不動産会社の女性経営者が教える! 知っておけば防げる「隣人、大家さんとのトラブル」

文・武市彩花 — 2023.4.29 — Page 1/2
初めてのひとり暮らし、トラブルには絶対に巻き込まれたくないですよね。今回は、女性に特化した不動産会社を経営する 山手雅美さんに、働く女性がひとり暮らしをして経験した"隣人や大家さんとのトラブル"、また、それについての"事前にできる対策"についても教えてもらいました。参考になること間違いなしです!

不動産会社の女性経営者が教える! プロが見た「隣人、大家さんとのトラブル」

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【女性が知っておくべき「賃貸物件」基本のき】vol.11

※主に東京都内、近郊のワンルーム賃貸物件が対象です。


――賃貸物件に住む際、どんなトラブルが多いのでしょうか?

山手さん 一番多いのは、夜中の生活音やペットの吠える声などの騒音トラブル。自分の部屋の音がどのくらい響いているかはわかりづらいもの。そのため自覚がないことが多く、トラブルに発展しやすいです。騒音は、大家さんや管理会社に苦情を伝えても改善されることは少ないのが現状。例えば、赤ちゃんの泣き声はなかなかコントロールできるものではないですよね。大家さんが解決したくても、どうすることもできないことがほとんどなんです。

――他にも実際におこったよくあるトラブルについて教えてもらえますか?

よくあるトラブル1. 「ゴミ出し問題」

山手さん マンションですと専用のゴミ置き場があり、いつでもゴミを出せるところが多いので、決められたルールを守らず捨ててしまい住人同士でトラブルになったり、生ゴミの処理の仕方が甘く、虫やカラスなどが来て問題になってしまったケースがあります。住人の誰がゴミを出したかわからないため、苦情は管理会社に行くことが多いのですが、大家さんがいる場合は頻繁にゴミ置き場を見ているので、この人が出しているなってだいたいわかるんですよね。それで直接注意すると、自分はやっていないと反論されてしまい、口論になってしまうことも。ゴミ出しを含め”共用部分の利用方法は守る”、他の入居者に迷惑をかける行為をしないことが大切です。

よくあるトラブル2. 「荷物置きっぱなし問題」

山手さん 段ボールの箱、脚立や自転車などを共有スペースに置きっぱなしにして、他の住人の邪魔になっているのにそのままにしてしまう人がたまにいます。どかしてほしいと伝えても対処してくれない人もいるため口論につながってしまうことも。自分専用のスペースではないところに、荷物を置きっぱなしにしてしまうことはNG。自分の家の玄関の前だからいいだろうと物をたくさん置いてしまう人がいますが、不快に感じる人は多いです。マンションやアパートに住むのであれば、荷物を置きっぱなしにするのはやめておきましょう。

よくあるトラブル3. 「退去費用の支払い問題」

山手さん 退去時に高額な請求をされるトラブルは多いです。軽微なキズにも関わらず全面取り換えが必要と言われ、想定以上にお金を請求されてしまったり、退去時に敷金が返ってこないケースがあります。例えば、私の友人は、エアコンの修理代金は入居者負担だと言われてしまいました。ですがしっかり契約内容を聞いてみると、経年劣化で大家さんの負担だということがわかったんです。私の友人は「消費者センターに相談したら、負担しなくていいと言われた」と大家さんに伝えたところ「代金はやっぱり支払わなくて大丈夫」と言われたそうです。大家さんのなかには、多く払ってもらったらラッキー! という気持ちくらいで値上げを提案してくる人もなかにはいます。高い価格を請求されて違和感があれば、必ず大家さんに交渉しましょう。

――金銭面のトラブルは多いのでしょうか?

山手さん 今は賃貸物件の場合、契約時に保証会社の利用が必要な場合が多いため、もし借主が家賃を滞納してしまっても、保証会社から家賃が支払われる仕組みになっているので、家賃滞納のトラブルを聞くことは少ないです。ただ、支払う意思も資金もあったのに、入金日を忘れていたり長期旅行時で滞納してしまい、次の入居審査が通らなくなったり、住宅ローンが組めなくなった話はよくあります。ジムの会費やスマホの料金など、少額の滞納でも信用情報に履歴が残ってしまうため、気を付けてください。

――実際にトラブルが起きてしまったときには、どうすべきですか?

山手さん 契約書を見て契約内容を確認をすること。他の入居者や不動産会社とのやりとりを証拠に残すこと。写真や録音なども有効です。自分たちで解決できない場合には弁護士に相談する前に、無料で相談できる窓口もありますので利用すると心強いですよ。

・消費者センター
・市区町村の消費生活相談窓口
・法テラス
・警察の相談窓口(9110)
など

――トラブルを防ぐために、契約前、入居してから、しておいたほうがいい対策はありますか?

・動物が苦手な方はペット不可のマンションを選ぶ
・退去時、更新時にかかる費用は事前に確認
・防音性の高い鉄筋コンクリート造を選ぶ
・隣の住人がどんな人か確認する
・共用部分の利用方法は守る
・家賃滞納をしない

山手さん 不動産会社に聞くと隣人の性別や年齢を教えてもらえる場合もありますし、マナーを守っていればトラブルに巻き込まれることは減ります。トラブルにならないために、契約書に記載してほしい内容があったら事前に相談するのもオススメです。


ひとり暮らしを心地よく続けるために、知っておいて損なし

いかがでしたか。今回の実際のトラブルや対策。住んだあとに後悔しないためにも、今回のプロからのアドバイスをぜひ参考にしてみてください。

教えてくれた人
株式会社東京女性不動産 代表取締役社長 山手雅美さん 

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宅地建物取引士所持。不動産歴3年目、2021年11月に「東京女性不動産」を開業。
東京女性不動産は、安心してお部屋探しができることを第一に、相談から契約まですべて女性スタッフが担当。女性一人での東京のお部屋探しを、女性ならではの視点で親身にサポートしています。LINEでの相談もできます。安心して新生活を始められるように、ストーカー保険の提案やRefaプレゼントなどのサービスもあって、さすが女性にやさしい!


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