と感謝の意味を込めて使う言葉ですので気をつけましょう。お悔やみの気持ちを込めて使ったとしても、ご遺族が「亡くなっても問題のない年齢だった」「長生きしたのだから十分だ」と誤解を与えてしまう可能性がありますので控えましょう。

NG2. 重ね言葉

不幸が続くことを連想させる言葉もマナー違反です。「重ね重ね」や「くれぐれも」「再び」といった重ね言葉は、不幸がもう一度重なるという意味にも取れるため使わないように注意しましょう。


おわりに

忌み言葉や、死因を聞くことはタブーとされています。故人様の生涯を称えようと、お悔やみの言葉として「大往生」を用いる方はいらっしゃいますが、必ずしも良い意味で捉えられるとは限らないので、基本的にはご遺族以外が口にするのは避けるべきでしょう。寿命を全うしたか否かは、故人を失った遺族にしかわかりません。ご遺族の気持ちに寄り添ったお悔やみの言葉を伝えることが大切です。

<筆者情報>
ライター:能美黎子
大学卒業後、新卒にて最大手保険会社にて約7年秘書の経験を経て、ITコンサル企業の社長秘書に転職。その後、数社の社長秘書を経験し秘書歴約15年となる。秘書検定準1級を取得。
今までの経験を活かし、接遇や礼儀作法、マナーなど“品格”を大事にした執筆作業を行なっている。


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