夏の冷え、下痢、熱中症を防ぐ! 今すぐできる「意外な夏バテ予防法」まとめ
注意すべき汗のかき方と対策
漢方的に注意するべき汗のかき方は、大きく分けて2つあります。ひとつめは「自汗(じかん)」といって、だらだらと汗が止まらなくなる状態。暑いところから涼しい場所に移ってもすぐに汗が引かず、いつまでも出続ける…などが典型的な症状です。これは「衛気(えき)」と呼ばれる、体表にある気の活動が低下していることが原因。衛気は体を守るバリアのような働きをしていて、毛穴を閉じたり開いたりする役目も担っています。この衛気が働かないと汗腺が開いたままになり、体液がどんどん出ていってしまう。同時に外からの邪気も入りやすくなるため、風邪をひきやすくなったり、花粉症がひどくなるなどの不調も起こり得ます。
衛気を養うには、体全体の「気」を底上げするのが早道。少しでも早めに眠るようにして、まずは体をしっかり休めましょう。その上で気を補う食材であるしいたけなどのきのこ類、さばやいわしといった青魚を。甘酒にも「補気(ほき)」の作用があります。
「もうひとつの注意すべき汗のかき方と対策」を読む※『anan』2020年6月17日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子(by anan編集部)
※ 2020.6.10配信
熱中症対策によい果物は…
内側でも熱がたくさん作られるうえ、高い外気温によっても熱が増えやすいのが夏の体。熱がこもった状態が続くと、熱中症のような疾病につながることもあります。熱を溜めない養生を、早めにスタートさせましょう。
まずは、体を極力熱邪にさらさないようにすることが基本です。帽子や日傘で太陽の熱をシャットアウトする、室内の温度調整が難しいときは無理をせずにエアコンを使う。どれも、夏になると必ず言われることですね。
プラス、漢方的養生として心がけてほしいのは、脂っこいものや甘いもの、味の濃いものを控えること。「肥甘厚味(ひかんこうみ)」と呼ばれるこれらの食べ物は体に熱をこもらせる作用があるからです。反対におすすめしたいのがスイカ。体の熱を取るのによく使われる「白虎湯」という漢方薬があるのですが、スイカはそれに匹敵する「清熱(せいねつ)」作用があり、“天然の白虎湯”と呼ばれることも。朝出かける前や、食後の熱がこもりやすいときに口にしておくとよいでしょう。ただしキンキンに冷えたものは胃腸の負担になるので、なるべく常温に近い状態で食べてくださいね。
「熱中症対策によい果物」をさらに詳しく読む※『anan』2020年6月24日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子(by anan編集部)
※ 2020.6.17配信
夏バテよりもツライ? 夏冷え対策
まずはできるだけ体を冷気から守ることが必要ですが、なかでも大切なのがお腹を冷やさないこと。中医学で腹部は「血」が集まる「血府」のひとつであり、ここを温めることで体じゅうに温かな血を巡らせることができます。冷房の効いた部屋に一日いる必要があるときは、お腹にカイロを。このとき、熱の生産を司る「腎(じん)」がある腰にもカイロを貼るとさらに良いでしょう。体全体を効率的に温めることができます。
一日の終わりには、短時間でいいので湯船で体を温めるのがおすすめ。冷気は、放置すると徐々に体に溜まっていきます。その日の冷えはその日のうちに取り除くのが養生のコツです。ナイトウェアも、お腹を冷やさないものを。腹巻きはお腹も腰も温められる、夏冷え予防にぴったりのアイテムです。ぜひ習慣にしてみてください。
※『anan』2020年6月10日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子(by anan編集部)
※ 2020.6.3配信
夏の下痢対策
お腹の調子を保つためにいまできることは何でしょうか。もちろん冷たいものを控えるのはマストですが、暑さが厳しいと熱を冷ますものがどうしても欲しくなります。そこでおすすめしたいのが、苦みのある食べ物。苦みには解毒とともに熱を冷ます作用があり、「心(しん)」の働きを落ち着かせる効果があるからです。「ほてり」対策でもお伝えしましたが、心は体に気血(きけつ)を巡らせるポンプのような存在で熱を帯びやすいうえ、夏は心が主役の季節。活動がより活発になるために熱もこもりやすく、清熱(せいねつ)食材をまめに摂る養生が欠かせません。それに役立つのが、苦い食材なのです。
こもった熱を冷ますのにスイカが良いとお伝えしました。が、胃腸が弱っているときはかえって負担になることもあります。お腹を壊しやすい場合は、苦みのある食材の性質を利用して熱を除くのが良いのです。
夏の苦い食べ物といえば、そう、ゴーヤです。とりわけゴーヤチャンプルーは、清熱作用のあるゴーヤと適度な潤いを補う豆腐という、素晴らしい食材の組み合わせ。同じく熱を冷ます力のある、トマトが加わっていればさらに効果的ですね。 冷たいものが欲しくなる原因である熱を上手にコントロールし、がぶ飲みを控えて脾を乾燥気味に保つ。この2つが、夏のお腹の養生ポイントです。
「夏の下痢対策」をさらに詳しく読む※『anan』2020年7月1日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子(by anan編集部)
※ 2020.6.24配信
薬味を冷たい麺にのせる理由
夏になると食欲がなくなる、という悩みをよく聞きます。でも、高い気温が直接食欲を抑えるわけではないし、そもそも暑くても食欲がなくならない人もいますよね。
中医学では、夏の胃腸=脾(ひ)の不調は、まずは水分や冷たいものの摂りすぎで起こると考えます。さらに冷房による冷えが重なり、ますます胃腸は動かなくなります。異変に気づいたら、すぐに“温める”生活にスイッチしましょう。冷たいものは摂らない、お風呂でお腹を温める、冷房の影響を受けない服装を心がける。どれも地道ですが、徹底することで、胃腸は自然と良い状態を取り戻していきます。
それでも、冷たい麺を食べたい日もあるでしょう。そんなときは、体を温めるしょうがやねぎ、しそなどをたっぷり添えるようにしてください。そして、よく噛むこと。実はこれがとても大切なんです。
基本的なことですが、消化器のうち、食べ物を細かく刻むことができるのは歯だけです。胃の中の消化液はあくまで化学物質なので、入ってきたものをすり潰す作業はできない。食べ物をよく噛まないで飲み込むと、胃は粘膜と筋肉を一生懸命動かして消化液と混ぜ合わせなければなりません。水と一緒にビニール袋に入れた固形物を混ぜることを想像すると分かりやすいのですが、固形物が大きいほど、混ぜ合わせるのに時間も労力も必要ですよね。
「薬味を冷たい麺にのせる理由」をさらに詳しく読む※『anan』2020年7月29日号より。イラスト・原田桃子 文・新田草子(by anan編集部)
※ 2020.7.23配信
理にかなっているからスッと入ってくる
中医学や養生法というと、ちょっと難しいのかな、という印象がありませんでしたか? 櫻井大典さんによる解説はわかりやすくて、スッと入ってきます。いよいよ夏本番。暑さに負けない体づくりを心がけましょう!