ウナギよりいいかも!…「夏バテしない」簡単な方法 #68

文・大久保愛 — 2020.8.5
うだるような暑さに今年は新型コロナウイルスのストレスが加わり、例年以上にツラい夏となりそうです。そこで、心も体もバテないために、漢方薬剤師の大久保愛先生が、夏を乗り切る簡単な方法を教えてくれます!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 68

心と体がバテていませんか?

夏バテ 対策

今年は、梅雨が非常に長い年となり、気圧の変化にその都度体調をゆすぶられていた人は苦労したことだと思います。ただ、分厚い雲がなくなることもまた問題ですよね。強烈な紫外線の強さにカラッとしない高温多湿の気候は、体力を奪います。傘の種類は雨傘から日傘へと変わりますが、気分はなかなか晴れませんね。

そして、夏になったからといって気圧の変化がなくなるわけではないです。さらには、長期化し先が見えない新型コロナウイルスに対する不安や、マスクを常にすることで呼吸が浅くなったり熱がこもったりすることも加わり、例年の8月に比べてさまざまな負担が大きくなっている特徴があります。当然、心も体もバテやすくなりますよね。そこで、今週は、暑い8月を乗り切るための食薬習慣を紹介します。

自然の変化が体調に影響している

漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 1か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

今週は、心と体がバテない食薬習慣

夏バテ 対策

どうしても蒸し暑い夜には慣れがたく、朝起きるとじっとりと体にまとわりついている汗、ジトジトする頭皮、少し移動すると噴き出る汗と、さまざまなことが不快な気持ちにさせます。そして、冷房の設定温度は徐々に低くなっていきます。となると、屋外と室内の温度差に体がついていかずに自律神経を乱してしまうこともあるのではないでしょうか。

新型コロナウイルスに対するストレスがベースとしてあるなか、自律神経の乱れが加わるとイライラしたり、不安感を感じたり、寝つきが悪くなったりと心もバテはじめていきます。また、紫外線のダメージも受けつつ自律神経を乱した体は、消化の働きが悪く胃もたれしたり、下痢や便秘を繰り返したり、ダルさを感じたり、血行が悪くなったり、頭痛を感じたりと体もバテ始めます。このような状態を漢方で総じて『心脾両虚』と呼びます。

そこで今週は、心と体に必要な栄養素を補うものを摂ることです。今週食べると良いのは、【サバ缶のトルティージャ カレー風味】です。

今週食べるとよい食材・メニュー:サバ缶のトルティージャ カレー風味

夏バテ 対策

トルティージャは、簡単に表現するとスペイン風オムレツです。サバの水煮缶を使って、栄養満点のオムレツを作ることができます。そして、味がしっかりしているので冷めても美味しく食べられます。

食べるとよい食材:サバの水煮缶

まず、紫外線により活性酸素が大量に発生し細胞を傷つけますが、その影響を軽減するのがオメガ3脂肪酸。代謝をあげ、心を安定させるために必要なのが鉄、ビタミンB群、タンパク質などの栄養素です。サバには、夏に消耗してしまうさまざまな栄養が豊富に含まれています。

食べるとよい食材:カレーパウダー

ターメリック、クミン、チリパウダー、フェンネル、サフラン、シナモン、オールスパイス、コショウ、コリアンダー、オールスパイス、ナツメグなど何種類ものスパイスがミックスされているのがカレーパウダーです。抗酸化作用や抗菌作用も高く、血行を促進したり、胃腸の働きをサポートしたり、心を落ち着かせたりと、夏の自律神経の乱れに対しても有意義に働いてくれます。

おすすめのメニューは、サバ缶を使ったトルティージャのカレー風味です。作り方は、ジャガイモ、玉ねぎを細かくカットし、ほぐしたサバ缶、卵、カレーパウダーとまぜて焼くだけです。フライパンにくっつかないようにクッキングシートをフライパンに敷いて蓋をして蒸し焼きにすると簡単に作ることができます。栄養満点のトルティージャを食べて暑い夏を乗り越えていきましょうね。

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大久保 愛 先生
アイカ製薬株式会社代表取締役・漢方薬剤師。
昭和大学薬学部生薬学研究室で漢方を学び薬剤師免許を取得。その後、中国で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方相談、調剤薬局、エステなどの経営を経て商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。

https://aika-inc.co.jp/

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著書『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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